Project/Area Number |
23K14929
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 52040:Radiological sciences-related
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
北畠 和己 東京理科大学, 薬学部薬学科, 助教 (40910732)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 浸透圧 / 放射線細胞応答 / 機械刺激感受性チャネル / Piezo1チャネル / DNA修復反応 / 肺がん細胞 / 悪性黒色腫 / 放射線抵抗性 / がん / PIEZOチャネル / TRPチャネル |
Outline of Research at the Start |
放射線がん治療は重要ながん治療法であるが、がん細胞の放射線抵抗性の獲得は治療の障害であり、詳細な機構の解明とその解決が急務である。一方、腫瘍内のがん細胞は浸透圧変化にさらされ、これに適応する機構として浸透圧応答を引き起こす。申請者は、低浸透圧刺激によってがん細胞が放射線抵抗性を獲得するという実験結果を得ており、浸透圧応答ががん細胞の放射線抵抗性を誘導する可能性がある。本研究では、浸透圧変化による放射線抵抗性の獲得機序と関与する分子を解明し、また、放射線抵抗性の獲得に関与する分子を標的とする薬剤の併用が放射線の殺がん効果を高めること(放射線増感効果)を実験的に実証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は放射線がん治療の向上を目指し、がんにおける放射線抵抗性の獲得機構について浸透圧応答に着目して検討を行った。 今年度は浸透圧変化ががん細胞の放射線感受性に与える影響を検討した。肺がん細胞を用い、低張液で培養することで低浸透圧を、高張液で培養することで高浸透圧を、それぞれ浸透圧変化を与えてその影響を検討した。低浸透圧では放射線照射後のDNA修復反応が促進、放射線誘導の細胞死の抑制が引き起こされ、放射線抵抗性の獲得が示された。一方で高浸透圧ではDNA修復反応の抑制と放射線誘導の細胞死の増強が引き起こされ、放射線抵抗性を喪失が示された。興味深いことに、これらの放射線抵抗性の獲得と喪失は正常細胞においては示されなかった。浸透圧変化は放射線抵抗性の獲得と喪失の両方に誘導すること、またこれはがん細胞においてのみ観察されることが見出された。 低浸透圧による放射線抵抗性の獲得のメカニズムを検討した。細胞内カルシウムイオンキレート剤、機械刺激感受性チャネル(特にPiezo1チャネル)の阻害薬によって、低浸透圧によるDNA修復反応の促進がキャンセルされた。これにより低浸透圧による放射線抵抗性の獲得に機械刺激感受性チャネルを介した細胞内カルシウムイオン濃度の増加が関与している可能性が示された。これらの実験結果は日本薬学会にて発表を行った。 これらの結果より腫瘍内の浸透圧変化ががん細胞の放射線抵抗性に影響すること、これらに機械刺激感受性チャネルが関与すること示唆された。またこれはがん細胞のみに示されたことから、機械刺激感受性チャネルを標的とした薬剤で浸透圧による放射線抵抗性を調節することで、がん細胞においてのみ放射線増感効果を誘導できる可能性がある。これらは現在の放射線治療の課題を解決できるかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初に計画していた実験は順調に行えており、充分な結果を得ている。一方でいくつか当初の予測とは異なる結果を得た。 当初の計画では浸透圧変化は放射線抵抗性の獲得を誘導すると予測していた。低浸透圧は放射線抵抗性の獲得を誘導することが示されたが、高浸透圧では放射線抵抗性の喪失が誘導された。低浸透圧と高浸透圧で放射線感受性に対して異なる影響を示したことは当初の予測とは異なっていた。低浸透圧と高浸透圧では異なる分子もしくは異なる細胞応答が引き起こされている可能性がある。 正常細胞においては浸透圧変化によって放射線感受性に影響は示されなかったが、これは当初の予測とは異なっていた。正常細胞とがん細胞では浸透圧変化に対して異なる分子もしくは異なる細胞応答が引き起こされている可能性がある。 これらの予測とは異なる結果は、浸透圧変化に対する細胞応答という点で生理学的に重要な知見を与える可能性がある。またこれらは知見を用いて放射線がん治療の向上に役立てられる可能性がある。 これらより本研究は当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに浸透圧変化が肺がん細胞の放射線感受性に大きな影響を与えることが示された。今後は、悪性黒色腫や神経膠芽腫などの放射線抵抗性のがん細胞種を用いて、これらの放射線感受性に対する浸透圧変化の影響を検討する。これにより浸透圧変化による放射線感受性への影響ががん細胞種によって異なるかどうかを明らかにする。 肺がん細胞において、低浸透圧は放射線抵抗性の獲得を誘導し、高浸透圧は放射線抵抗性の喪失を誘導したため、低浸透圧によって活性化する因子、高浸透圧によって活性化する因子を阻害薬などを用いて検討する。特に機械刺激感受性チャネルに着目し、これらの関与を明らかにしていく。これにより、肺がん細胞がどのようにして浸透圧変化に対して細胞応答しているのかを示す。 また浸透圧変化に関与する分子の阻害薬を用いて、がん細胞の放射線感受性を制御して、がん細胞をより効率的に殺がんする新たな放射線治療をin vivo実験などを行い、示していく。
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