Project/Area Number |
23K15083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
魚嶋 晴紀 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 肝炎・免疫研究センター, 上級研究員 (20752869)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | Streptococcus salivariu / 肝硬変 / 腸内細菌叢 / 肝性脳症 / Dysbiosis / Streptococcus 属菌 / ウレアーゼ |
Outline of Research at the Start |
肝機能が破綻している肝硬変では、血液中のアンモニア濃度が上昇し、脳内に蓄積されることで肝性脳症を引き起こす。申請者は、アンモニア産生に関与するウレアーゼ活性を有する“Streptococcus属菌”を、肝疾患患者の口腔および糞便より分類することに成功した。 そこで、申請者は、口腔由来Streptococcus属菌が腸に移行し、ウレアーゼ活性を示すことで、血中アンモニア濃度を上昇させると仮説を立てた。本研究では、肝疾患患者の口腔および糞便からウレアーゼ産生Streptococcus属菌を分離し、原因となる菌種を同定し、本菌種に特異的な配列を基に、その定量性から肝性脳症のリスク指標の開発を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
肝疾患患者の口腔および糞便からウレアーゼ産生Streptococcus属菌を分離し、原因となる菌種を同定を試みた。肝疾患患者のウレアーゼ産生Streptococcus属菌の腸管内占有率より、口腔内常在菌のS.salivariusの関与が疑われた。そこで、肝線維化とS. salivariusのウレアーゼ産生能について検討を行ったところ、肝線維化が進展した肝硬変では、口腔内に常在するStreptococcus属菌のウレアーゼ産生割合が増える可能性が示唆された。ついで、口腔に存在するStreptococcus属菌が腸内に移行・定着について検証をこころみた。アンモニア上昇に伴い肝性脳症が増悪した患者を対象に口腔内粘液および便検体を取得した後、DNAを抽出た。抽出したDNAよりS. salivarius の分類に利用されるcoaE遺伝子領域を対象としてPCRを行いS. salivarius基準株の延期配列と比較したところ、完全な一致が認められた。この結果より、肝硬変では口腔内に常在するウレアーゼ産生S.salivariusが腸管に定着する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、次の7つの行程で進められる。①肝疾患進展の評価 ② 口腔内および腸内細菌叢のメタゲノム解析 ③ Streptococcus属菌の分離・同定 ④ Streptococcus属菌のPFGE解析 ⑤ Streptococcus属菌のアンモニア産生試験 ⑥ Streptococcus属菌の定量解析 ⑦ 血中アンモニア濃度、肝疾患進展およびStreptococcus属菌の関連性評価。 ①‐⑤の大部分は達成しており、⑥定量解析も現在順調に進んでいる。一方で、③において口腔内Streptococcus属菌の分離は完了しているが、糞便由来の分離は現在のところ進展が遅れている。これにともない口腔内より大腸に定着する因子の同定の進展が遅れることが予想される。なお、⑥については、定量性に優れたデジタルPCRを使用する目途が付いており、本年度中に既に取得済みの検体を使用して行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、肝疾患(慢性肝炎、肝硬変、肝がん)進展の評価による対象患者の選定は終了しており、十分な検体が確保されている。さらに、肝性脳症に関与する起炎菌(S. salivarius )を同定したので、今後は、口腔および糞便より分離したS. salivarius の比較解析を進めていく。現在のところ口腔内菌株の培養は成功しているが、糞便由来の培養は達成していないため、培養環境を整える。さらに、Streptococcus属菌量と腸内・血中アンモニア濃度の関連性を評価するために、Streptococcus属菌の定量解析をすすめる。現在のところ従来のリアルタイムPCRでは、定量性が乏しいと判断し、従来のリアルタイムPCRに比べて特定遺伝子産物の定量性に優れたデジタルPCR(dPCR) を予定している。最終的には、本研究成果をもとに口腔内Streptococcus属菌を、オーラルケアを行うことで、肝性脳症の改善・予防が可能であるかどうか検証を行う。
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