Project/Area Number |
23K15669
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56010:Neurosurgery-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
春間 純 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70875898)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | くも膜下出血 / 神経炎症 / くも膜下出血後遅発性虚血脳障害 / HMGB1 |
Outline of Research at the Start |
クモ膜下出血の発症は加齢と共に増加し医療や社会において大きな問題となっている。特に高齢者におけるクモ膜下出血後脳障害は重篤となりやすくそのメカニズムの解明や、その治療開発が望まれている。クモ膜下出血後脳血管攣縮が生じることで遅発性虚血脳障害を合併するが、その原因の中で神経炎症に着目し、この主原因としてHigh mobility group box-1 (HMGB1)に注目した。本研究では、若齢ラットを用いた研究実績を基盤として、高齢者様頭蓋内血管ラットを開発し(高齢者における頭蓋内動脈硬化と慢性血管炎症をラットに再現)、高齢者のクモ膜下出血後脳障害のメカニズムの解明やその治療開発を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
高齢者様頭蓋内血管ラット(高脂血症ラット)は、Wistarラットに対して高コレステロールdiet(1% cholesterol, 0.5% bile salts, 2% lard oil and 96.5% maintain diet)を6週間自由摂食下で飼養した。週に1回体重測定を行い、通常飼育群と比較したところ、有意差は無いが通常飼育群の方が体重増加を認めた。一方で、脂質の生化学評価ではT-cholとLDL-Cholの項目は高脂血症ラットで有意に高値を認めた。生化学評価により高脂血症ラットモデル作成は達成できている。 続いて、頭蓋内神経炎症の評価として、免疫組織学的評価を行ったところ、高脂血症ラット群では前頭葉のアストロサイト内でHMGB1の核外放出が生じている細胞を多く認めた。また同様に脳底動脈を観察したところ、中膜平滑筋層においてHMGB1の核外放出が確認された。前頭葉及び脳底動脈のWesternBlotでも高脂血症ラット群において有意にHMGB1が低値出会った。この結果から、高脂血症ラットではHMGB1による脳内及び頭蓋内血管に慢性炎症が生じていることが示唆された。また、HMGB1に関しては、血中HMGB1をELISAで測定したところ、高脂血症ラット群で有意にHMGB1が上昇していた。これは、高コレステロールdietによる脂肪高負荷によってHMGB1のDAMPカスケードが活性化され、頭蓋内に加えて全身の炎症反応が惹起してている可能性が示唆された。 上記より本年度は高脂血症ラット作成が達成でき、頭蓋内及び頭蓋内血管におけるHMGB1を基盤とした炎症反応が生じていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、頭蓋内動脈硬化による慢性血管炎症メカニズムを証明し、その慢性血管炎症がクモ膜下出血後脳血管攣縮に及ぼす影響を解明する予定である。そこで、本研究では若齢ラットを用いた研究実績を基盤として、①高齢者様頭蓋内血管ラットモデルを開発し(高齢者における頭蓋内動脈硬化と慢性血管炎症をラットに再現)、②高齢者のクモ膜下出血後脳血管攣縮のメカニズムの解明や、③その治療開発を目的とする。次の3つの研究項目を実施する。 高齢者様頭蓋内血管ラット(高脂血症ラット)として、Wistarラットに対して高コレステロールdiet(1% cholesterol, 0.5% bile salts, 2% lard oil and 96.5% maintain diet)を6週間自由摂食下で飼養した。高脂血症の評価として、採血を行い生化学評価を行った。評価項目としてTG, T-chol, LDL-Chol, HDL-Cholを測定した。通常飼育群と比較してHDL-Chol以外はいずれも統計的有意な差を認めた。高齢者のクモ膜下出血後脳血管攣縮のメカニズムの解明として、上記高脂血症ラットに対してinjectionくも膜下出血モデルを作成し、48時間後にsacrificeを行い、脳血管攣縮の評価を行った。脳血管攣縮の程度として脳底動脈の形態評価をHE染色で行ったが、脳血管攣縮の程度には通常飼育群と高脂血症ラット群では有意な所見は認めなかった。現在は、研究テーマ①と②を中心に行っており、③の治療開発(抗HMGB1抗体投与)までの研究実施に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
各研究テーマ①高齢者様頭蓋内血管ラットモデルを開発し②高齢者のクモ膜下出血後脳血管攣縮のメカニズムの解明、③治療開発に対して、まず①の病態モデルに関して、採血結果で高脂血症を生じている事は証明できているが、これが頭蓋内動脈硬化にまで至っているかを評価する。具体的には頭蓋内血管の組織学的評価を行ったり、電子顕微鏡で詳細な形態評価を実施する予定である。②に対して、これらのモデルラットを使用してくも膜下出血モデルを作成し、脳血管攣縮の程度や神経炎症の違いなどを評価する予定である。まずは、くも膜下出血モデルが確実に重症モデルとなっていることを確認するために、自己血注入時に頭蓋内圧モニタ(ICP)を測定しながらモデル作成を行う。続いて、くも膜下出血後の神経炎症の具体的な評価として、TUNEL染色等で脳実質内のアポトーシスが生じているかどうかを検証し、またRT-PCRやWesterm Blotで炎症系サイトカイン(NF-κB、TNF-α、IL-6、RAGE、TLR4、HMGB1)を評価する。③の治療開発に関しては、HMGB1抗体の投与方法に関しては、以前の研究のプロトコールがあるので、抗体準備を行っていく。また、その他の治療開発として、抗炎症作用を有する水素水や水素ガス吸入療法に関しても治療効果を検証し、必要に応じて治療開発研究に組み入れていく予定である。
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