Project/Area Number |
23K16295
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 58010:Medical management and medical sociology-related
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
中原 貴子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (30462047)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 赤血球内クレアチン濃度 / CBC検査 / ヘモグロビン合成 / データベース / 血球粒度 / 造血動態モデル / 赤血球寿命 / 機械学習 |
Outline of Research at the Start |
腎性貧血治療には、鉄供給関与因子と赤血球寿命の考慮が必要であり、これらを把握することが研究の要となる。一般的に、自動血球計数装置を用いたCBC検査が貧血の検査として頻繁に利用されているが、同時に計測されている血球粒度分布パターンのデータは非常に膨大なため、臨床では一部しか利用されていない。 本研究では、造血の指標として網赤血球粒度分布パターンと赤血球寿命に着目し、安価なCBC検査に含まれる血球粒度分布の活用と血球内クレアチン測定により、鉄供給戦略と造血戦略を考慮した予後予測モデルを構築することを目的とする。この予測モデルの有用性を検証し、より適切な腎性貧血治療に応用していくことが最終目標である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、造血の指標として網赤血球粒度分布パターンと赤血球寿命に着目しており、日常診療で頻繁に実施されるCBC検査から得られるスキャッターグラムパターンの活用と赤血球内クレアチン(EC)濃度の測定により、鉄供給の関与因子と赤血球寿命を考慮した造血動態の解明を目指している。さらに、検査値・診断歴・投薬歴の知識データベースを用いた多次元モデルを構築することにより、腎性貧血の治療効果判定や予後予測に応用していくことを最終目標とする。 初年度は、赤血球寿命測定におけるEC濃度測定の有用性について検討を行った。始めに前処理方法・自動分析装置での測定パラメータの設定・検体保存の影響等検討を行い、最適条件を確立した後、性別を考慮した基準値を設定した。続いて、患者検体522件のEC濃度を測定し、採血日当日に依頼のあった検査結果と採血日の直近1か月前後の病歴を抽出し、病歴と検査歴のデータベースを構築した。 研究成果として、EC濃度には性差が認められたこと、一般的に言われている赤血球寿命とEC濃度の関係性には矛盾があることが判った。また、ヘモグロビン濃度が低い場合にEC濃度が高値になる傾向が見られ、この傾向は腎機能の指標であるCKDグレードに影響しないことが判った。EC濃度は、赤血球寿命の指標として評価するのではなく、ヘモグロビン合成に関する指標として応用可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、EC濃度測定における最適条件を決定した。患者検体の測定は、CBC測定後の残余検体を使用するため、採血管の種類(ヘパリン採血管、EDTA採血管)、採血後の除蛋白処理(採血直後処理、冷蔵保存1日後に処理)、測定までの抽出液の保存期間(抽出直後、抽出1週間後、抽出2週間後測定)による影響がないか検討を行った。検討の結果、除蛋白処理や抽出液の保存期間による影響は認められなかったため、患者検体の測定はCBC測定後のEDTA採血管を使用し、翌日除蛋白処理を行い、バッチ処理にて測定を行うこととした。さらに、EC濃度には性差や性差があることが明らかになったため、522件のEC濃度の結果に加えて、年齢・性別・検査歴・病歴の情報を追加しデータベースを構築した。 一般的に赤血球寿命が短いとされている腎疾患において、EC濃度は低い傾向を示し、逆に赤血球寿命が長いとされている鉄欠乏性貧血ではEC濃度は高い傾向を示したことから、EC濃度を赤血球寿命として評価するには矛盾が生じたため、赤血球寿命以外の造血指標として評価する必要がある。 また、網赤血球の粒度分布パターンの計測生データは順調に取得できているが、解析環境の構築ができていないため、環境が整い次第解析を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに明らかになった知見については、学会発表や学術雑誌にて公表する。 引き続き、検体数を増やしEC濃度測定を行いながら、網赤血球粒度分布パターンの新たな利用方法を検討していく。1検体当たり約10万個にも及ぶデータを粒度分布視点に射影後、各座標に含まれる細胞数に対して主成分分析(PCA)を用いて次元の縮約を行ったデータの時系列変化を解析する。時系列パターンの中で、関連性のある成分について元の次元に逆変換して粒度分布パターンのホットスポットを可視化する方法で検討を行う。続いて、自己組織化マップ(SOM)を用いて、検査項目と時系列変動パターンに対する治療効果の関係についてクラスタリングを行い、腎性貧血治療薬投与時における造血動態のパターンモデルを導出する。 さらに、EC濃度と鉄供給関与因子の評価を行うため、投薬歴の情報も取得していく。造血時の鉄供給に関与する亜鉛やトランスフェリンをはじめとする因子についても網赤血球粒度パターンの時系列変化と比較することにより、EC濃度と鉄供給関与因子の評価を行う。
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