Project/Area Number |
23K16402
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 58050:Fundamental of nursing-related
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
中村 造 東京医科大学, 医学部, 准教授 (50551008)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | シンク / 排管加熱 / 排水口 / 消毒薬 / 水衛生 |
Outline of Research at the Start |
病院の水道設備、特に手洗いシンクは医療関連感染症の微生物伝播の重要な起点となる。シンクの中でもシンク下部のS字排管のP-trap内にある汚水から微生物が這い上がり(creep)、常時汚染されるシンク排水口は、特に高いリスク部位とされている。近年、排水直管部分の定期的な加温によりP-trapのcreepが阻止できることが報告されたが、加温に使用する装置の最も効果的な形状、温度、加熱時間、頻度、消毒薬の併用効果などは明らかになっていない。本研究では、医療施設内の様々な排水口を対象として加温装置の最適条件および併用効果の高い洗浄・消毒方法を検討し、様々な施設で実現可能な新規感染対策の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は集中治療部、救命センター、内科系一般病棟の手洗いシンクと吐水口の微生物汚染状況と効果的な介入方法の検討を開始した。シンクはシンクカウンター、シンク内側面、排水口、排水管内の微生物汚染状況を確認し、すべての部位から弱毒菌を含む多様な微生物の定着が確認された。他の部位に比較し、特に排水口と排水管内には緑膿菌や腸内細菌目細菌、ステノトロフォモナス・マルトフィリアなどの病原微生物が定着しやすいことが示された。洗浄消毒方法は排管加熱に加え、塩素系消毒薬やアルコール製剤、過酢酸製剤を使用し微生物の減少効果を測定中であるが、現時点では塩素系消毒薬と排管加熱が最も効果的であると推測されている。今後、詳細なデータ解析を予定している。また、シンクへの感染対策の実施により、該当部門の感染症の発生率の測定も実施しているが、シンクの感染対策を実施した部門では、院内発症の菌血症の発生率が低下する傾向にあり、今後のデータの集積と結果に注目している。 シンクに加えて吐水口の汚染状況の確認も行っており、吐水口内の整流器など複雑な構想物が特に微生物定着を促進する可能性が分かってきた。吐水口内には緑膿菌をはじめとする病原微生物の定着が頻度は低いものの確認され、また塩素に抵抗性を示す非結核性抗酸菌の定着が高率に示されている。吐水口への効果的な介入の検討も実施していく。 また既に国内学会のシンポジウムや教育講演で研究途中で得られた研究結果を報告している。2024年度はヨーロッパやアメリカで開催される国際学会で研究結果を発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
集中治療部、救命センター、内科系一般病棟の手洗いシンクと吐水口の微生物汚染状況の調査を実施している。シンクはシンクカウンター、シンク内側面、排水口、排水管内の微生物汚染状況を確認し、病原性は低いものの、Pseudomonas属菌やバチルス属をはじめ、ミクロコッカスやブドウ球菌、腸内細菌目細菌など多様な微生物の定着が確認された。他の部位に比較し、特に排水口と排水管内には緑膿菌やシトロバクター、ステノトロフォモナス・マルトフィリアなどの臨床で問題となりやすい病原微生物が定着しやすいことが示された。 洗浄・消毒方法は排管加熱に加え、塩素系消毒薬やアルコール製剤、過酢酸製剤を使用し微生物の減少効果を確認した。予備研究では排管加熱が大きな役割を持つことが分かっていたたため、この排管加熱に加えどの消毒薬を併用することがより効果的かを検討することが出来た。現時点では塩素系消毒薬の併用が最も効果的という結果となっており詳細なデータ解析を予定している。また、シンクへの感染対策の実施により、該当部門の感染症の発生率の測定も実施しているが、シンクの感染対策を実施した部門では、院内発症の菌血症の発生率が低下する傾向にあることが示された。 シンクに加えて吐水口の汚染状況の確認も行っており、吐水口内の整流器など複雑な構想物が特に微生物定着を促進する可能性が分かってきた。吐水口内には緑膿菌をはじめとする病原微生物の定着が頻度は低いものの確認され、また塩素に抵抗性を示す非結核性抗酸菌の定着が効率に示されている。吐水口への効果的な介入の検討も実施していく。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年は2023年の結果を解析しながら、2023年に開始した環境調査と感染対策の介入を継続する。長期のデータが得られることにより研究結果が強固になると推測される。特に排管加熱に加え、3種類の消毒薬の併用を継続することで、2023年は塩素系が最も効果的な併用薬剤であったが、長期的な使用による排管への影響も評価する。特に腐食・浸食や変色にも注目する予定である。塩素系消毒薬以外にも過酢酸による菌量低下効果は高い可能性があり、こちらも結果を検討していく予定である。 吐水口の管理として効果的な洗浄や消毒も検討するが、同時に定期交換がよりコストパフォーマンスに優れる可能性があり、どの介入方法が最も他施設でも利用可能かについて考察を加える。 また2024年度は国内、海外の複数の関連学会で研究結果の発表を行い、また他の専門家からの指摘を踏まえ研究結果を詳細に検討していく予定である。また非専門家の医療者にも水回り環境のリスクや効果的な感染対策を認識できるように非専門学会や地域セミナーなどに積極的に参加し啓発活動を行う予定である。なお、得られた研究結果を国際雑誌にも投稿予定であり広く社会に還元できるよう同時に論文作成、投稿作業を進めていく予定である。この国際雑誌への論文発表は本研究で複数の論文を予定している。
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