Project/Area Number |
23K15069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉崎 哲也 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (10621716)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 表在型食道癌 / 内視鏡的粘膜下層剥離術 / 線維化 / 食道 / 狭窄 / RNA-seq |
Outline of Research at the Start |
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は早期食道癌の標準治療の一つであるが、病変が巨大な場合、術後狭窄によりQOLを著しく低下させる。しかし、ESD後の狭窄発症機構は全く明らかでない。 本課題では広範囲の食道ESD後の狭窄に注目し、患者検体を用いてmRNA発現の網羅的解析を行い、食道ESD後狭窄に関わる新規因子や分子メカニズムの同定を試みる。さらに標的因子と線維化の関連を、線維芽細胞株を用いた in vitro 実験で検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD) は早期食道癌の標準治療の一つであり、既にその治療は確立されている。しかし、病変が巨大な場合、術後に食道狭窄が生じることがあり、その狭窄は、患者のQOLを著しく低下させることから、臨床現場で課題となっている。しかし、ESD後の狭窄が発症する機構は不明であり、さらに、術前に腸管狭窄の発症を予測することは困難である。一般的に、狭窄は創傷治癒の修復不全によって生じる線維化が原因となることが知られており、腸管や、その他の臓器である皮膚・肝・肺などの線維化の基礎研究の結果から、関連する細胞や多くの分子機構が明らかとなっている。 その中で、線維芽細胞は大量の細胞外マトリックス (ECM) を産生することから、線維化における最も重要なエフェクター細胞の一つとしてよく知られている。しかし、その活性化の機構は複雑で一元的な理解が難しく、食道では、他臓器とその活性化機構が異なる可能性がある。また、ESDでは、電気による熱変性といった人為的な侵襲が加わることからも、他の疾患で生じる線維化の機構と異なる可能性が高い。 本課題では、広範囲切除が必要な食道ESD後に発生する食道狭窄の発生機構を明らかにするために、患者から検体を採取し、シークエンス解析によるmRNA発現の網羅的解析を行い、食道ESD後狭窄に関わる因子の同定を試みる。さらに同定された因子と線維化の関連を、線維芽細胞株を用いた in vitro 実験で検証する。本課題の完遂は、食道ESD後の食道狭窄の病態解明に繋がることから、治療にも応用できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題では、現在、以下の【課題1】を進めている。 【課題1】では、RNA-seq を利用してESD後に発生する食道狭窄に関連する遺伝子とその分子機構を同定することを目的とする。そのために、周在性 3/4周以上の食道表在癌を持つ患者で、当院にてESD治療を行う患者を前向きに登録し(目標登録症例数30例)、術前・術後の食道粘膜における遺伝子発現を、RNAシークエンス法を用いて網羅的に調査し、狭窄が発生する症例としない症例間の発現変動遺伝子を同定する。また、発現変動遺伝子解析により抽出した遺伝子群は、その関わる機能の解析のため、DAVID による GO 解析(https://david.ncifcrf.gov/home.jsp)や、Gene Set Enrichment Analysis (GSEA; https://www.gsea-msigdb.org/gsea/index.jsp) を行う。 なお、組織検体からのRNA抽出に関しては、他の研究課題で、大腸生検検体からのRNA抽出実験を行い、十分量のRNAが採取出来ることを確認した。また、本課題では、現在までに、神戸大学の倫理審査委員会の承認を経て1例目の登録を完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、引き続き、【課題1】を継続し、症例の登録を速やかに行う。 さらに、本研究では、【課題2】として、培養細胞株を用いて、同定因子の消化管線維芽細胞に対する影響を確認する予定である。具体的には、培養腸管線維芽細胞に対して、siRNAを用いて、【課題1】の発現変動遺伝子で選出した候補遺伝子に対して遺伝子発現抑制実験を行う。遺伝子の発現を抑制した後、定量 PCR 法やウェスタンブロット法、免疫染色法等を用いて、COL1A1 等の線維化関連マーカー遺伝子の発現に変化がみられるかを調査する。本実験においては、事前の準備として、腸管線維芽細胞株であるCCD-18Co 細胞株に対して、他の遺伝子のサイレンシング実験を行い、遺伝子Xが効率的にサイレンシングされること、さらには、遺伝子Xのサイレンシングの結果、ACTA2 等の線維化関連遺伝子の発現が低下することを確認している。
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