Project/Area Number |
23K15005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤井 悟 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, プロジェクト助教 (00964751)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 潰瘍性大腸炎 / クローン病 |
Outline of Research at the Start |
炎症性腸疾患の病態解明を困難にしている一要因は、腸上皮の再生過程を再現可能なin vitroの系が確立していないことである。近年、研究代表者らはマウス大腸上皮細胞の新規2次元培養モデルを確立し、腸上皮の「傷害→再生→治癒」過程をin vitroで再現することに成功し、細胞の「胎児化」や「再生特異的幹細胞」が重要な役割を司ることを示した。炎症性腸疾患患者の再生腸上皮においても、同様な機構が重要な役割を担っていると期待される。本研究では、独自の培養法を患者由来ヒト腸上皮細胞に応用し、炎症性腸疾患患者の上皮で繰り返される「傷害→再生→治癒」過程の分子生物学的全貌を明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患の病態解明を困難にしている一要因は、腸上皮の再生過程を再現可能なin vitroの系が確立していないことである。近年、研究代表者らはマウス大腸上皮細胞の新規2次元培養モデルを確立し、腸上皮の「傷害→再生→治癒」過程をin vitroで再現することに成功し、細胞の「胎児化」や「再生特異的幹細胞」が重要な役割を司ることを示した。炎症性腸疾患患者の再生腸上皮においても、同様な機構が重要な役割を担っていると期待される。本研究では、独自の培養法を患者由来ヒト腸上皮細胞に応用し、炎症性腸疾患患者の上皮で繰り返される「傷害→再生→治癒」過程の分子生物学的全貌を明らかにすることを目指す。 2023年度は当初の計画に従い、マウス細胞を用いて開発した2次元培養法を患者由来ヒト細胞に応用し、ヒト腸上皮の「傷害→再生→治癒」過程をin vitroで再現する培養モデルを構築した。これにより、恒常状態に類似した円柱上皮、傷害時の扁平細胞、再生過程の活発な細胞分裂を示す状態を再現し、各状態の遺伝子発現パターンが細胞構造変化や機能と相関することを確認した。また、傷害時の扁平細胞が一部「胎児化」遺伝子を発現することを明らかにした。 今後は多数の患者由来サンプルを用いてさらなる検証を進める。そしてこの新規モデルの開発・応用を続け、腸上皮細胞の「胎児化」と再生機構や炎症性腸疾患の病態との関連性の理解を深め、ヒト上皮細胞特異的な「胎児化」マーカーや「再生特異的幹細胞」の同定を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マウス細胞を用いて開発した2次元培養法を患者由来ヒト細胞に応用し、ヒト腸上皮の「傷害→再生→治癒」過程を細胞形態的および機能的にin vitroで再現する培養モデルを構築した。すなわち、恒常状態に類似した各種分化細胞を有する円柱上皮で構成される状態、傷害時に見られる扁平状の細胞で構成される状態、および、再生過程に類似した活発な細胞分裂を示す状態を再現し、各状態の遺伝子発現パターンが細胞構造変化や機能と相関していることを確認した。また、傷害過程の扁平な細胞は、「胎児化」遺伝子の一部を発現していることを明らかにした。本研究の成果の一部は、bioRxivに公開した(題名「Long-Term Monolayer Cultivation Captures Homeostatic and Regenerative Features of Human Colonic Epithelial Cells」、doi: https://doi.org/10.1101/2024.01.01.573838)。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を通じて独自に開発した2次元培養モデルを活用し、患者由来ヒト大腸上皮細胞を長期にわたって培養・観察すると共に、「傷害→再生→治癒」過程を繰り返すことで誘導されうる細胞構造や機能の変化を解析する。そして、培養条件や反復条件に変化を加え、再生過程にどのような変化が見られるかを検証し、再生制御機構の解明を目指す。また、再生過程における胎児化遺伝子の発現パターンやその制御機構を詳細に解析し、細胞の「胎児化」と再生機構との関連性を検証する。これにより、腸上皮細胞の「胎児化」に関する独自の仮説を立証し、細胞の「胎児化」が担う再生過程における役割を明らかにする。最終的には、炎症性腸疾患の病態解明や治療法の進展に貢献することを目指す。
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