Project/Area Number |
23K15756
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56030:Urology-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
古城 公佑 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (30828158)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 男性不妊症 / 精液検査 / 分割射精サンプリング / 不妊 / 微量元素 / 血清 / 精漿 |
Outline of Research at the Start |
精子DNA損傷など不妊の原因となる潜在的な精子形成異常を従来の精液検査で特定するのは難しい。本研究では血清・精漿中の微量元素プロファイルの変動は、正常な精子形成と関連しているのか?」という学術的「問い」を基板として、ICP-MS法(誘導結合プラズマ質量分析法)による血清・精漿中の微量元素の網羅的測定に基づいた不妊の新たな評価方法の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ICP-MS法(誘導結合プラズマ質量分析法)を用いて血清および精漿中の微量元素を網羅的に測定し、新たな不妊評価方法の開発を目指している。これまでに各研究協力施設の不妊外来を受診した患者299名のデータ収集が完了し、このデータセットを用いた解析作業に着手している。この研究は不妊治療の臨床現場での問題に対して、根本的な解決策を提供する可能性を有している。不妊男性の血清と精漿の微量元素プロファイルは、ICP-MS法を用いて安定的に同定され、特に精子の品質に影響を与える亜鉛やセレンなどの元素が注目されている。これらの元素は精子細胞膜の安定化や遺伝子保護に関与しており、精子の機能に直接的な影響を及ぼす可能性がある。また、男性ボランティアから提供された精漿を用いた予備実験では、精漿中および血清中から20種類以上の微量元素を安定的に同定する測定手法が確立されている。分割射精サンプリングによる実験では、射精の早期分画と後続分画で微量元素の濃度に大きな違いが確認され、精子の生理的プロセスと微量元素の動態が密接に関連していることが示されている。さらに、これらの初期データを基に、教師なし機械学習の手法を用いた男性不妊症の分類モデルの開発が進行中である。このアプローチにより、従来の不妊評価方法には見られない新たなパターンや関連性を発見し、精子形成の異常をより詳細に把握することが期待されている。この網羅的な分析は、将来的に不妊治療のパーソナライズに貢献し、治療の選択肢を拡大することに繋がると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力施設における不妊外来を受診した患者を対象に多施設共同研究を開始し、既に解析の方向性を決定することができた。この研究では、精液サンプルにおけるICP-MS法を用いた測定方法の再検証も継続され、試薬の種類や測定機器の設定を詳細に検討し、最適化を図った。さらに、患者の臨床データに基づいて、生殖器の超音波画像、喫煙歴、サプリメントの摂取状況、内分泌的特性、および妊娠予後を含めた広範なデータベースの構築を進めており、これらのデータを用いて論文の執筆も進めている。さらに、精子の品質に影響を与える可能性のある微量元素の動態を分析するため、ICP-MS法による詳細な元素分析が重要である。この技術により、微量元素が精子の形成と機能にどのように関与しているかの理解が深まり、不妊治療の新たな治療戦略が提案されている。患者から収集した生物学的サンプルの分析を通じて、特定の微量元素が精子形成における重要な役割を果たすことが明らかになりつつある。精子形成に影響を与える要因を探索的に分析するために、教師なし機械学習の手法を利用しており、これにより複雑なデータセットから有意なパターンを抽出し、精子の質に最も影響を与える因子を同定している。これらの研究成果は、将来的に不妊治療の個別化に貢献し、より効果的な治療方法を提供するための基盤を形成している。これらの進捗状況から、研究の進展は「おおむね順調に進展している」と判定される。
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Strategy for Future Research Activity |
関連研究による成果であるICP-MS法を用いて測定した癌患者と非癌健常者の計8000人分のアーカイブデータは、男性生殖器の機能に関連した因子の評価に新たな洞察を提供している。このデータを基に、男性不妊症の評価方法をさらに洗練させており、特に精子形成に影響を与える微量元素の同定に焦点を当てている。また、これらの微量元素の体内濃度と不妊症との関連を明らかにし、不妊治療の効果を向上させる新しいアプローチの開発を目指している。精索静脈瘤手術後や、漢方薬、抗酸化物質、酵素製剤を含む薬物療法を受けた患者の追跡調査も計画中である。この調査は、これらの治療が微量元素のプロファイルにどのような変化をもたらし、それが精子の質や機能にどのように作用するかを詳細に分析することを目的としている。この分析は、特定の治療が男性の生殖機能に及ぼす実際の効果を理解する上で重要である。これらの研究活動は、不妊症の治療に関する現在の理解を深め、より効果的な治療方法の確立に寄与することが期待される。最終的には、これらの成果が臨床現場での不妊症の診断と治療に具体的な改善をもたらすことを目指しており、これからの展望として具体的な実施計画が進行中である。
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