Project/Area Number |
23K14930
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 52040:Radiological sciences-related
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Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
中村 祐輝 横浜薬科大学, 薬学部, 助教 (40963377)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 放射線 / パーキンソン病 / 細胞死 / アポトーシス / X線 / セシウム / 活性酸素種 |
Outline of Research at the Start |
脳CTスキャンにより、アルツハイマー病やパーキンソン病の症状が緩和されるという症例報告がある。しかしながら、低線量放射線によるパーキンソン病への影響は解明されていない点が多い。放射線による治療の有効性が示すことができれば、治療法として新たなアプローチとなる。そこで、本研究では、パーキンソン病モデルに対し、適切なX線の線量を決定し、パーキンソン病モデルによる酸化ストレスやアポトーシスへの影響を検討する。本研究により、対症療法が主流となっているパーキンソン病への新たな治療法として放射線を適切に制御し、理解していくためのアプローチを提示することができる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、パーキンソン病の症状を低線量から中線量の放射線照射で改善する可能性を検証した。従来、パーキンソン病の治療は対症療法が主流で、根治治療が困難とされている。本研究では、SH-SY5Y細胞を用いたパーキンソン病モデルを活用し、放射線の有効性とそのメカニズムを検討した。 昨年度の実験では、当初使用していた試薬のMPP+に代わり、6-OHDAを使用したパーキンソン病モデルでの研究も行った。その結果、低線量から中線量の放射線照射によって、神経細胞のアポトーシス抑制と生存率の向上が確認された。また、6-OHDAによるモデルでは、環境レベルの低線量のセシウムでも同様の効果が得られたことが示された。これらの放射線は神経系へ分化したSH-SY5Y細胞に対しても生存率の向上が確認され、低線量から中線量の放射線が脳神経へ障害を生じないことも発見された。 この成果は、低線量から中線量域となる放射線がパーキンソン病の新たな治療アプローチとして有望であることを示している。また、放射線による神経細胞への影響のメカニズムの理解と安全な線量域の特定に寄与した。これにより、非侵襲的な治療法としての放射線療法の可能性が広がり、他の治療法との併用効果や相互作用の研究も期待される。 パーキンソン病における細胞死機構への影響を解明するため、活性酸素種による影響への検討を行った。活性酸素種はパーキンソン病の進行に関与する主要な要因とされており、低線量から中線量の放射線照射によって、活性酸素種の抑制により細胞死が抑制されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画全体として、概ね順調に進んでいる。初期段階で、MPP+による細胞死の抑制効果が確認できたが、生存率の低下が安定せず、実験結果にバラつきが生じるという問題があった。そこで、パーキンソン病のモデルに使用する薬剤を6-OHDAに変更した結果、この問題が改善され、放射線照射によるパーキンソン病への影響を確認できるようになった。 昨年度の実験では、試薬をMPP+から6-OHDAに変更しても、放射線の効果が安定して見られた。これにより、放射線療法を複数の方法で検証できる柔軟なアプローチが生まれ、研究の幅が広がった。また、低線量から中線量の放射線照射によって、神経細胞のアポトーシス抑制、生存率の向上、酸化ストレスの抑制といった効果が確認された。これらの成果により、研究の方向性が明確になり、計画通りに進行する基盤が整った。また、6-OHDAを用いたパーキンソン病モデルでは、環境レベルのセシウムでも効果が得られたため、研究成果の応用範囲も広がった。 こうした要因が重なり、研究計画は順調に進んでいると判断できる。有効な線量域の検討は実施中だが、各線量が細胞死機構に与える影響が異なるため、最適な線量を特定するにはさらなる検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は概ね順調に進展しているため、当初計画に準じて進めていく。特に、放射線照射が活性酸素種に影響を与えることから、ミトコンドリア機能や抗酸化能に関連した実験を導入することを目標とする。これにより、放射線が神経細胞に及ぼす影響や、パーキンソン病の進行にどのような効果を持つのかを解明していく。 さらに、細胞実験で得られたデータを動物モデルで確認するため、6-OHDAを用いたパーキンソン病モデルを作製し、放射線照射がパーキンソン病の症状に与える影響を検証する。動物モデルを用いることで、細胞実験で得られた結果を実際の生体レベルで評価し、放射線療法の臨床応用に向けた重要な情報を収集できる。動物モデルでは、放射線の照射によってパーキンソン病の症状がどのように変化するかを観察し、安全な線量域を確認する。これによって、細胞実験での結果を実際の生体レベルで検証することが可能になる。特に、ミトコンドリア機能の変化はパーキンソン病の進行に影響するため、放射線がミトコンドリア機能に与える効果を確認する。
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