Project/Area Number |
23K16081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 57050:Prosthodontics-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
近藤 威 東北大学, 歯学研究科, 助教 (40964226)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 抜歯窩治癒 / 自然リンパ球 |
Outline of Research at the Start |
歯を抜去すると炎症反応が生じ,骨添加や骨吸収の過程を経て,顎堤の形態が大きく変化し,補綴歯科治療を困難にする.我々は炎症を惹起させたマウス歯周組織において, 近年,免疫学分野において注目されている自然リンパ球 Innate lymphoid cell(ILC)が存在することを確認し,ILCを欠損したマウスでは骨吸収が抑制される知見を得ている.このことから,炎症を伴う抜歯窩治癒過程においてILCが歯槽骨の形態変化を制御している可能性を着想した.本研究ではマウス抜歯モデルを行いて,抜歯窩におけるILCの挙動の変化を評価し,ILCが抜歯後の歯槽骨の形態変化に与える影響を明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
歯を抜去すると炎症反応が生じ,骨添加や骨吸収の過程を経て,歯槽骨の形態が大きく変化し,補綴歯科治療を困難にする.免疫細胞と骨代謝の関係を調べる研究は広く行われているが,抜歯窩において免疫細胞が歯槽骨の形態変化に及ぼす影響はいまだ明らかにされていない. 近年,炎症性の免疫疾患において,自然リンパ球 Innate lymphoid cells(ILCs)が注目されており,我々は歯周炎を惹起させたマウス歯周組織においてILCsが骨吸収を制御する知見を得ている.そこで,炎症を伴う抜歯窩治癒過程においてILCsは骨代謝に影響を与え,歯槽骨の形態変化を制御する可能性を着想した.本研究の目的は,マウスの臼歯抜歯を行い,抜歯窩治癒やILCsの挙動の変化を評価することで,ILCsが抜歯後の歯槽骨形態変化に与える影響を明らかにすることである. フローサイトメトリーの結果,第一臼歯抜歯後のマウス抜歯窩においてILCsの総数は有意に増加し,急性炎症期終了後はILC1sおよびILC3sと比較してILC2s の割合が著しく増加した.また,抜歯後経時的にILC2sのIL-13産生が増加し,免疫染色の結果,口腔粘膜層よりも抜歯窩内においてIL-13陽性ILC2sを多く確認できた.以上の結果から,ILC2sはIL-13産生を介して抜歯窩の骨再生に影響を与える可能性が示唆された. さらに,ILC2sが産生するIL-13が抜歯窩治癒過程における骨再生に与える影響を調べる目的で,IL-13を添加した骨芽細胞分化誘導培地において間葉系幹細胞(MSCs)を培養した.その結果,IL-13は濃度依存的にMSCsの石灰化を促進することが明らかとなった.以上のことから,抜歯後,ILC2sはIL-13を介して抜歯窩の骨形成を促進する可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず,抜歯窩治癒過程を評価可能なマウスモデルを確立できた.また,このマウスモデルを用いて実験を進めた結果,抜歯後,抜歯窩におけるILCsの総数は有意に増加し,急性炎症期終了後はILC1sおよびILC3sと比較してILC2 sの割合が著しく増加したことを確認し,抜歯窩治癒過程においてILC2 が重要な役割を果たす可能性を発見することができた.さらに,In vivoおよびIn vitroの実験結果から,抜歯後,ILC2sはIL-13を介して抜歯窩の骨形成を促進する可能性を示唆することができた.以上のことから,本研究はおおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
我々はこれまでに第一臼歯抜歯後の野生型マウスの歯周組織において,急性炎症期終了後はILC2sの数が著しく上昇することを明らかにした.また,このILC2sは抗炎症性サイトカインであるIL-13を強く発現し,口腔粘膜層よりも抜歯窩内においてIL-13陽性ILC2sを多く確認できたことから,ILC2sはIL-13産生を介して抜歯窩の骨再生に影響を与える可能性が示唆された.さらにIL-13はIn vitroにおいて濃度依存的にMSCsの石灰化を促進したことから,抜歯後,ILC2sはIL-13を介して抜歯窩の骨形成を促進する可能性が示唆された. 今後は,抜歯窩治癒過程におけるILC2sの果たす役割をノックアウトマウスを用いて調査するために,T細胞を欠損するがILCsは存在するRag2-/-マウスとT細胞とILCsの両方を欠損するIl2rg-/-Rag2-/-マウスを用いて臼歯の抜歯を行い,骨再生を評価する予定である.また,抜歯窩治癒過程における免疫機構は非常に複雑であり,多くの細胞集団がこれに関与すると考えられる.そのため,今後はマウス抜歯窩治癒過程における他の細胞集団によるILC2sの制御機構を解明したいと考えている.シングルセルRNAシーケンス解析は細胞単位での遺伝子発現評価が可能であり,不均一な細胞集団の機能や細胞間相互作用の解明に大きく寄与できることから,我々はマウス抜歯窩治癒モデルを用いたシングルセルRNAシークエンス解析を行うことで,ILC2sの制御機構解明を行う予定である.
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