Project/Area Number |
23K16097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 57050:Prosthodontics-related
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
三浦 大輔 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (40804125)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
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Keywords | PEEK樹脂 / 3Dプリンター / 歯冠補綴物 |
Outline of Research at the Start |
FDM造形PEEK樹脂による補綴装置を臨床応用するうえで必要とされる、支台歯との適合性や造形精度を明らかにすることである。積層造形PEEK樹脂を臨床応用する際に必要な支台歯との適合性、アニール処理による寸法変化について不明な点が多い。本研究では、積層造形PEEK樹脂で製作した補綴装置の臨床応用を目指し、造形方向の違いによる支台歯との適合性、アニール処理による寸法精度の変化について検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
現在、世界情勢において様々な物の価格の上昇が大きな問題となっている。これは、コロナショックからの世界経済の回復に伴う物資需要の上昇、解決の糸口がみえないウクライナとロシアの問題による影響だと言われている。歯科界でもこの物価上昇の影響は甚大であり、特に歯科補綴治療で多用されるパラジウムの異常な値上がりは国民への歯科医療費の負担を増大させている。よって現在の日本において、世界情勢の影響を受けず、優れた生体親和を有し、金属と同等の機械物性を有した材料での補綴装置の開発が急務である。スーパーエンジニアプラスチックであるPEEK樹脂は高靭性、高耐疲労性、高生体親和性であり、金属の代替材料として歯科界において極めて有望な材料である。申請者は以前の研究で、3Dプリンターで積層造形したPEEK樹脂は歯科材料として具備すべき物性を有していると結論付けた。しかし、積層造形PEEK樹脂を臨床応用する際に必要な支台歯との適合性、アニール処理(熱処理)による寸法変化について不明な点が多い。本研究では、積層造形PEEK樹脂で製作した補綴装置の臨床応用を目指し、造形方向の違いによる支台歯との適合性、アニール処理による寸法精度の変化ついて詳細な検討を行う。 今年度の研究では、3Dプリンターで造形したPEEK樹脂の基礎的性質と歯科応用するを明らかにした。具体的には、熱溶解積層法造形によって製作されたPEEK樹脂と現在市販されているCAD/CAM用PEEKレジンとの器械的性質の物性を比較した。具体的には、各種PEEKで棒状試料の曲げ試験を実施した。また、曲げ強さについては積層方向の違いを含めて検討した。この結果は、第113回日本補綴学会学術講演会において発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は熱溶解積層法造形で製作した棒状のPEEK樹脂と現在市販されているPEEKとの器械的性質の比較を行った。2023年12月よりCAD/CAM用PEEKが保険適応となり、日本国民のPEEKへの期待もさらに強くなっている。そのため、私が研究している3Dプリンターを用いたPEEK樹脂への歯科応用も今後より一層の存在感を増す予定である。今年度の研究で得た結果は3D造形PEEK樹脂は市販されているCAD/CAM用PEEK樹脂と比較して同程度の機械的な性質を有していることが分かった。市販されているCAD/CAM用PEEK樹脂の曲げ試験では、破断することなく最大荷重を示し、PEEK樹脂の大きな破壊耐性が示唆された。次いで3Dプリンターで製作したPEEK樹脂も先ほどのCAD/CAM用PEEK樹脂と同様に破壊されることなく最大荷重を示した。また、2つのPEEK樹脂の弾性係数に有意な差は認められなかったことから、3Dプリンターを用いたPEEK樹脂はCAD/CAM用PEEK樹脂と同様の機械的性質を有することがわかった。この結果は、第113回日本補綴学会学術講演会にて発表をう予定であり、多くの意見交換が行われることが予想される。これは今後の自分自身の研究において大きな刺激になるとともに、見地が広がり、結果としてこの研究の大きな発展になると考えられる。以上より「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、3Dプリンターを用いたPEEK樹脂の適合性を研究する予定である。具体的には、外側10mm、高さ10mm、1/10テーパーの付与した支台歯模型を歯科技工用ラボスキャナー(FREEEDOM、デンケン・ハイデンタル)を用いてスキャンする。そのデータから歯科用3D CADソフト(iCAD SX、富士通)を用いて支台歯模型に適合するFDM造形PEEKによる補綴装置のSTLデータを3D-CADソフトを用いて構築する。このように製作した補綴物のSTLデータを用いて3Dプリンター(FUNMAT-HT,INTAMSYS)にてFDM造形を行う。その際、造形物の積層方向を造形ステージに対して0°、45°、90°の3条件を設定し、製作したFDM造形PEEK補綴物の寸法精度および、支台歯模型との適合性を比較し、支台歯への適合性が最適な造形方向の検討を行う。適合性については、作製した造形物を支台模型金型に軽く適合させ、その上に100gの錘を乗せて支台模型ショルダー部と造形物のマージン部の間隙をデジタル顕微鏡で測定する。 また、3Dプリンターを用いたPEEK樹脂は造形後に熱処理(アニール処理)を粉う必要がある。FDM造形で製作したPEEK樹脂はそのままでは内部に残留応力が蓄積している。そのため、加工後にアニール処理を行う事で内部の残留応力を取り除くことができ、造形物の変形を防ぐことができる。アニール処理による適合性の変化を研究するために支台歯模型を歯科技工用ラボスキャナーを用いてスキャンし、データを構築する。次いで、CADソフト上で最初の設計値を100%とし、元の設計値を105,110,115,120%に拡大したSTLデータを構築する。その後、昨年度で検討した最適な造形方向でFDM造形PEEK補綴物を造形後、アニール処理を行い支台歯模型との適合性を確認する予定である。
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