Project/Area Number |
23K14765
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 52020:Neurology-related
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
竹脇 大貴 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 免疫研究部, 特別研究員 (60967959)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 多発性硬化症 / 腸内細菌 / マイクロバイオーム / 分子相同性 / 交差反応 / 長鎖シークエンス |
Outline of Research at the Start |
多発性硬化症 (MS) は自己反応性T細胞が神経炎症を引き起こす臓器特異的な自己免疫疾患である。近年、特定の腸内細菌がMS病態悪化の一因となることが明らかになってきたが、神経炎症を引き起こす疾患特異的な機序は解明されていない。本研究では、常在細菌抗原と髄鞘抗原との分子相同性を明らかにすることで「MS患者における自己反応性T細胞の生成・維持に腸内細菌が関与している」ことを高い確信度で証明することを目的としている。自己抗原特異的な免疫応答の制御は、高い効果と少ない副作用を実現する自己免疫疾患の画期的な治療法であり、腸内細菌と免疫が関わる多くの難治性疾患の根本治療につながる可能性がある。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において我々は、難治性である二次進行型多発性硬化症 (SPMS) 患者の腸管内で増加し、神経障害度や脳萎縮度と相関する腸内細菌種としてTyzzerella nexilisを同定している。SPMS患者の糞便検体から単離培養したT. nexilis_SPMS株を無菌化モデルマウスに定着させたところ、大腸におけるTh17細胞の誘導と共に神経障害が悪化した。上記の結果により、腸内細菌叢の変化がMS病態を悪化させる事が示されたが、Th17細胞の誘導のみでは臓器特異的な自己免疫応答が生じるMS病態を十分に説明できない。本研究は、特定の腸内細菌がSPMS病態を悪化させる疾患特異的メカニズムを明らかにすることを目的としている。はじめに神経炎症惹起性のある様々な髄鞘抗原ペプチドと、当該株のゲノム由来のアミノ酸配列との網羅的な相同性検索を行い、プロテオリピッド蛋白の特定のアミノ酸配列と当該株が持つABCトランスポーターの特定のアミノ酸配列との間に配列類似性があることを見出した。2023年度はSPMS患者の血液検体からPLP反応性T細胞クローンを樹立するための実験を行った。SPMS患者由来の末梢血T細胞に対して、2週間毎にPLPペプチドと抗原原提示細胞による刺激を繰り返し、PLP反応性のT細胞集団を得ることができた。今後はPLPとT. nexilis株由来のABCトランスポーターとの間の免疫学的交差反応性を検証していく方針である。さらに、SJL/JマウスをPLPペプチド免疫し、EAE発症直後に解剖することで、脾臓からヘルパーT細胞と抗原提示細胞を取得した。今後はSJL/JマウスにおけるPLP反応性T細胞クローンの樹立を目指すと共に、PLPとT. nexilis株由来のABCトランスポーターとの間の免疫学的交差反応性をin vivoの実験系においても検証していく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である2023年度は主に、SPMS患者の血液リンパ球を用いた分子相同性の検証を行う予定であったため、特定のHLAハプロタイプを持つSPMS患者由来の末梢血T細胞に対して、2週間毎にPLPペプチドと抗原原提示細胞による刺激を繰り返す事で、PLP反応性のT細胞集団を得ることができた。これによりPLPとT. nexilis株由来のABCトランスポーターとの間の免疫学的交差反応性を検証するための準備が整った段階であるが、より確信度の高い解析を行うために、PLP反応性T細胞クローンを樹立するための実験を継続して行っている。同時にin vivoでの免疫学的交差反応性を検証するための実験系の構築も進めており、概ね当初の予定に沿う形で研究が進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、PLPとT. nexilis株由来のABCトランスポーターとの間の免疫学的交差反応性を検証するため、SPMS患者の血液リンパ球を用いた実験系と、MSモデルマウスを用いたin vivoでの実験系を並行して進めていく方針である。さらに次年度は、神経炎症を惹起する髄鞘抗原ペプチドと、SPMS患者由来の腸内細菌ゲノムから予測 されるアミノ酸配列との網羅的な相同性検索についても実施する方針である。
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