アドレナリンβ受容体遮断が致死性不整脈につながるQT間隔延長の誘因となる機序の検討
Project/Area Number |
23K15143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
後藤 愛 東邦大学, 医学部, 助教 (30963623)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | カリウムチャネル / 慢性房室ブロック犬モデル / トルサード・ド・ポワンツ / QT間隔延長 / アドレナリンβ受容体遮断 |
Outline of Research at the Start |
先天性QT延長症候群2型の患者においてアドレナリンβ受容体遮断薬であるnadololが、心室不整脈の1つであるトルサード・ド・ポワンツ(TdP)の発生の抑制に有効であることが示されている。一方で、アドレナリンβ受容体遮断作用はカリウムチャネル遮断作用に起因するQT間隔延長をさらに延長させ、TdP発生を増加させる。しかし、いずれの機序も十分に解明されていない。本研究ではアドレナリンβ受容体遮断作用がカリウムチャネル遮断作用に起因するQT間隔延長の誘因となる機序を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
先天性QT延長症候群2型の患者においてアドレナリンβ受容体遮断薬が、心室不整脈の1つであるトルサード・ド・ポワンツ(TdP)の発生の抑制に有効であることが示されている。一方で、アドレナリンβ受容体遮断作用はカリウムチャネル遮断作用に起因するQT間隔延長をさらに延長させ、TdPの発生を増加させた。しかし、いずれの機序も十分に解明されていない。本年度の研究では、イソフルラン麻酔犬を用いて、アドレナリンβ受容体遮断下におけるaciclovirの心血管作用を評価し、その結果をaciclovir単独投与の結果と比較した。Aciclovirは、QT間隔延長を検出可能なハロセン麻酔犬モデルにおいて、QT間隔を延長したがTdPの誘発因子に影響を与えないことを報告した薬物である。イソフルラン麻酔犬に、アドレナリンβ受容体遮断薬であるatenolol(1 mg/kg)を5分間かけて静脈内投与し、アドレナリンβ受容体遮断作用を確認した後、aciclovir(20 mg/kg)を10分間かけて静脈内投与した。血行動態および電気生理学的指標を評価し、各指標の変化分をaciclovir単独投与の結果と比較した。Aciclovirの陽性変時・変力・変伝導作用はatenolol投与下で完全には抑制されなかったが、アドレナリンβ受容体遮断下におけるaciclovirは、単独投与と比較して、TdP誘発リスクの代理指標であるQT間隔、J-TpeakcおよびTpeak-Tendを延長した。この結果から、アドレナリンβ受容体遮断作用が、TdPの誘発因子となる細胞内Ca2+過負荷に起因する心室不整脈の誘発リスクを増加させ、TdPの基質となる空間的再分極時間のばらつきを増加させることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で実験の遂行に支障をきたすような課題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性房室ブロック犬を作製し、アドレナリンβ受容体遮断下における薬物のTdP誘発リスクの評価を行う。慢性房室ブロック犬は、薬物のTdP誘発作用を短期間で確実に直接証明でき、ヒトへの外挿が可能な動物モデルである。慢性房室ブロック犬にホルター心電計を装着し、覚醒下で、アドレナリンβ受容体遮断薬であるatenolol(1 mg/kg)を5分間かけて静脈内投与し、atenolol投与開始10分後にrisperidone(3 mg/kg)を10分間かけて静脈内投与する。Risperidoneは、ハロセン麻酔犬モデルにおいてQT間隔を延長したが、慢性房室ブロック犬モデルにおける単独投与ではTdPが発生しなかった薬物である。合計24時間の心電図データを記録し、TdP誘発リスクと心電図波形の経時的変化について評価を行う。具体的には、TdP発生の有無ならびにQT間隔、J-TpeakおよびTpeak-Tendの経時的変化を評価し、risperidone単独投与の結果と比較する。これにより、アドレナリンβ受容体遮断の有無によるTdP誘発リスクの違いを評価できる。また、心電図波形の分析により、QT間隔延長を増強する誘因となる機序を明らかにする。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)