Project/Area Number |
23K15385
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 54030:Infectious disease medicine-related
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松田 幸樹 鹿児島大学, 医歯学域ヒトレトロウイルス学系, 准教授 (70796193)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | HIV reservoir / HIV latency / HIV cure / HIVリザーバー / HIV潜伏感染 / HIV治癒 |
Outline of Research at the Start |
本研究計画では、HIV感染者の末梢血中に含まれる残存潜伏感染(リザーバー)細胞に対する詳細な解析法の確立と、生体におけるHIVリザーバー細胞形成メカニズムの解明及び新しいHIV潜伏感染細胞治療法の確立を最終目的として研究を行う。それにより実際の患者体内に存在する多種多様なHIVリザーバー細胞のクローン性増殖パターンの変化を明らかにし HIVリザーバー形成ならびに潜伏感染機序の全容解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、HIV感染者の末梢血中に含まれる残存潜伏感染(リザーバー)細胞に対する詳細な解析法の確立と、生体におけるHIVリザーバー 細胞形成メカニズムの解明及び新しいHIV潜伏感染細胞治療法の確立を最終目的として研究を行う。それにより実際の患者体内に存在する多種 多様なHIVリザーバー細胞のクローン性増殖パターンの変化を明らかにしHIVリザーバー形成ならびに潜伏感染機序の全容解明を目指す。 本年度では、HIV急性感染時からcART導入時、加療後の継続的な検体採取が可能である7名のHIV感染者から同意を得ることができ、血液検体の採取、末梢リンパ球を用いた残存HIV潜伏感染細胞に微量に存在するHIVプロウイルスの高感度解析系を樹立、量的・質的変化の経時的解析を進めた。cART導入前とcART導入後のCD4+Tリンパ球内に残存するHIVプロウイルス量を定量したところ、cell-associated (CA)-HIV RNA量はcART開始1年後には減少する一方で、CA-HIV DNA量はほぼ横ばいとなり治療による変化は見られなかった。次に、より高感度の検出系としてdroplet digital PCR (ddPCR) を用いて 将来的にウイルスを作り得るintactなプロウイルス量の治療前後の継時的な変化を評価した。cART開始1年後のintactおよび欠損型のプロウイルス量は有意に減少することが明らかとなった。また、cART導入後6年以上経過しており、血中ウイルス量も安定している慢性期のHIV感染者との比較を行ったところ、慢性期HIV感染者ではintactなプロウイルス量は有意に低いが、欠損型のプロウイルス量は急性期と同程度であり、数年間の治療を経ても減少せず残存したままであることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HIV感染者は治療により血中ウイルス (ウイルスRNA) 量は検出限界以下に減少するが、プロウイルス (HIV-DNA) 量は末梢血中に残存したままであるため、ddPCRを用いて将来的にウイルスを作り得るintactなプロウイルス量の治療前後の継時的な変化を評価することが重要であると考えられる。本年度は治療1年後の残存リザーバーサイズを比較することに成功したが、3-4ヶ月ごとのより短い期間での継時的変化についても比較する予定である。また継続してcART開始2年目のサンプルについても測定を実施する。抗原特異的なプローブを用いたin-situ hybridizationとFlow cytometryを組み合わせたRNA Flow-FISH法を用いた患者末梢血中のHIV mRNA発現感染細胞の免疫学的表現型の解析については、同法による患者末梢血中のHIV mRNA発現感染細胞のソーティングの予備検討を行った。採取可能な血液量から得られるリンパ球数では染色過程で細胞のロスが生じることに加え、適合しない蛍光色素がいくつかあることなどから、抗HIV p24抗体を用いたHIV Flow法でのソーティングの準備を進めている。本法では2種類の抗HIV p24抗体で染色し2重陽性細胞をHIVリザーバー細胞と定義するため、HIV gagタンパク質を産生し得るtranslation-competent HIVリザーバーの解析に資するものと考えられる。今後、ソーティング後の細胞におけるプロウイルスのクローナリティについての解析を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって、cARTの導入がHIV感染者体内で残存するreplication-competentなHIVリザーバー細胞を減少させる一方で、欠損を有するdefectiveなHIVリザーバー細胞への影響は少ないことが明らかになった。このような欠損型のプロウイルスはウイルスを産生できないためこれまで注目されてこなかったが、最近になってウイルスタンパクを産生し得ることが明らかとなり、それによって慢性的な炎症状態を惹起する可能性があると考えられる。次年度は、高度免疫不全マウスを用いたmVOA法によりreplication-competentなHIVプロウイルスの質的解析を行い、Ligation-mediated (LM) PCR法にてプロウイルスの組込み部位を解析、クローン増殖性パターンについての解析も実施予定である。
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