Project/Area Number |
23K14723
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
林 航 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 研究員 (90965344)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | Klebsiella pneumoniae / hvKp / String test / ESBL / 肺炎桿菌 / 高病原性肺炎桿菌 / 薬剤耐性 / 全ゲノム解析 |
Outline of Research at the Start |
東アジアを中心に、健常者に対して侵襲性肝膿瘍や血行性感染をきたす高病原性肺炎桿菌が問題となっている。現在、本菌のスクリーニングとしてコロニーの伸長性を確認する“String test”が微生物検査で汎用されているが、検出感度のバラツキが指摘されている。本研究では粘稠性に影響を及ぼす要因と最適条件を模索することで高病原性株を高感度に検出可能な検査法の構築を目指す。また、近年では“高病原性”と“薬剤耐性”の2つの特性を併せ持つ株が出現し、臨床上脅威となっている。国内で収集した高病原性・多剤耐性株の保有プラスミドを含めた完全ゲノム配列を解読し、その遺伝学的特性と発生・進化のメカニズムを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
東アジア諸国を中心に、基礎疾患を有さない健常者に対して侵襲性感染症をきたす高病原性肺炎桿菌 (hypervirulent K. pneumoniae; hvKp)が報告されており、それらは過粘稠性を示すことが知られている。現在、hvKpの早期診断補助として簡便な検査法としてString testが汎用されているが、近年ではその感度・特異度のバラツキが指摘され、本試験の精度については未だ不明点が多い。また、高病原性株は薬剤耐性株と遺伝的背景が異なるとされていた一方で、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ (ESBL)を産生するhvKpが出現し、公衆衛生上問題となっている。 本研究では1) String testの改良に向けて、hvKpがもたらす表現型の傾向・特性を把握することに加え、2) 薬剤耐性株を含めたhvKpがもたらす遺伝特性をゲノムレベルで明確化することを目的とした。本年度は、全国の医療施設より収集したString test 陽性K. pneumoniae 685株を対象に、String test再試験および次世代シークエンサーHiSeqを用いた全ゲノム解析を実施することで、その表現型の特性に加え、高病原性関連遺伝子保有プロファイルに基づくhvKpの分布状況の把握に試みた。 病原遺伝子探索の結果、28%が高病原性遺伝子を保有しておらず、非hvKpである古典株 (classical K. pneumoniae; cKp)に分類されたことから、現在検査室で汎用されるString testの高病原性株予測における特異度の低さが顕在化した。さらに、79%でString testの再現性が認められた一方で、残る21%で本試験の陰性化 (粘稠性の喪失)が確認された。また、収集した6.3%が第三世代セファロスポリンに耐性を示し、blaCTX-M-15をはじめとする多様なESBL遺伝子が確認された。さらに、その半数がhvKpに分類されたことから、“高病原性”と“薬剤耐性”を併せ持つクローンが国内でも出現していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、ESBL産生株を含めた過粘稠性K. pneumoniae 計685株のゲノム解読を終えることができた。国内におけるhvKpの分布状況に加え、薬剤耐性株の耐性メカニズムを明らかにすることができ、現在は詳細なデータ解析の段階へと進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
高病原性・薬剤耐性株を含めた過粘稠性K. pneumoniaeの全ゲノム解析で得られた遺伝学的特性とその表現型について、論文化の準備を進める。さらに、過粘稠性K. pneumoniae を対象としたString testの再定義を行うにあたり、追加の侵襲性株に加え、その臨床データ (患者背景、臨床所見等)を収集する予定である。そして得られた知見を元に、将来は粘稠性集落形成における最適条件の模索と新しい検査法の構築を目指す。
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