Project/Area Number |
23K15077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
有木 晋平 大分大学, 医学部, 客員研究員 (40849634)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 炎症性Th17細胞 / 制御性Th17細胞 / ケモカイン受容体 / 炎症性腸疾患 / Th17細胞 |
Outline of Research at the Start |
自己免疫疾患にはTh17細胞というヘルパーT細胞が重要で、近年、炎症を促進するpTh17細胞と炎症を抑制するrTh17細胞に分類できることが報告されているが、腸管での識別法は不明である。我々はこれまでに、ケモカイン受容体CCR6単欠損マウスは実験的腸炎が増悪するが、CCR2/6同時欠損マウスでは逆に軽症化する現象を見出した。この結果からpTh17細胞はCCR2/6両陽性の細胞で、rTh17細胞はCCR6単独陽性の細胞ではないかという着想を得た。本研究ではこれらを動物実験モデルで証明し、腸管における機能の異なるTh17細胞の識別法とTh17細胞を標的とした炎症性腸疾患の新たな治療法開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、腸管における炎症性及び制御性Th17細胞の識別法を確立し、これをIBD治療へ応用することである。 これまでマウスのIBDモデルであるDSS誘導腸炎を解析したところ、CCR6欠損マウスで重症化するが、CCR2/6二重欠損マウスでは有意に軽症化することを見出している。そこで、本年度、CCR2阻害剤であるプロパゲルマニウムをCCR6単独欠損マウスに投与したところ、野生型マウスより重症化していたDSS誘導腸炎が著明に軽症化することを見出した。すなわち、CCR2のシグナルが薬理学的に遮断されても腸炎が軽症化することが示された。 一方これまでの研究で、炎症性Th17細胞はCCR2/6両陽性で、制御性Th17細胞はCCR6単陽性であることが示唆された。本年度、腸管組織に存在するCCR6単陽性のTh17細胞を調べたところ、これらの細胞は制御性T細胞のマーカー遺伝子として知られるFoxp3が陽性であることが明らかになった。Foxp3とTh17細胞のマーカー遺伝子であるRORγtを同時に発現するT細胞は腸管組織の恒常性に重要なpTreg細胞と呼ばれる特殊な制御性T細胞であることが知られている。次の段階で炎症性及び制御性Th17細胞の遺伝子プロファイルを比較するためには両細胞を分離できる細胞表面マーカーが必要である。そこで、データーベースを解析したところ、pTreg細胞にCXCR6が高発現していることを見出しこれをフローサイトメトリーにて確認した。 今後、制御性Th17細胞をIBD治療へ応用するために、細胞移入による腸炎の抑制効果を検証する。その予備検討として野生型マウスの腸管組織からT細胞をRAG欠損マウスへ移入したところ、レシピエントの腸管組織に制御性Th17細胞の定着が観察されたが、その割合は低く、最適化のための条件検討が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はCCR2阻害剤によるCCR6欠損マウスの腸炎改善効果を確認することができた。このことは、CCR2がIBDの治療標的分子となりうることを示唆する重要な発見である。また、CCR6単陽性の制御性Th17細胞が、RORγtとFoxp3を同時に発現するpTreg細胞である可能性が示され、これを識別するための表面マーカーとしてCXCR6を同定した。さらに、制御性Th17細胞の移入によるIBD治療への応用に先駆け、腸管組織由来T細胞のRAG欠損マウスへの移入実験に着手した。これらの成果から概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析により、炎症性Th17細胞はCCR2/6陽性細胞で、制御性Th17細胞はCCR6/CXCR6陽性細胞であることが明らかになった。今後、さらに各Th17サブセットに特徴的な表面マーカーを同定するために、DSS腸炎を誘導したマウスの腸管粘膜固有層に集積したTh17細胞サブセットを回収して、遺伝子発現パターンを網羅的に解析する。 新たな細胞表面マーカーを用いて各Th17サブセットを回収し、レシピエントマウスに移入して腸炎やその他の臓器の炎症性疾患の病態に変化がみられるか観察する。例えば、ドナーのナイーブT細胞をRAG2欠損マウスに移入することで誘導される腸炎に新規マーカーで分離した制御性Th17細胞を同時に移入することで腸炎が改善されるか検討する。さらに、CCR6欠損制御性Th17細胞の腸炎改善効果も比較検討する。
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