多発性内分泌腫瘍症2型における褐色細胞腫発生機構の解明
Project/Area Number |
23K15394
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 54040:Metabolism and endocrinology-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小笠原 辰樹 九州大学, 大学病院, 特別教員 (00926925)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 褐色細胞腫 / 多発性内分腫瘍症2型 / クローン進化 / 次世代シーケンサー |
Outline of Research at the Start |
多発性内分泌腫瘍症 2 型(MEN2)は褐色細胞腫と関連する代表的な遺伝性腫瘍症候群であり、生殖細胞系列のRET遺伝子変異が病因であるが、MEN2患者における褐色細胞腫(MEN2褐色細胞腫)の発症機序には不明な点が多い。本研究ではMEN2患者の副腎組織検体を用いて、レーザーマイクロダイセクション法を用いた微小なサンプリングと網羅的ゲノム・トランスクリプトーム解析により、MEN2患者における副腎髄質のクローン構造を詳細に解明し、MEN2褐色細胞腫の形成過程においてコピー数変化が果たす病態生理的役割の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では生殖細胞系列のRET遺伝子変異が副腎髄質のクローン構造に与える影響の解明、及びMEN2褐色細胞腫の形成過程においてコピー数異常(CNA)が果たす病態生理的役割の解明を目指している。 副腎髄質内のクローン構造を同定するため、副腎手術検体を用いたレーザーマイクロダイセクション法による微小なサイズのマルチサンプリング及び全エクソンシーケンス解析を行った。組織の採取範囲の調整やDNA抽出法の組み合わせを検討し、クローン同定の精度を最適化したサンプリング・シーケンス手法を確立した(200-400細胞/1サンプル)。MEN2患者2例の副腎髄質におけるマルチサンプリングでは、計12個中10個(83%)のサンプルでクローンが検出され、そのうち6個(50%)のサンプルではCNAが同定された。中でも、1番染色体短腕(1p)及び3番染色体長腕(3q)の同時欠失を有するクローンは4個(33%)のサンプルで検出され、これらのCNAを有するクローンのサイズは概して大きかった。一方で、病的な生殖細胞系列変異が明らかでない患者2例の副腎髄質においても計11個中2個(18%)でコピー数を有するクローンが検出されたが、1p及び3qの同時欠失を有するクローンの拡大は認めなかった。以上から、MEN2患者の副腎髄質においてはCNAを有するクローンが多発しており、中でも1pと3qの欠失を獲得した細胞集団が増殖優位性を獲得して、腫瘍形成に至ることが示唆された。 さらに、MEN2褐色細胞腫の形成過程においてCNAが果たす病態生理的役割を解明するため、MEN2患者の褐色細胞腫及び付随副腎を含むパラフィンブロックを用いたシングルセルRNAシーケンスを行い、データ取得済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に関する準備状況として、倫理委員会の承認は取得済みで、MEN2患者由来の副腎髄質検体も一定数収集済みであった。これらの検体を用いて、組織の採取範囲の調整やDNA抽出法の組み合わせを検討し、目標通り初年度にクローン同定の精度を最適化したサンプリング・シーケンス手法の確立に至った。追加症例の収集も進んでおり、データ解析中である。そのため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に確立したサンプリング・シーケンス手法を活用し、症例数を増やしてMEN2患者の副腎髄質におけるクローン構造の特徴について検討し、生殖細胞系列 RET 変異が副腎髄質のクローン構造に及ぼす影響を明らかにする。さらに、MEN2 患者の副腎検体由来の副腎皮質や周囲の脂肪組織を同様の手法で解析し、生殖細胞系列 RET 変異が及ぼすクローン構造への影響に関する組織間の差異を明らかにする。また、MEN2患者の褐色細胞腫及び付随副腎を対象としたシングルセルRNAシーケンス解析においては、発現プロファイルからCNA を推測するアルゴリズムを用いて細胞集団毎のコピー数プロファイルを同定し、異なるコピー数プロファイルを有する集団間の発現変動遺伝子解析によって、1pと3qの同時欠失などのCNA を有する細胞集団の生物学的特性を明らかにする。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)