Project/Area Number |
23K14820
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 52030:Psychiatry-related
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小林 雄太朗 山梨大学, 大学院総合研究部, 研究助教 (90913012)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
|
Keywords | 母体免疫活性化 / 精神疾患 / 神経発達 / 免疫細胞 / 予防治療 |
Outline of Research at the Start |
妊娠期間中の母体の感染症は生まれてくる子供が精神疾患を発症するリスクを増加させる。母体の感染症が子供に神経発達障害を引き起こし、それが精神疾患発症につながる。本研究では母体の感染症によって変質した子供の免疫細胞が胎児期から新生児期の脳内において神経発達に与える影響の解明を目的としている。免疫細胞が神経発達に与える影響を明らかにすることにより、神経系の発生学の研究や精神疾患の治療法において新しいアプローチを生み出すと考えられる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
発達期の脳内には様々な免疫細胞が浸潤しており、神経発達に関与している。母体の感染症は胎児の免疫系に影響を及ぼすという現象が知られているが、神経発達との関連性は不明である。妊娠期間中にウイルス模倣薬であるPoly(I:C)を注射して、ウイルス感染に似た炎症反応を起こした母体マウスから生まれた子供は成熟期に精神疾患様症状を示す。本研究では妊娠12日目にPoly(I:C)を注射した母体マウスから生まれた子供はガラス玉覆い隠し試験にてガラス玉を通常のマウスよりも多く隠すという行動異常が見られた。統合失調症や自閉症などは遺伝要因と環境要因の相互作用によって発症する神経発達障害とされており、先述した発達期脳内に浸潤している免疫細胞と発達障害の関係性を検証するためにPoly(I:C)を注射した母体マウスから生まれた子供の脳に浸潤している免疫細胞をフローサイトメトリーによって解析している。母体の感染症は生まれてくるマウスの免疫系に影響を及ぼし、そのマウスが成熟期になっても変化したままとされているが、発達期のマウス脳内に浸潤している免疫細胞が母体へのPoly(I:C)注射によって変化し、それが神経発達障害につながっている可能性を検討している。浸潤に異常が見られた免疫細胞については神経細胞と共培養することによって、神経細胞の分化傾向とシナプス形成の観点から、神経発達障害との関係性を調べていく。一方で、Poly(I:C)を注射した母体から生まれた新生児マウスの免疫系において炎症を抑制する方向にもっていくことで精神疾患様症状を予防できる可能性も検討していきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
母体の免疫をウイルス模倣薬であるPoly(I:C)によって活性化させ、そこから生まれた子供を実験に用いるが、Poly(I:C)を注射した母体から生まれる子供の数がこちらの想定よりも少ない状況が続いた。Poly(I:C)を注射した母体から生まれる子供は成熟期に精神疾患様症状を示す。この精神疾患様症状の有無を検証するために本研究においては世界的によく用いられている3 chamber testを当初実施する予定であったが、研究代表者の研究環境の変化により3 chamber testと同じくらいよく用いられるガラス玉覆い隠し試験に変更した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策は引き続きPoly(I:C)を注射した母体から生まれる子マウスの脳内に浸潤している免疫細胞の解析を行う。Poly(I:C)を注射した母体から生まれたマウスの脳を破砕し、その破砕液に含まれている免疫細胞をフローサイトメトリーによって解析する。マウスの発達期脳内に浸潤している免疫細胞はT細胞やB細胞などのリンパ球に焦点を当てる。浸潤している免疫細胞が活性型かどうかにも焦点を当てていく。一方で、新生児マウスへの抗炎症性サイトカインおよび制御性T細胞の注射実験も行う予定である。新生児期での制御性T細胞および抗炎症性サイトカイン投与による成熟期での精神疾患様症状の改善を目的とする実験を行う。精神疾患様症状の有無は引き続きガラス玉覆い隠し試験を用いて検証する。免疫細胞と神経細胞の共培養実験に関してはマウスの発達期脳内に浸潤している免疫細胞の内Poly(I:C)の妊娠マウスへの注射によって浸潤が増加している細胞種が判明次第、開始する。ニューロンまたはグリア細胞の分化における免疫細胞の影響を検証する実験だが、先にニューロンと免疫細胞の共培養実験から取り掛かる。細胞分化に加えて、シナプス形成もニューロンと免疫細胞の共培養実験において着目する点に加える。
|