Project/Area Number |
23K14761
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 52020:Neurology-related
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
迫田 礼子 国際医療福祉大学, 医学研究科, 講師 (70972230)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 多発性硬化症 / 視神経脊髄炎 / エクソソーム / コネキシン / 重症化 / ギャップ結合 / 実験的自己免疫性脳脊髄炎 / アストログリア / 脱髄疾患 / エキソソーム |
Outline of Research at the Start |
GJA1低分子量 isoform発現エキソソームは炎症性miR等を伝搬することで脱髄炎を増悪させるとの新仮説を立てた。本研究では、MSとNMOの各病期で末梢血のGJA1低分子量isoform発現エキソソームと含有miRを測定し臨床所見との関連を明らかにする。全血清とエキソソーム分画でSIMOAにより神経障害やグリア炎症のマーカーを測定し、GJA1低分子量isoform発現エキソソームとの関連を解明する。アストログリアCx43icKOマウスの急性・慢性EAEで、血中GJA1低分子量isoform発現エキソソームと含有miRを解析し、脱髄炎における役割を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
多発性硬化症(MS)では慢性的な進行(CP)が、視神経脊髄炎(NMO)では再発の重症度が、障害程度を決定している。MSではCPが高率だがNMOではCPがない。MSでもNMOでもGap junction (GJ)を形成するグリアコネキシン(Cx)は、急性期病巣では脱髄範囲を越えて広範に脱落する。慢性期病巣では髄鞘が再生してもオリゴデンドログリアのCx47は脱落したままである。一方、アストログリアのCx43は、MSではグリオーシスを反映してびまん性に発現が亢進するのに対し、NMOではアストログリア障害を反映して発現亢進が乏しい点で大きく異なる。Cx43をコードするGJA1は、エクソン中の下流の開始コドンから始まるN末が短縮したisoformもコードしている。GJA1低分子量isoformは、酸化ストレス時などに産生が亢進するが、その機能は全く不明である。本研究で、末梢血のCx43発現エキソソームを定量的ウェスタンブロットで解析し、健常(HC)群やその他の炎症性神経疾患(OIND)群に比し、MSでもNMOでも有意にGJA1低分子量(29k)isoformが増加することを見出した。29kは、MSでは急性期より寛解期、寛解期より慢性進行期でさらに上昇し、二次進行期で29kは障害度(EDSS)と正相関を示した。NMOでは再発期に増加し寛解期には減少した。さらにNMOでは再発期・寛解期を通じて11kが、HCやOINDより有意に減少した。その結果、エクソソームの29k/11k比が、MS(二次進行期>寛解期>再発期)でもNMO(再発期)に著明に高値となった。NMOでは29k/11k比が、再発期の障害度と正相関を示した。したがって、末梢血エクソソーム29k及び29k/11k比は、MSやNMOの新しい疾患活動性マーカーと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で、末梢血のエキソソームの定量的ウェスタンブロット解析により、GJA1-29k及び29k/11k比が、MSでもNMOでもHCやOINDに比し有意に上昇することを見出した。さらに29k及び29k/11k比は、MSでは急性期より寛解期、寛解期より二次進行期でさらに上昇し、29kは障害度(EDSS)と正相関を示すことから、慢性進行期のよい疾患活動性マーカーと考えられることを明らかにできた。NMOでは再発期に増加し寛解期には減少した。さらにNMOでは再発期・寛解期を通じて11kが、HCやOINDより有意に減少した。その結果、エクソソームの29k/11k比が、NMO(再発期)に著明に高値となり、再発期の障害度と正相関を示した。したがって、末梢血エクソソーム29k/11k比は、NMO再発期の新しい疾患活動性マーカーと考えられた。さらに、私たちは、オリゴデンドログリア特異的・時限的にCx47を脱落させた(Cx47 icKO)マウスではEAEが重症化する一方、脳アストログリア特異的・時限的にCx43を欠失させたCx43 icKOマウスではEAEが著しく軽減することを報告している。野生型EAEでは、特に慢性期に血中Cx43及びGJA1低分子量isoform (29k)を発現するエキソソームが著増し、一方Cx43 icKOマウスではその増加が著明に減少することを発見した。GJA1低分子量isoform発現エキソソームが著減するCx43 icKOマウスでは制御性T細胞(Treg)が増加し、脾臓リンパ球からの抗炎症性サイトカインIL-10産生が亢進し血清IL-10が増加した。したがって、動物モデルでも29kが神経炎症に関わっていることを証明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
Cx43低分子量isoformは、N末が短縮しているためGJは形成しないがRNA結合ドメインは保たれており、マイクロRNA (miR)等を伝搬できる。そこで、本研究では、今後、①MSとNMOの各病期で末梢血のGJA1低分子量isoform発現エキソソームと含有miRを測定し臨床所見との関連を明らかにする。②全血清とエキソソーム分画でsingle molecule array (SIMOA)により神経障害やグリア炎症のマーカーを測定し、GJA1低分子量isoform発現エキソソームとの関連を解明する。③アストログリアCx43とオリゴデンドログリアCx47のicKOマウスの急性・慢性EAEで、血中GJA1低分子量isoform発現エキソソームと含有miRを解析し、脱髄炎における役割を明らかにする。これにより、グリア由来GJA1 低分子量isoform発現エキソソームの脱髄疾患の慢性進行における意義を解明し、慢性進行のバイオマーカとして確立する。
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