• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to previous page

血管病変部位の環境変化による重金属の内皮細胞毒性の修飾とその機構解析

Research Project

Project/Area Number 23K16312
Research Category

Grant-in-Aid for Early-Career Scientists

Allocation TypeMulti-year Fund
Review Section Basic Section 58020:Hygiene and public health-related: including laboratory approach
Research InstitutionTokyo University of Science

Principal Investigator

藤江 智也  東京理科大学, 薬学部薬学科, 講師 (20780886)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Keywords重金属 / カドミウム / 鉛 / 内皮細胞 / 細胞毒性
Outline of Research at the Start

カドミウムや鉛に代表される環境汚染重金属は、血管病変の発症・進展の危険因子であり、その発症・進展は、内皮細胞の障害が引き金となる。重金属による毒性をより現実的に理解するためには、重金属が標的とする生体内分子の同定とその毒性発現への影響の解明だけでなく、重金属の内皮細胞毒性に対する細胞外の微小環境変化の修飾作用に関する研究も必要である。本研究では、細胞外の増殖因子・サイトカイン、ATP・ADPなどの生理的な環境要因の変化に伴う、重金属毒性に対する内皮細胞の感受性の修飾様式、およびその責任分子を明らかにする。

Outline of Annual Research Achievements

一般に、血管の炎症性病変では様々な細胞内外のイベントが生じるが、これまで、内皮細胞の傷害や炎症応答に伴って高濃度のエネルギー分子(ATP・ADP)が放出されることにより、液相のヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)の大型分子種パールカンの合成が抑制されることを見出している。本年度は、ATP・ADPによる重金属の内皮細胞毒性の修飾とその機構を解析した。
まず、ATPの存在下における重金属毒性の変化を解析したところ、鉛による内皮細胞層の傷害はATPによって有意増強されることが明らかになった。その他の環境汚染重金属(カドミウム、ヒ素およびメチル水銀)による内皮細胞層の傷害には、そのような増強作用は認められなかったので、鉛毒性に対して選択性を有することが示唆された。ADPの存在下でも、鉛の内皮細胞毒性は増強されたが、アデノシンではそのような増強作用は認められなかった。このことは、ATP・ADPが作用するプリンP2受容体およびその下流シグナルが鉛の内皮細胞毒性に関与することを示唆している。一方、パールカンの発現を抑制しても、鉛の内皮細胞毒性に変化は認められず、細胞膜貫通型HSPGsのシンデカン-1およびシンデカン-4の発現抑制でも同様に変化は認められなかった。興味深いことに、これらHSPGs発現の抑制によってカドミウム毒性は増強され、デルマタン硫酸プロテオグリカンのビグリカン発現の抑制では、そのような増強作用は認められなかった。以上より、ATPの放出介したプリン受容体シグナルは鉛の内皮細胞毒性に関与し、HSPGsの減少はカドミウム毒性に関与することが示唆された。このような、血管病変の進展過程に生じるイベントは、重金属毒性に対する内皮細胞の感受性を変化させることが示唆され、その機構は重金属によって異なることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

血管病変の進展に関与する2つのイベント(ATPの液相への放出とヘパラン硫酸プロテオグリカン合成の変化)による鉛およびカドミウムの内皮細胞毒性の修飾作用、およびその責任分子を明らかにした。それぞれのメカニズムは次年度に明らかにしていく必要があるが、このような生理的な環境要因が重金属毒性に対する内皮細胞の感受性決定に関与していることを示したことが大きな収穫であり、研究全体としておおむね順調に進展しているものと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

(1)ATPによる鉛の内皮細胞毒性の増強する機構の解明
内皮細胞には、主にP2X4およびP2X7受容体が発現しているので、これらP2X受容体が、鉛による内皮細胞毒性を修飾するか明らかにする。一般的に、鉛の毒性は細胞内カルシウム量の異常に伴う小胞体ストレスがあり、一方のP2X受容体はカルシウムイオンチャネル型受容体である。そこで、このATPに増強作用が小胞体ストレス応答に関与するか、マーカー遺伝子GRP78/GRP94を評価するとともに、小胞体ストレス応答のセンサータンパク質(IRE1α、PERK、ATF6)を解析する。
(2)HSPGsによるカドミウムの内皮細胞毒性を修飾する機構の解明を明らかにする。
一般にカドミウム毒性に対する細胞の感受性決定には、カドミウムの蓄積量細胞内蓄積量および生体防御系の発現・活性が関与する。前者は金属輸送体ZIP8が、後者は生体防御タンパク質メタロチオネインが責任分子となる。そこで、HSPGs発現を抑制した内皮細胞におけるカドミウム蓄積量を測定するとともに、そのときのZIP8およびメタロチオネイン発現を評価することで、HSPGsの変化に伴うカドミウム毒性に関与する内皮細胞機能の変化を明らかにする。

Report

(1 results)
  • 2023 Research-status Report
  • Research Products

    (7 results)

All 2024 2023

All Presentation (7 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] ATP suppresses the expression of perlecan, a extracellular heparan sulfate proteoglycan, via P2Y2 receptor in cultured vascular endothelial cells2024

    • Author(s)
      Lihito Ikeuchi, Tsuyoshi Nakano, Takato Hara, Kazuki Kitabatake, Chika Yamamoto, Mitsutoshi Tsukimoto, Tomoya Fujie, Toshiyuki Kaji
    • Organizer
      10th International Postgraduate Conference on Pharmaceutical Sciences 2024 (iPOPs2024)
    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] ATPによるプリン受容体を介した内皮細胞のパールカン発現の抑制2024

    • Author(s)
      池内璃仁,中野毅,原崇人,北畠和己,月本光俊, 山本千夏,藤江智也,鍜冶利幸
    • Organizer
      日本薬学会第144年会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] カドミウムの内皮細胞傷害に対するインテグリン発現抑制の関与2024

    • Author(s)
      市田夏海,佐山健太郎,原崇人,鍜冶利幸,山本千夏,藤江智也
    • Organizer
      日本薬学会第144年会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] カドミウムによる内皮細胞毒性に対するインテグリン発現の関与2023

    • Author(s)
      市田夏海,佐山健太郎,原崇人,鍜冶利幸,山本千夏,藤江智也
    • Organizer
      第50回日本毒性学会学術年会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] アデニン代謝物による血管内皮細胞のヘパラン硫酸プロテオグリカンの転写調節2023

    • Author(s)
      池内璃仁,中野毅,原崇人,北畠和己,山本千夏,月本光俊,藤江智也,鍜冶利幸
    • Organizer
      第50回日本毒性学会学術年会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] カドミウムによる血管内皮細胞層の傷害に対するインテグリン発現抑制の関与2023

    • Author(s)
      市田夏海,佐山健太郎,原崇人,鍜冶利幸,山本千夏,藤江智也
    • Organizer
      フォーラム2023:衛生薬学・環境トキシコロジー
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] カドミウムによる血管内皮細胞層の傷害に対するインテグリン発現抑制の関与2023

    • Author(s)
      市田夏海,佐山健太郎,原崇人,鍜冶利幸,山本千夏,藤江智也
    • Organizer
      メタルバイオサイエンス研究会2023
    • Related Report
      2023 Research-status Report

URL: 

Published: 2023-04-13   Modified: 2024-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi