Project/Area Number |
23K15529
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 誉 自治医科大学, 医学部, 助教 (60625573)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
|
Keywords | 炎症 / 細胞死 / 腸管虚血 / インフラマソーム / パイロトーシス |
Outline of Research at the Start |
腸管虚血再灌流(I/R)障害は、腸管自体の障害のみならず、遠隔臓器障害もきたして全身性炎症や多臓器不全を惹起するが、その分子機構は不明である。腸管に高発現しているGasdermin DおよびE(GSDMD/GSDME)はインフラマソームと呼ばれる炎症惹起分子複合体で活性化される孔形成分子であり、GSDMD/GSDMEのプロセシングによりパイロトーシス(Pyroptosis)と呼ばれる炎症性細胞死が誘導される。本研究では、腸管恒常性や腸管I/R障害におけるGSDMD/GSDMEおよび、その下流のパイロトーシスの役割を解明することを目的に研究を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
定常状態におけるガスダーミンの発現部位を検索したところ、野生型マウスの腸管では、粘膜固有層に存在する炎症細胞ではなく腸管上皮細胞に有意にGSDMEが発現しており、さらに細胞膜近傍で発現が強く認められた。特に小腸では空腸側よりも回腸末端で強く発現していた。これらのことから、腸管では定常状態においてもガスダーミンが機能していることが考えられた。 またGSDMD欠損マウスは既に所有していたため、研究に先立ちCRISPR/Cas9法を用いてGSMDE欠損マウスを作成した。GSMDEの欠損は、Western Blot法やqRT-PCR法を行いタンパクレベルもしくは遺伝子レベルでの欠損を確認した。これらGSDMDあるいはGSDME欠損マウスを使用し腸管虚血再灌流障害モデルを作成し、予備検討として表現型を検索したところ欠損マウスで予想に反して生存率の増悪を認めた。 機序解明のため、まず定常状態での腸管を比較することにした。GSDME欠損マウスでは野生型マウスと比較し、組織学的に杯細胞・タフト細胞の過形成とmRNAレベルでTh2サイトカイン(Il4,Il5,Il13)の著しい上昇を認め、欠損マウスで2型免疫賦活化の可能性が示唆された。しかし、検索を進めていた際に偶発的に大腸蟯虫感染を認め、駆除後のマウスでは2型免疫賦活化が消失しており、蟯虫感染に伴う一時的な表現型であったと判断した。 以上のように大腸蟯虫感染が生じてしまったため、駆除を行い現在表現型の再検索を進めている。 また上記の如く動物実験で駆除による遅れが生じたため、細胞実験も開始している。まず所有していた腸管上皮細胞株での、ガスダーミンの発現をWestern Blot法で確認した。現在、ガスダーミンの強制発現あるいは欠損細胞株の樹立を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まずGSMDE欠損マウスを作成し、野生型マウスとガスダーミン欠損マウスで虚血再灌流障害下での表現型を検索した。ガスダーミン欠損マウスで生存率が低下するという予想とは異なる結果が得られたが、その後大腸蟯虫感染が判明してしまった。このため、蟯虫駆除を行った後に表現型の再検索を行う必要性が生じた。現在、駆除を行った後に再度実験を進めている。この大腸蟯虫感染に伴い、大幅に実験計画が遅れてしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
大腸蟯虫感染に伴い、実験計画が大幅に遅れてしまったが、現在駆除完了を確認し再度実験を進めている。今後は再度虚血再灌流障害モデルでの生存率や組織障害等の表現型を検索し、実験計画の如くその機序解明を進めていく。 また今後は欠損マウスを使用した動物実験とともに、細胞実験の併施も検討している。細胞実験を進めるべく、現在腸管上皮細胞株へのGsdmeの遺伝子導入を試みている。細胞実験では、ガスダーミン発現下あるいは欠損下での低酸素環境刺激による表現型等を検索し、カスパーゼ阻害薬等を使用しその機序を探索予定である。
|