ワクチン投与後のインフルエンザウイルス感染による扁桃組織内の免疫応答の検討
Project/Area Number |
23K15865
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56050:Otorhinolaryngology-related
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
上尾 綾子 大分大学, 医学部, 客員研究員 (70973238)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | インフルエンザウイルス / ワクチン / 口蓋扁桃 / CD8陽性T細胞 / 扁桃 / 粘膜免疫 |
Outline of Research at the Start |
ワクチン接種後のヒトの扁桃組織を用いることで、上気道組織内の抗体産生や免疫細胞の誘導を検討し、フェレット血清と比較することでインフルエンザワクチンに用いられる推奨株と流行株の乖離の原因を明らかにすることが目的である。 扁桃組織を用いることで血清とは異なり実際の上気道組織内での免疫誘導や抗体産生などを測定することが可能となる。実際に臨床の場で扁桃摘出術を行なっている我々耳鼻咽喉科医が得意とする研究であり、トランスレーショナルリサーチの一つとして将来的に世界中のインフルエンザウイルス感染により生命の危機に陥る人々の利益に沿うことができると考えている。
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Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザウイルスに対する血清抗体価を調べるため本邦でインフルエンザウイルスワクチンに使用されているH1N1, H3N2, B(山形)、B(ビクトリア)型のHemagglutination inhibition (HAI)テストを行った。またインフルエンザウイルスワクチンに対する特異的抗体産生を測定するためH1N1とH3N2のELISAも施行した。扁桃組織内のサイトカイン産生を測定するためPhytohemagglutinin (PHA)とConcanavalin A (Con A)にてリンパ球の細胞刺激を行ったのちIFN-rとIL-4のELIspotを行った。HAIテストではH1N1は小児で平均85倍、成人で33.3倍であったのに対し、H3N2では小児で78.3倍、成人で220倍とH3N2では明らかに成人で高い抗体産生能を認めた。HA特異性IgGを測定したところ小児と成人に有意差は認めなかった。扁桃組織のIFN-rとIL-4のサイトカイン産生能は、PHA刺激ではIFN-rの産生に差はなかったが、ConA刺激では成人でIFN-rの産生が高い傾向を認めた。逆にConA 刺激でのIL-4産生は小児で高い傾向にあった。過去3シーズンのインフルエンザウイルスワクチンを接種した小児と成人のHAIテストでH3N2型のHAIスコアに大きな差を認めた。PHAはCD8陽性細胞よりもCD4陽性細胞を強く活性化するのに対し、ConAはCD8陽性細胞を強く活性化する。IFN-rはTh1型、IL-4 はTh2型のサイトカインであるが、特に成人と比較して小児ではCD8陽性T細胞刺激後のTh1型サイトカインの産生能が低いことが示された。今後特に小児に対しては有効的にTh1型のサイトカインを誘導し、H3N2型の血清抗体産生能を増強するワクチン作成が必要になると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトの扁桃組織を用いる検討であるため、その時期の手術数により検体の量が左右されるという問題点はあるが、比較的検体は集められている。口蓋扁桃を採取する手術は小児に多いため、検体が子供に偏る傾向があるため、今後は大人を含めた症例の検討が必要である。研究は概ね順調に進められており、今後も引き続き検討を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
小児例での検討は順調に行われているが、今後は大人の症例の検討が必要である。扁桃摘出術は基本的には小児の手術であるため、今後は成人例での手術例について検体採取を増やすことが本検討の課題である。扁桃摘出の手術例がある場合には積極的に手術に加担し、今後も引き続き研究を進める予定としている。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)