Project/Area Number |
23K16522
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 58080:Gerontological nursing and community health nursing-related
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大内田 博文 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 准教授 (50806338)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | アルツハイマー病 / 意味記憶障害 / 語想起促進 / リハビリテーション / アルツハイマー型認知症 / 語想起 / 訓練法 |
Outline of Research at the Start |
ADは語の想起障害が認められるが、その病態は明らかではない。研究代表者は中等度AD患者は語の想起障害の基底に意味記憶障害が存在すると示唆した。さらに意味記憶障害が軽微な軽度ADは意味情報を提示すると語想起が促進されることを明らかにした。しかし、どのような意味情報を提示したら語の想起がより促進されるかは明らかではない。また、適切な刺激により言語機能が改善を示すのであれば、ADにおける語想起の障害の進行を遅らせる、もしくは予防することができると考えられる。本研究においてADの語の想起を促進する有効な意味情報を明らかにし、語想起方法の新たなリハビリテーション手技を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
世界的に高齢化が進行しており、認知症者の数が増加している。その中で、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)への対応は国境を問わず深刻さが増している。ADは、適切な語が喚起されない、語の想起障害が認められるが、その病態は明らかではない。研究代表者は語の流暢性課題において、中等度AD患者はカテゴリ特異性を示すことから、語の想起障害の基底に意味記憶障害が存在すると示唆した(大内田 2018)。さらに意味記憶障害が軽微な軽度ADは意味情報を提示すると語想起が促進されることを明らかにした(大内田 2021)。しかし、どのような意味情報を提示したら語の想起がより促進されるかは明らかではない。また、適切な刺激により言語機能が改善を示すのであれば、ADにおける語想起の障害の進行を遅らせる、もしくは予防することができると考えられるが、認知症の中核症状の一つである言語障害に直接働きかける訓練方法は存在しない。 本研究の目的は、ADの語の想起を促進する有効な意味情報を明らかにし、語想起方法の新たなリハビリテーション手技を開発することである。また、訓練教材を作成し、コミュニケーション障害の進行を予防することができるか検証する。 現在、AD患者が語想起を促進する効果の高い意味情報を明らかにするために、通常の語の流暢性課題と意味情報を提示する語の流暢性課題を作成している。またADの語の意味記憶障害の特性に関する研究結果をまとめた論文の投稿を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題作成に必要な機器やソフトなどの設備設置を終えた。 関連する研究の論文作成を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
意味記憶とは語の意味や一般的知識などであり、長期にわたり保存される記憶である(Tulving 1972)。Patterson(2007)は語の意味記憶についてsemantic Hub仮説を提唱した。これは抽象化、一般化された概念としての意味記憶の成立には、知覚、運動、言語の異なる様式からなる意味素性が直接的で異なる神経解剖学的経路にそって出力されるだけでなく、全ての様式による表象が間接的に相互に活性化される共通のハブ構造が必要であるとする仮説である。これを語の想起過程に当てはめると、意味素性が賦活し、素性同士を繋ぐネットワークと中継地点のハブが機能することで語が想起されると考えられる。つまり、語の意味記憶が重篤化するほど意味情報が賦活しにくくなり語の想起が困難になるが、軽度ADのように意味記憶障害が軽微であれば、関連する意味情報を提示すると語の想起が促進されることが明らかとなっている(大内田 2021)。しかし、どのような意味情報を提示することが望ましいのかは明らかではない。意味情報の種類には、Goodglassらによる属性(attribute),対照・同位(contrast coordinate),機能関連(function associate),機能的文脈(functional context),同一性(identity)等があり、これらを提示する意味情報をして用いることで語の想起が促進される可能性がある。また、ADをはじめとする認知症のリハビリテーションにおいて、言語機能を改善させる訓練教材は国内外をみても存在しない。自宅でできる新たな訓練教材を作成し、AD患者の語想起の促進効果と介護予防としての有効性を検証する必要がある。
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