Project/Area Number |
23K15938
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56060:Ophthalmology-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
富田 洋平 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (00528200)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 強度近視 / 病的近視 / PPARα / フェノフィブラート / 近視性脈絡膜新生血管 / フィブラート系薬剤 / PPARα作動薬 |
Outline of Research at the Start |
病的近視は、近視性黄斑部新生血管、網膜分離症、近視性黄斑症、近視性視神経症/緑内障を併発し、日本では視力障害の主要な原因となっている。しかし病的近視に至るメカニズムやその治療法は未だ未知であった。申請者は今まで脂質代謝改善薬が種々の網膜症に対して治療効果があることを報告してきた。さらに我々の施設では新たな病的近視モデルマウスを作製したことを報告したが、このモデルを用いてその脂質代謝がどのように病的近視の進行に影響するかを明らかにする。この研究によって、病的近視のメカニズムの解明と新規治療薬の可能性を探索することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
現在、アジアにおける近視の患者数は増加の一途を辿っている。特に、成人の強度近視・病的近視は近視性脈絡膜新生血管、網膜分離症、近視性黄斑変性、及び緑内障などの合併症を引き起こすことがあり、日本では視力障害の主要な原因の一つとなっている。これらの合併症による視覚障害は、主に生産年齢層で発生し、社会経済に深刻な影響を与えている。強度近視・病的近視の患者数は今後さらに増加すると予想され、その影響は増大することが予想される。しかしながら、強度近視と病的近視の区別、そのメカニズムや治療法については、未だ不明な点が多い。近年、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)αアゴニストが近視予防に有効であることがギニアピッグを用いた研究で報告された。本研究では、新たに成体の強度近視・病的近視モデルマウスを開発し、PPARαが強度近視の進行にどのように作用するかを明らかにする。成人近視のメカニズムの解明と、新規治療法の開発可能性を探求することを目的とする。 初年度では、成人強度近視モデルの開発に取り組んだ。現在までに存在する近視モデルは、すべて幼年期のマウスを用いたもので、成人の近視を模倣するものではない。そこで、我々は成体マウスを用いた近視モデルを開発した。このモデルでは、近視化を維持し、さらに網膜の菲薄化が認められ、成人の強度近視を模倣したモデルであると考えられた。 二年度では、PPARαアゴニストの近視抑制効果について検討する。PPARαアゴニストであるフェノフィブラートを投与し強度近視の抑制効果を評価する。また、効果が認められた場合には、分子生物学的手法を用いてそのメカニズムの解明を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目では、病的近視モデルの開発に取り組んだ。現存する近視モデルは、全て幼若マウスを使用したものであり、成人の近視を模倣するものではない。そのため、我々は3週齢から9週齢までのマウスに-30Dレンズを使用して近視を誘導し、成体マウスの近視モデルを作成した。このモデルは、9週齢において、眼軸の伸長、屈折の近視化や、脈絡膜菲薄化など、成人の強度近視の特徴を示している。さらに、光干渉断層計(OCT)で網膜内層の菲薄化を認め、成人の強度近視を模倣したモデルであると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に成体マウスモデルの確立を達成したことを踏まえ、2年度ではフィブラートの成人近視の抑制効果に焦点を当てる。具体的には、フェノフィブラートを投与し、その近視抑制効果・形態、機能維持効果があるかどうかを評価する。その後メカニズムを明らかにするために分子生物学的手法を適用する計画である。 以下具体策である。まずは、フェノフィブラートの投与方法、投与量、投与頻度、および治療期間を具体的に設定する。その後、初年度と同様に、眼軸長、屈折値、脈絡膜厚を測定する。次に、OCTによる網膜厚の変化を測定し、網膜機能の評価は、網膜電図による応答の変化を分析することで、治療による形態学的・機能的改善を定量化する。さらに、効果が確認された場合、フェノフィブラートが網膜や脈絡膜のどの細胞にどのような分子生物学的変化を引き起こすのか、遺伝子発現の変化やシグナル伝達経路の活性化などを明らかにする。これらのアプローチにより、フェノフィブラートが成人近視抑制に及ぼす影響の全体像をより深く理解し、将来的には効果的な治療法の開発に寄与することを目指す。
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