Project/Area Number |
23K14824
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 52030:Psychiatry-related
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
一條 貞満 横浜市立大学, 医学研究科, 特任助教 (50959533)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 精神神経疾患 / シナプス / AMPA受容体 / 依存症 |
Outline of Research at the Start |
依存症疾患の解決法は心理社会的アプローチが主であるがしばしば解決が困難である。新規治療法の開発が望まれているが、依存症の生物学的基盤の理解は不十分であり有効な治療法の開発には至っていない。 AMPA型グルタミン酸受容体は脳内情報伝達の最重要分子の1つである。申請者の研究室はAMPA受容体をヒト生体脳で可視化・定量化できる世界初のPETトレーサー[11C]K-2を開発した。そして覚醒剤およびアルコール依存症患者の脳では前部帯状皮質(ACC)のAMPA受容体量が減少している事を見出した。 本研究ではACCのAMPA受容体量を減少させたマウスを用いて依存症におけるACCのAMPA受容体の役割を評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
依存症疾患の病態解明を目的として依存症患者の脳内AMPA受容体分布情報に基づきマウス動物モデルを作成しその行動表現型を評価した。 嗜好性物質を使用した検討に先立ち、嗜好性物質を使用しない条件下におけるモデルマウスの行動表現型を評価した。その結果、脳内局所のAMPA受容体量を減少させ、集団飼育環境下に置かれたマウスは異常な行動表現型を示さなかった。しかし、脳内局所のAMPA受容体量を減少させ、個別に飼育し社会的隔離ストレスを与えたマウスは社会的選好性の低下などの精神疾患様行動表現型を示した。一方、脳内局所のAMPA受容体量は操作せず、社会的隔離ストレスのみを与えたマウスは異常な行動表現型を示さなかった。 物質依存症の場合、嗜好性物質に対する依存のしやすさに加えて嗜好性物質の使用に至るまでの行動が依存形成に重要である。覚醒剤依存症の場合、使用後の依存率は極めて高い。動物モデルの元となったヒトPET研究においても覚醒剤依存症患者が多く含まれていた。これらの事実からは、脳内AMPA受容体分布異常とストレスの2つの要因が連関して依存症の病態を形成していることが示唆される。 今後は脳内AMPA受容体分布異常とストレスの2つの要因がもたらす行動異常について詳細に調べると同時に、2つの要因の関係性を調べるため、ストレスの有無、脳内AMPA受容体分布異常の有無に着目した分子生物学的評価を行い、さらなる病態解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初依存症の病態を解明するための検討として主に嗜好性物質を使用した実験を予定していたが、予備検討を進めていく上で、作製した動物モデルはストレスの有無により、嗜好性物質を使用しない状態での行動表現型が異なることが分かった。覚醒剤等依存性が高い嗜好性物質に対する依存症の発症には、嗜好性物質使用前の行動が重要である。そのため、今年度は嗜好性物質使用前のマウスを使用して、ストレスの有無、AMPA受容体分布異常の有無による行動表現型を詳細に評価した。当初予定していた実験系とは異なるものの、依存症性疾患の病態解明という目的においては重要な知見が得られており、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
依存症性疾患の病態生理への関与が示唆されたAMPA受容体の脳内分布異常とストレスの関係性に着目し、行動表現型評価に加えて分子生物学的な評価を行う。
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