Project/Area Number |
23K15489
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
川村 一郎 山形大学, 医学部, 助教 (00715378)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 大腸癌 / tumor budding / マクロファージ / single cell RNA / Treg / CAF |
Outline of Research at the Start |
大腸癌の予後因子の一つとして、浸潤先進部の間質にみられる1~4個の癌細胞の塊である簇出(budding)がある。予備実験では、budding領域の大腸癌細胞は抗癌剤に抵抗性であり、その周囲には多くのMφが存在していた。つまり、budding領域に存在する大腸癌細胞は、Mφと相互作用していることが示唆された。そこで、「budding領域では、TregやCAFといった他の間質細胞も大腸癌細胞と相互作用し、癌細胞の悪性度を高めている」と仮説を立てた。本研究では、budding領域における腫瘍間質相互作用のメカニズムを、AIによる空間解析とscRNA-seqを用いて明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌の罹患数と死亡数は増加傾向にある。大腸癌の予後因子の一つとして、浸潤先進部の間質にみられる1~4個の癌細胞の塊である簇出(budding)が用いられている。予備実験において、表層領域と比較して、budding領域の大腸癌細胞はイリノテカンに抵抗性であり、その周囲には多くのマクロファージ(Mφ)を認めた。つまり、budding領域に存在する大腸癌細胞は、Mφと相互作用していることが示唆された。R5年度は、この予備実験の内容を詳細にまとめ、英語論文として発表することができた(Cancer Cell Int. 2024.14;24:107. doi: 10.1186/s12935-024-03292-7.)。 我々は、「budding領域では、Mφのみならず、TregおよびCAFといった他の間質細胞も大腸癌細胞と相互作用し、癌細胞の悪性度を高める役割を担う」と仮説を立てた。本研究の目的は、budding領域における大腸癌細胞と腫瘍促進性の間質細胞の同定およびその分子メカニズムの同定である。 R5年度は大腸癌の生標本を用いてRNAの抽出・サンプリングを行った。現在、順調に症例を蓄積しているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R5年度は予備実験の論文化にかなりのエフォートを割いた。 その上で、病理診断学講座と協力しながら、大腸癌手術症例から生標本を採取し、そこからRNAの抽出・サンプリングを行った。症例は順調に蓄積できている。 また、CAFについては過去の大腸癌標本(FFPE)を用いて各種免疫染色を行い、大腸癌間質におけるCAFの分布や、より予後と関連する細胞マーカーを検討した。 これらのデータを利用して、R6年度以降も円滑に実験が進められると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1) budding領域のサンプリング;手術で摘出した大腸癌標本に手術室で割を入れて、その検体をすみやかに病理部に搬送する。片方(スライスA)をAIによる空間解析用にする。残りの腫瘍部分から5 mm角の組織(表層とbudding領域)を採取しscRNA-seq用とする(スライスB)。budding領域を選定するために、迅速に凍結切片を作製し確認する。Chromium iX(10x GENOMICS)を用いて大腸癌細胞、Mφ、Treg、CAFごとに分離する。 (2) budding領域に誘導されるTregの同定;AE1/AE3, CD68, CD163の免疫染色で評価された箇所の連続切片を用いて、Treg(Foxp3)の免疫染色を行う。AI(HALO)を用いて、免疫染色陽性細胞の数と分布を解析する。さらに、AIによる組織学的な空間解析では、組織切片上でのbudding領域において、大腸癌細胞、Tregの局在やそれぞれの位置関係を可視化し、相互作用を明らかにする。 (3) 大腸癌のscRNA-seqを用いた大腸癌細胞-間質細胞(Mφ, Treg, CAF)の相互作用のキーとなる因子の同定;scRNA-seqを行い、網羅的なmRNA発現解析を行う。これらの結果から、budding領域における大腸癌細胞と間質細胞に発現するLigandとReceptorをそれぞれ同定し、大腸癌-間質細胞の相互作用に関与する分子メカニズムを明らかにする。
|