IgG4関連疾患の線維化促進転写因子の同定 -新たなバイオマーカーの検索-
Project/Area Number |
23K16154
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 57060:Surgical dentistry-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柿添 乃理子 九州大学, 歯学研究院, 共同研究員 (70876523)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | IgG4 / 線維化 / CD4陽性細胞障害性T細胞 / M2マクロファージ / SMAD3 / RELA / TLR7 / IgG4関連疾患 / 線維化促進因子 |
Outline of Research at the Start |
IgG4関連疾患は本邦から提唱された新しい疾患概念であり、全身諸臓器に腫大や著明な線維化に伴う機能不全を呈する原因不明の全身性疾患である。ステロイドが治療の第一選択薬だが、 長期投与が必要で副作用があり中断による再発率も高いため、ステロイドに代わる新規治療法の確立が望まれる。 本研究では特に機能不全の原因である「線維化」に着目し、唾液腺病変における発現変動遺伝子を網羅的に解析し、線維化に関与する遺伝子の発現変動の上流にあるキーとなる線維化促進転写因子を抽出することで、本疾患における線維化のメカニズムの解明および上記因子を用いた IgG4以外の診断・疾患活動性のためのバイオマーカーの開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
IgG4関連疾患は本邦から提唱された新しい疾患概念であり、全身諸臓器に腫大や著明な線維化に伴う機能不全を呈する原因不明の全身性疾患である。ステロイドが治療の第一選択薬だが、 長期投与が必要で副作用があり中断による再発率も高いため、ステロイドに代わる新規治療法の確立が望まれる。しかしながら、IgG4関連疾患の病因や詳細な病態形成の分子機構については、 新しい疾患概念ということもあり、不明な点が多い。われわれの近年の研究により、IgG4関連疾患の病態形成には特異なT細胞の浸潤・活性化とともに IgG4を産生するB細胞の分化・増殖、さらにその上流ではM2マクロファージが獲得免疫の制御と線維化に重要な役割を果たしていることが示唆され、また、CD4陽性細胞傷害性T細胞も線維化に関与していることを明らかにしている。本疾患の線維化には様々な免疫細胞が関与しており、その線維化のメカニズムを解明することは今後の大きな研究課題となっている。そこで本研究では特に機能不全の原因である「線維化」に着目し、唾液腺病変における発現変動遺伝子をDNAマイクロアレイにて網羅的に解析し、さらにゲノムエンハンサー解析により線維化に関与する遺伝子の発現変動の上流にあるキーとなる因子(線維化促進転写因子)を 抽出することで、本疾患における線維化のメカニズムの解明および上記因子を用いた IgG4以外の診断・疾患活動性のためのバイオマーカーの開発を目標とする。さらにはその線維化のメカニズムを解明することで、 最終的には新規標的分子治療を確立することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の先行研究として、IgG4-RD の新たな疾患関連分子を同定することを目的に、IgG4-RD 患者 6 例、慢性唾液腺炎(CS)患者 3 例の顎下腺を用いて DNA マイクロアレイによる網羅的解析を行った。その結果、解析に用いた40,000 個の遺伝子のうち、CS 群と比較してIgG4-RD 群において有意に発現上昇を認めた遺伝子は1,028 個、発現減少を認めた遺伝子は692個あり、計1,720個が発現変動遺伝子として抽出された。そのDNAマイクロアレイの結果をもとにゲノムエンハンサー解析にて発現変動遺伝子を抽出したところ、CS群と比較してIgG4-RD群において有意に発現上昇を認めた遺伝子は3,053個であり、最も有意な変動を認めた遺伝子としてSMAD3が同定された。SMAD3は、細胞内TGF-βシグナル伝達系で働く主要転写因子であり、TGF-β はフィブロネクチン、コラーゲン等の細胞外マトリックスタンパク質の産生を亢進し、組織や臓器で線維化を起こすことが知られていることから、線維化促進転写因子の1つとして本研究でも注目している。そのほかにも、RELA(RELA proto-oncogene, NF-kB subunit)、ETS1(ETS proto-oncogene 1, transcription factor)が抽出された。そこで、これらについてシングルセル解析行ったところ、SMAD3は主にB細胞や肥満細胞に、RELAは免疫細胞(CD45陽性細胞)全体に、ETS1は主にT細胞に発現していた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、病変局所における抽出した線維化促進転写因子の発現・局在を検索するため、症例数を増やして、real-time PCRおよび免疫組織化学染色を行う。今後は、現在行なっている免疫組織化学染色に加えて、PCR法を用いて、さらにバリデーションを行い、多重蛍光免疫染色を用いて、発現と局在についても確認する。免疫染色については、さらに多重蛍光染色(最大6色)およびTissuFAX解析を行い、その因子の発現・局在だけではなく、発現細胞の同定および陽性率の定量解析を行う。本解析で病変局所の線維化部位に強発現したものについては、その発現細胞を同定し、in vitroでレポーターアッセイを行い、最上流の線維化トリガー因子を抽出する。その後は、ヒト TLR7 トランスジェニックマウスの組織を用いて、候補遺伝子について蛍光多重染色を行い、TissueFAX に よる定量的解析を行うとともに、血清を用いてフローサイトメトリーによる解析を行う。 さらに、候補遺伝子の刺激実験を行い、線維化のメカニズムの解明し、その阻害薬などを用いた新規治療薬の開発に繋げる。また、それに加えて、臨床データや遺伝情報などと照らし合わせて、本研究で見いだした候補遺伝子が診断または疾患活動性のバイオマーカーに有用かを検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)