Project/Area Number |
23K15513
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中澤 信博 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (60881290)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 胃癌 / TGFBI / 免疫チェックポイント阻害剤 / 癌関連マクロファージ / EMT / 抗TGFBI抗体 |
Outline of Research at the Start |
申請者らは、癌部のTGF-βシグナルの活性化により誘導され、悪性度や治療抵抗性を引き起こすTGFBI蛋白の癌間質部発現が、肺癌抗PD-1抗体に対する治療抵抗性に関連することを報告した(Nakazawa N,Yokobori T, et al. Ann Surg Oncol 2020)。我々の研究グループではヒトならびにマウスに反応性を示す抗TGFBI抗体の確立にも成功した(若手研究21K16440)。そこで今回、ヒト体内を疑似的に再現したex vivoやマウスを使用したin vivo研究を通し、免疫チェックポイント阻害剤の薬効を抗TGFBI抗体により増強できるのか、できるとしたらそのメカニズムを明らかにし、抗TGFBI抗体による革新的な胃癌治療について検討を深める。
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Outline of Annual Research Achievements |
胃癌においては、HER2陰性の切除不能な進行・再発胃癌または胃食道接合部癌に対する一次治療として、Nivolumab+化学療法が実臨床で使用されている。そこで治療効果予測マーカーの同定や、抗腫瘍効果を高めるべく研究が求められる。 今回、SMADの下流でTGF-βシグナルの活性化によって鋭敏に発現誘導することが報告されているTGFBIに着目することとし、まずは臨床データの収集を行った。 (1)2021年8月から2023年1月の間で、群馬県内12施設で一次治療で化学療法+Nivolumabが使用された104例を対象とた。平均年齢は69歳で、男性69例・女性35例であった。胃癌92例・接合部癌11例であり、再発症例は20例(19.2%)であった。併用レジメンでは、SOX74例(71.2%)と最多であった。CR/PR 57例(55.3%)・SD/PD 46例(44.7%)であった。irAEは23例(22.1%)発症しており、Grade3以上は12例(10.6%)であった。 (2)胃癌切除検体を使用し、ex vivoを数例施行した。胃癌検体は間質が豊富であり、組織スライスに難渋している。現在アガロース包埋生検体の処理や、組織スライスについて調整を行っている。今後は、抗TGFBI抗体(フランスモンペリエ大学と共同開発)、anti-PD-1抗体、抗TGFBI抗体+anti-PD-1抗体、投与なしの4条件でex vivoを施行し、組織スライスの免疫染色にてヒトがん組織におけるT細胞マーカー、癌関連マクロファージ、癌関連線維芽細胞、炎症性サイトカインについて検討を行う予定である。また並行して胃癌切除検体の空間的遺伝子解析を施行している。こちらの解析は終了しており、胃癌間質TGFBI発現と、各種免疫細胞マーカーとの関連を評価している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
組織スライスに難渋している。組織スライスが安定的にできれば、今後は抗TGFBI抗体を使用し、詳細な検討を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ex vivoが安定的にできるように、組織スライス技術の向上を目指す。その上で、下記検討予定である。 (1)胃癌切除検体を使用し、ex vivoを継続する。 (2)癌関連マクロファージはM1とM2が知られており、ともにtumor phagocytosisを有するが、M1の方が腫瘍貪食能やtumor phagocytosis活性が高いとされる (Zhang M, Hutter G, et al. PLoS One 2016)。先の我々の研究でTGFBIはCD163陽性マクロファージから産生することが示されたが、CD163陽性マクロファージはM2より誘導される。抗TGFBI抗体を使用することで、腫瘍内微小環境のM1/M2比を改善するか検討を行いたい。またマクロファージに発現しているSIRPαと癌細胞に発現しているCD47が結合すると、マクロファージの貪食作用が抑制されることが知られている(Advani R, Flinn I, et al. N Engl J Med 2018)。そこで抗CD47抗体を投与することにより、抗腫瘍効果や免疫細胞、また癌間質における癌微小環境の変化について、ヒト体内を疑似的に再現したex vivoにて検討を行いたい。その上で抗CD47抗体と抗TGFBI抗体の併用意義についても同様の検討を行いたい。 (3)免疫系ヒト化免疫不全マウス(hCD34+細胞移植NOGマウス)を使用し、胃癌細胞株を使用した腹膜播種モデルマウスを確立する。このマウスを使用し、抗TGFBI抗体、anti-mouse PD-1抗体、ならびに抗TGFBI抗体とanti-mouse PD-1抗体の併用投与を行うことで治療効果を増強できるかを検証する。抗TGFBI抗体がどのシグナル経路に関与してanti-PD-1抗体の治療効果を増強させるのかを、FACS解析、次世代シークエンス解析で明らかにする。
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