Project/Area Number |
23K14701
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松山 絢子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (10909469)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 神経科学 / 皮膚科学 / 軸索伸長阻害 / Nogo / 感覚 / 掻痒 / 疼痛 / 神経 / 神経配置 / 表皮 |
Outline of Research at the Start |
痛覚や掻痒感は、身体の危険を知らせる重要な情報であるが、皮膚炎や神経変性症等は慢性的な掻痒・疼痛を引き起こす。表皮の神経配置はこれらの慢性疾患でしばしば変化することが報告されており、神経配置を決定する分子は掻痒・疼痛の有用な治療標的となり得ると考えられる。 本研究は、表皮の神経配置を決定する分子や神経配置の感覚への作用を解明することを目的とし、表皮に高い発現を有しかつ神経伸長阻害に関与することが知られているNogo に着目する。Nogoによる感覚神経の表皮の配置への関与と感覚への影響、その下流伝達経路を探索し、痛覚や掻痒の新たな治療標的を見出すことを期待する。
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Outline of Annual Research Achievements |
Nogoの皮膚における生理学的意義の探索として重要な疼痛行動実験機器を一通り導入することができ、実験に必要な環境を整備しておおむね順調に実験計画を遂行することができた。 1)Nogoと疼痛、掻痒の関連性 当初は熱刺激に作用する傾向が見られたが、バリア破綻を起こすドライスキンモデルにおいてより顕著な傾向が観察された。これらの結果は母数が少ないので、確定させるべく実験を遂行中であるものの、これらの結果が確からしければ、Nogo欠損により表皮貫入増加するサブセットの作用がより顕著なサブセットは、当初考えていたサブセットとは異なる可能性も考えられる。これはまた、今まで役割の明確でなかったサブセットについて、バリア破綻における掻痒に関連するという新たな発見につながる可能性を見出すことができたと考えている。また、誘導性アトピー性皮膚炎モデルにおいて、治癒過程において作用が認められそうな傾向も見られ、当初期待した感覚異常だけではないNogoの皮膚における作用も考えられる。 2)Nogoによる表皮神経配置と支配 上記1)の結果を踏まえ、詳細に検討するサブセットを正確に解析するため、Nogo欠損マウスとサブセット特異的に蛍光を発現するレポーターマウスとの交配を試み、現在詳細解析を進行中である。また、表皮特異的Nogo欠損マウスを樹立し、Nogoのグローバルノックアウトマウスと同様に、表皮内の神経が増加し、一部のサブセットが表皮内に貫入増加することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りの進捗である。 1)疼痛、掻痒行動実験 計画していた疼痛行動実験機器の購入と導入が完了し、疼痛行動実験を進めている。疼痛以外にも掻痒のモデルをいくつか検討し、その中で皮膚バリア破壊を起こすドライスキンモデルにおいて、Nogo欠損による作用が認められそうなことを見出した。これにより、Nogo欠損による感覚異常に大きく寄与する神経のサブセットは、当初予想していたサブセットとは異なる可能性が浮上してきた。また、誘導性アトピー性皮膚炎モデルにおいて、治癒過程において作用が認められそうな傾向があり、この点についても結果を確定させるため実験を進めている。 2)感覚神経のサブセット解析 表皮の染色に適した抗体の探索が難航したことと、 上記1)の結果を踏まえて詳細に解析する対象とするサブセットを変更したため、多少遅れをとっているものの、表皮に伸長すると言われているサブセットに関してそれぞれ特異的にGFPやTomato等のレポーター遺伝子を発現するマウスと交配を進め、詳細な解析について進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね計画通りに進んでいるため、ほぼ計画書通りに進めていく予定である。具体的には、1)行動実験に関しては母数を増やし、感覚とNogo欠損による作用について確定させる。2)感覚神経のサブセット解析は、Nogo欠損マウスとサブセット特異的に緑色蛍光または赤色蛍光を発現しているマウスを交配させたマウスで解析することにより、より正確な表皮神経配置と支配について確定させる予定である。 また、当初予想していなかった治癒過程での作用が認められそうな傾向があるため、この作用について結果を確定させ、そのメカニズムを遺伝子発現変化等を解析する予定である。1)に関連する実験結果によりNogo欠損による感覚への作用が認められれば、Nogo下流のシグナル伝達経路を阻害し表皮の神経を伸長させたマウスでも行動実験を行う予定である。
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