Project/Area Number |
23K16171
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 57060:Surgical dentistry-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
福井 怜 日本大学, 歯学部, 助教 (60771095)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 口腔癌 / Interleukin-1alpha / IL-1 α / OSCC / alarmin |
Outline of Research at the Start |
本研究は、癌微小環境とよばれる低酸素状態などの過酷な環境下で癌細胞から放出されるIL-1αに着目し、口腔癌でのIL-1αの発現意義を明らかする。また先行実験にて得られたヒト臨床検体におけるIL-1αの発現強度の差異が悪性化進展と関連があるのか、またその発現に起因する分子メカニズムを解明するため、ヒト臨床検体を用いた外科病理学的解析と空間トランスクリプトーム解析を用いた分子生物学解析を実施する。本研究により、口腔癌における癌の病態に影響を及ぼすIL-1αの役割が明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
癌の進行に重要な場である癌微小環境では、癌細胞や間質細胞、壊死に陥った細胞からInterleukin-1α(IL-1α)が放出され、癌の増殖・浸潤・転移などの悪性化進展を助長していることが知られている。しかしながら、口腔癌において、IL-1αと癌の病態との関係を示す報告例は皆無であった。そこで、我々は口腔癌におけるIL-1αの発現意義を検討し、IL-1αが癌の病態にどのように影響を与えているのか、その役割を追求することを目的とした。 口腔癌の癌微小環境において、IL-1αが果たす役割を病理形態学的、分子生物学的手法を用いて検討した。病理形態学的解析の結果として、1)口腔癌の約40%の症例で、癌細胞にIL-1αの発現が認められた。2)IL-1αの発現の有無と、年齢、性、発生部位、分化度、リンパ節転移の有無、 大きさに有意差は認められなかった。3)癌の浸潤先進部に比較的強く染まる傾向が確認された。 In vitroによる分子生物学的解析の結果、1)口腔癌細胞株の種類によってIL-1αの発現レベルに差異を認めた。2)IL-1α高発現口腔癌細胞株において、IL-1α発現をノックダウンすると、癌細胞の遊走能を抑制した。3)IL-1α発現ノックダウンにより、IL-1シグナルに関連する転写因子やサイトカインの発現の抑制を認めた。 以上の述べた本研究結果を総合的に考慮すると、口腔癌においてはIL-1αの発現に多様性が認められ、症例ごとにIL-1αの発現レベルを検討することが、予後因子として重要である可能性を見出した。癌微小環境におけるIL-1αが予後を予測する新規のバイオマーカーまたは新規治療の標的として有用である可能性が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は癌細胞によって分泌されたIL-1αの役割にフォーカスした。今後は口腔癌において、IL-1αが癌の悪性化進展に重要な役割を果たすとともに、口腔癌細胞と、癌微小環境に存在する癌関連線維芽細胞、IL-1αの3者の相互的な機能・役割が、癌の進展にどのように影響しているかについて検証を広げていく。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔癌において、ヒト臨床検体を用いた外科病理学的解析(免疫組織学的検討)は、今までに報告がないため、貴重なデータであるといえる。初年度は癌細胞のみに着目した解析に終わったが、今後は、癌微小環境に存在する他の間質細胞との相互作用について、より詳細に検討を重ねていく必要がある。具体的には、まず癌微小環境に存在する癌細胞以外に多く存在する間質細胞の代表として、線維芽細胞に着目する。正常な線維芽細胞がIL-1α陰性を示すのに対し、癌微小環境中に存在する癌関連線維芽細胞(CAF:Cancer-associated fibroblasts)はIL-1αを発現・分泌し、供給源になっていることが示唆されている。形態学的にも時空間的にも多様性のみられる癌微小環境におけるIL-1αの役割について、より、詳細に検討していく。また、初年度の本研究結果より癌細胞から放出されるIL-1αの抑制は、炎症性環境の緩和に寄与していることが推測されることから、IL-1αの発現強度と悪性化進展との関連を解明すべく、IL-1αの発現に起因する分子メカニズムの解明を進めていきたいと考えている。
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