Project/Area Number |
23K15413
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 54040:Metabolism and endocrinology-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武市 幸奈 九州大学, 大学病院, 助教 (70883891)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | マクロファージ / ミトコンドリア / 慢性炎症 |
Outline of Research at the Start |
肥満、糖尿病、脂肪肝等の生活習慣病の発症・進展には慢性炎症が深く関わる。ストレスに対する生体防御反応として生じた軽度な炎症が適切に収束されず様々な組織へ不可逆的な障害を生じることが慢性炎症の基盤である。慢性炎症の形成にはマクロファージの形質転換やメタボリックリプログラミングが重要な役割を担い、ミトコンドリア分裂がマクロファージの機能変化に関与することが示唆されているが詳細は明らかでない。本研究では、ミトコンドリア分裂によるマクロファージの形質転換とメタボリックリプログラミング制御機構を解明し、慢性炎症を基盤とした病態においてミトコンドリアダイナミクスを標的とした治療法の確立を目指している。
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Outline of Annual Research Achievements |
[目的] 肥満、糖尿病、代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD/MAFLD)などの生活習慣病の発症・進展には基盤病態として慢性炎症が深く関わる。慢性炎症の形成には、ミトコンドリア分裂・融合を介したマクロファージのメタボリックリプログラミングや形質転換の関与が示唆されているが、詳細は明らかでない。本研究では、ミトコンドリア分裂によるマクロファージの形質転換制御とメタボリックリプログラミング機構を解明し、慢性炎症を基盤とした病態においてミトコンドリアダイナミクスを標的とした治療法の確立を目指している。 [方法] ミトコンドリア分裂因子の一つであるMFFのfloxed(Control; CTL)マウスとLysM-Creマウスを交配し、マクロファージ特異的MFF欠損(KO)マウスを作製し、体重推移や摂餌量、エネルギー消費量と糖代謝、脂質代謝などの代謝パラメーターを解析した。次に、6~8週齢のCTLマウスとKOマウスに60%高脂肪食を負荷して肥満を誘導したマウスの表現型を解析した。 [結果] KOマウスは、メンデルの法則に従って出生し、胎生致死や発生異常を認めなかった。通常食で飼育したKOマウスはCTLマウスと比較して体重に有意な差は見られなかった。一方、高脂肪食を負荷したKOマウスではCTLマウスと比較して早期から体重が有意に低下しており、高脂肪食誘導性肥満に抵抗性がみられた。摂餌量とエネルギー消費量に両者の差はなく、高脂肪食負16週間後に臓器重量や血液代謝パラメーターの解析を行ったが、KOマウスとCTLマウスで有意な差は見られなかった。 [結論] マクロファージ特異的MFF欠損マウスを作製し、表現型を観察したところ高脂肪食誘導性肥満抵抗性を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、Cre/LoxPシステムによりマクロファージ特異的にMffを欠失したコンディショナルノックアウトマウスの作製と、CTLおよびKOマウスを用いたin vivoの実験と骨髄由来マクロファージ(BMDM)を用いたin vitroの実験を計画している。初年度は、コンディショナルノックアウトマウスの作製とその表現型の解析を中心に実験を行った。 まず、MFFのfloxedマウスとLysM-Creマウスの交配によりKOマウスを作製することに成功した。KOマウスは、メンデルの法則に従って出生し、胎生致死や発生異常を認めないことを確認した。次に、このKOマウスとCTLマウスを用いた表現型解析を進めた。CTLマウスとKOマウスは通常食で飼育しても体重推移と摂餌量、エネルギー消費量に差を認めなかった。そこで、慢性炎症を基盤とした病態を形成する目的で、60%高脂肪食を負荷し、高脂肪食誘導性肥満マウスの解析を試みた。高脂肪食負荷により、KOマウスではCTLマウスと比較して早期から体重が有意に低下していた。しかし、高脂肪食負荷したCTLマウスおよびKOマウスの摂餌量やエネルギー消費量には有意な差はみられなかった。高脂肪食負16週間後に臓器重量や血液代謝パラメーターの解析を行ったが、KOマウスとCTLマウスで有意な差はみられなかった。KOマウスの作製とin vivoの表現型解析により、KOマウスは高脂肪食誘導性肥満に抵抗性があることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、BMDMによるin vitro解析を中心に計画をしている。まず、KOマウスにおけるマクロファージ機能の評価を行う予定である。6~13週齢のCTLマウスおよびKOマウスの脛骨及び大腿骨から骨髄細胞を採取しL929細胞培養上清(40% v/v)を加えたマクロファージ分化培地(L929-conditioned medium)で7日間培養しBMDMを取得する。LPS刺激後、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6、IL-1β)のmRNA発現をRT-qPCRで、培養上清中濃度をELISAで測定しマクロファージの形質を評価する。 次に、KOマウスのマクロファージにおけるミトコンドリアの形態・機能の評価を行う予定である。上記と同様の手順で採取したBMDMにLPS刺激を行い、ミトコンドリア分裂関連因子(Drp1、Mffなど)やミトコンドリア融合関連因子(Opa1、Mfn2)のタンパク発現をウエスタンブロット法で確認する。あわせて、共焦点顕微鏡によりLPS刺激後のミトコンドリア形態を評価する。また、LPS刺激後のマクロファージのエネルギー代謝を細胞外フラックスアナライザーにより評価する。具体的にはXFミトストレステストを用いた酸素消費速度(OCR)測定によりミトコンドリアによるエネルギー代謝を、XF解糖ストレステストを用いた細胞外酸性化速度(ECAR)測定によりミトコンドリアによらない解糖系による代謝状態の変化を評価する。
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