Project/Area Number |
23K15614
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55060:Emergency medicine-related
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
戸上 由貴 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (50866936)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
|
Keywords | 衝撃波 / 爆傷 / 高次脳機能障害 / 衝撃波外傷 / 慢性炎症 / 軽症頭部外傷 |
Outline of Research at the Start |
衝撃波による軽症頭部外傷は長期に渡る障害を引き起こし、一般市民においてもテロなどにより受傷する可能性がある世界的に重要な問題である。 本研究では、受傷直後には変化が確認できないが、亜急性期にうつ様行動や短期記憶障害といった行動学的異常を示し、その時期にMRIで海馬において炎症が顕著となり同部位の神経細胞に変性をきたすことがわかっている衝撃波軽症頭部外傷ラットモデルを用いる。 本モデルで①脳組織、②髄液、③血液におけるmessengerRNA、microRNA、タンパク質を測定することにより、衝撃波軽症頭部外傷において炎症がどのように起こっているのかを明らかにし、治療につなげることを目的としている。
|
Outline of Annual Research Achievements |
すでに完成している「頭部のみに衝撃波を与えた軽症頭部外傷ラットモデル」を用いて実験を行った。以前と同じ設定で衝撃波を頭部に当てたところ、モデル動物の死亡率が上昇しており衝撃波発生装置の調整を先に行うこととした。導入していた衝撃波記録装置により衝撃波の精査を行うと、先行論文と同じ条件でも以前より強い圧が出るようになってしまっていることがわかった。先行論文で報告したのは646.2±70.3 kPaであったが、本年度は900-1000kPaまで上昇していた。 衝撃波を先行論文と同等にするため、①ガス圧調整、②アルミ製の金属板の調整を行った。 ①ガス充填圧を従来より低く設定し衝撃波を発生させ記録した。衝撃波のpeakは大きく変化せず衝撃範囲が変化する可能性を考慮し、ガス充填圧の調整は行わず従来どおりとすることにした。 ②次にアルミ板の調整を行った。まずは厚さを変更し従来のものより薄くした。薄くしたアルミ板を用いて衝撃波を発生させると、Peak圧は430kPaまで下がってしまい、過去の衝撃波より弱く不適と判断し、厚さは従来どおりとした。続いてアルミ板の厚さではなく加工を変更し、材質は従来のもののまま、加工を変更したものを使用した。変更したアルミ板を用いて衝撃波を発生させると従来と同等のpeak圧を示した。この新しいアルミ板を用いて動物モデルを作成すると、先行論文と同等の体重減少および、空間認知機能の低下を認めるモデルが再現できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
衝撃波発生装置に使用している消耗品のアルミ板の材質変更のため、衝撃波の大きさが変化した。 そのため、先行論文と同等の実験環境を整えるためアルミ板の調整を行う必要があり、材質や加工、厚さなどを変更した。そのうちどれが最適化を確かめるのに時間を要したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
先行論文と同等のモデルが作成できていることを時間をおいて再度確認し、条件を確定させるのを第一優先で行う。モデルの確立を確認できれば、モデルの血液採取・髄液採取を行う。 1) 脳組織、特に今までの研究で画像的・組織学的変化を認めている海馬(CA1領域), 2) 全身反応として全血に対する解析手法を以下に示す。a)コントロールと比較して、優位に上昇(log2 fold change 1以上を想定)したmRNAおよびmicroRNAを評価することで 、意義の高い分子を明らかにする。b) 抽出されたmRNAおよびmicroRNAを用いてIngenuity Pathway Analysis(IPA, QIAGEN社)を行い、爆傷外傷における重要なパスウェイを同定する。c) b)のパスウェイの中で、上方制御因子(IPAで評価)やモデルラットの症状に関連する分子を解明する。 c)の結果としてのタンパク質の変化を以下の組織を検証; IL-6, IL-8, IL-10, TNF-α, GFAP, UCH-L1等を想定。(1) 脳脊髄液、2) 血清)。これにより、mRNAがどう変化し、microRNAの抑制作用がmRNAにどのように影響しているか、それらの結果としてタンパク質がどのように変化しているかを明らかにすることが可能になる。その結果、衝撃波による軽症頭部外傷において体内でどのようなシグナルが活性もしくは抑制されているかが判明すると考えている。同時に、Y迷路試験(短期記憶)、強制水泳試験(うつ様行動)、オープンフィールド試験(不安関連および探索的行動)などといった行動試験を行い、炎症反応と行動学的異常の関わりを調査する。
|