Project/Area Number |
23K15810
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56040:Obstetrics and gynecology-related
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
吉野 芙美 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (80757170)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
|
Keywords | 新生児低酸素性虚血性脳症 / 脳性麻痺 / ナノ粒子 / フリーラジカルスカベンジャー / ポリグリセロール |
Outline of Research at the Start |
子宮内もしくは分娩時の低酸素環境によって引き起こされる新生児低酸素性虚血性脳症は、脳性麻痺などに代表される中枢神経障害の原因となり、周産期医療における最も重篤な疾患のひとつである。新生児HIEの治療として唯一治療効果が確認されている脳低温療法は、新生児HIEの発症率を11%低下させるに留まり、新たな治療戦略が求められて久しい。 新生児HIEの病態の鍵となるのが低酸素や虚血・再灌流に伴い発生する活性酸素種であるが、本研究に先立ちポリグリセロールで表面修飾したナノ粒子が強力な活性酸素除去能を持つことを発見した。本研究は、そのポリグリセロール修飾ナノ粒子を用いた新生児HIEの新規治療法の開発を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ポリグリセロール(PG)修飾ナノ粒子を新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)の新生児マウスモデルに投与し、病変における活性酸素を除去することで予後を改善し得るか、について検討を行う。 2023年度はHIEの新生児マウスモデルのMRI撮像条件の検討およびPG修飾ナノ粒子の投与方法についての検討を行った。 4.7T MRIを用いて新生児マウスの頭部の撮像を行い、新生児低酸素性虚血性脳症の評価に必要な線条体および海馬の萎縮について評価し得る画像を得ることができる条件を見出した。 また、ナノ粒子の投与方法については、当初静脈内投与を検討していたが、生後10日目の新生児マウスの静脈に薬剤を投与することは困難であったため、腹腔内投与および脳室内投与で検討を行った。PG修飾ナノ粒子の中心部分は超常磁性酸化鉄で構成されているため、MRIでは陰性造影剤として機能する。PG修飾ナノ粒子を腹腔内投与した後、MRIの撮像を行ったところ、頭部の脳実質外は造影されたが、脳実質や脳室は造影されなかった。このことより、少なくともHIEマウスモデルでは、PG修飾ナノ粒子が血液脳関門を通過できない可能性が考えられた。HIEの病変にナノ粒子を直接送達するため、脳室内投与を行うこととした。脳室内投与を行った後、MRIを撮像し、脳室内にナノ粒子が投与できていることが確認できた。 現在、ナノ粒子の投与量および投与のタイミングについて条件検討を行っているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HIEマウスモデルへのPG修飾ナノ粒子の投与方法について、研究開始当初は静脈内投与を行う計画であったが、新生児マウスの静脈内投与が手技として困難であった。したがって、投与経路をを腹腔内投与または脳室内投与に変更することとし、それぞれについて検討を行ったことから、当初の研究計画よりもやや遅れている状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
新生児マウスHIEモデルに対して、PG修飾ナノ粒子を脳室内投与を行うことで、脳の病変周囲にナノ粒子を送達することに成功した。現在、ナノ粒子の投与量および投与のタイミングについて検討を行っている。本研究の治療ターゲットはフリーラジカルであるが、フリーラジカルが産生される時期に、ナノ粒子が病変に高濃度で存在する必要があり、投与の有効な投与のタイミングについて、過去の文献を参考にしながら慎重に検討を行っていく予定である。 また、本研究において、HIEの予後評価項目として、MRIによる脳萎縮率と、マウスの行動試験がある。病理組織で脳萎縮率を評価する場合、同一マウスで行動試験を行うことはできないが、MRIで評価した場合、画像評価したマウスと同一のマウスで行動評価を行うことができ、脳萎縮率と行動試験の相関についても考察できる上に、効率的に研究を推進することができると考えている。
|