Project/Area Number |
23K15907
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56060:Ophthalmology-related
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
三宅 瞳 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (40898102)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
|
Keywords | 緑内障 / 線維柱帯 / 眼圧感知メカニズム / 眼圧 |
Outline of Research at the Start |
1.線維柱帯細胞に、圧刺激を加えたとき、変動する分子群は何か。 2.線維柱帯細胞への、圧刺激により、どのような細胞骨格制御系が影響をうけているのか。 3.線維柱帯細胞の圧を感知するセンサー分子群は何か。 4.線維柱帯細胞に対するCMV感染は、いかにして圧応答制御系の破綻をきたすのか。 これらを解明することにより、緑内障における眼圧上昇メカニズムを解明し、新たな緑内障治療薬開発へ寄与する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
緑内障において、眼圧下降はもっともエビデンスのある方法である。現在、QOLを保った上で眼圧を下げる手法は点眼薬投与がもっとも望ましい。眼内液の主たる流出路は、線維柱帯を介する主流出路である。線維柱帯は、圧に応答して、さまざま分子応答をおこし、ひいては、細胞外マトリックスのリモデリングにつながるのではと考えられる。しかしながら、圧感知の詳細なメカニズムは不明である。また、この分子応答システム自体が、主経路を標的とする新規薬剤の標的候補となると考え、線維柱帯において圧を感知するセンサー分子群の探索を始めた。 臨床上、特に高眼圧をきたしやすい疾患として、サイトメガロウイルス(CMV)による虹彩炎や角膜内皮炎があげられる。こうしたウイルス感染は線維柱帯炎や線維柱帯の細胞外マトリックスの変容を介して眼圧上昇をきたす。そこでCMV感染及び圧応答反応をモデルに、線維柱帯が細胞レベルでいかなる分子応答をするのかの検証を始めた。 まず、線維柱帯細胞に対してCMV感染及び圧刺激をおこない、その分子応答をSerial analysis of gene expression (SAGE)の手法で網羅的トランスクリプトーム解析を行った。その結果、CMV感染と独立して、圧応答により有意に変動する分子群の同定にいたった。つぎに、圧応答に関連する分子をしぼりこむため、ネットワークを解析により細胞骨格にかかわるネットワーク関連分子群を同定した。これらの分子群の中でおおくの細胞骨格関連分子群ともっとも関連性の高い分子群までさらに絞り込み、その発現を転写レベル及びタンパクレベルで検証をすすめている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線維柱帯において圧を感知するセンサー分子群の探索を始めるため、条件の至適化に着手した。まず、初代培養線維柱帯細胞に対し、サイトメガロウイルス感染応答の至適化には、MOI及び感染後時間の検討をおこなった。圧応答に対する至適化には、圧の至適化もあわせて検討をおこなった。至適化のためには、線維柱帯細胞よりRNAを抽出し、候補分子としてNOTCH1およびMRIPの変動、ストレスファイバー形成を検証した。次に、感染応答と独立して、圧応答にかかわる分子群の探索にはいった。このためには、至適化した条件のもと抽出したRNAに対してSerial analysis of gene expression (SAGE)の手法で網羅的トランスクリプトーム解析を行った。これにより、多くの感染応答分子群、さらに圧応答分子群を抽出した。創薬の標的となりうる分子は、細胞骨格制御にかかわる分子群とかんがえられた。さらに、圧応答センサー候補遺伝子は圧に応答して有意な発現変動をするのみならず、細胞骨格関連分子群との関連性がもっとも高い分子であると想定した。このような考えのもと、SAGEにより抽出した分子群に対してネットワーク解析を行い、さらに複数の分子群の抽出をはかった。まず、これらの分子群が、圧応答に反応して転写レベルさらにタンパクレベルで実際に変動するかをreal time PCR及びウェスタンブロットを用いて検討した。一方、圧刺激によるストレスファイバー形成との関連を検証するため、これらの分子に対する蛍光免疫染色を行い、ストレスファイバーとの局在の検証をすすめている。
|
Strategy for Future Research Activity |
候補分子群が、線維柱帯において実際に圧に応答したシグナルを伝えているのかを次に明らかにしていく必要がある。このためには、線維柱帯細胞において圧刺激により誘導されるストレスファイバー形成を指標とする。まず、候補分子の阻害により、ストレスファイバー形成がどのような影響をうけるか、さらに機能面としてtube formationや収縮能、さらに細胞の運動量がどのような影響をうけるかを検証する。阻害手法としては、siRNA transfection を用いる。線維柱帯細胞において候補遺伝子群の発現や細胞内の分布を、real-time PCR, 免疫沈降、蛍光免疫染色にて確認する。 細胞の運動性、細胞外マトリックスの分解に寄与する細胞表面の構造としてPodosomeがしられている。Podosomeはアクチンファイバーが局所的に集積し、バネのような構造を内部にもつ。たとえば 主計路の標的分子として知られるRhokinaseはPodosomeの制御にも関連する。とくに、これまで判明した該当分子においてもPodosomeとの関連が示唆される。 そこで圧応答にかかわる分子群の複合体が、圧に応答していかなる空間的な配置をうけるのかに関して蛍光イメージングにより検証を行う。とくに、細胞骨格や運動の制御にかかわる分子群は、Rho, CDC42, Racが主体であり、これらがいかにリンクするのかを検討していく。また。最後に想定される一連のこの経路においていかなる分子を制御すれば眼圧の下降がえられえるのかに関して検証をすすめていく。
|