痛みの認知を担う新規神経回路「扁桃体-前障システム」の役割解明
Project/Area Number |
23K16589
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59010:Rehabilitation science-related
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
杉村 弥恵 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20825997)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 痛み / 扁桃体 / 前障 / 慢性痛 / シナプス伝達 |
Outline of Research at the Start |
痛みには感覚的・情動的・認知的側面があると言われてきたが、これらの間には密接な関連があり、切り離すことが難しい。痛みの情動的苦痛が痛みへの過剰な注意を生じさせ、運動や状況の回避を起こすことがリハビリテーション治療の継続を困難にする。そこで、本研究課題では、これらの側面の相互連関に関与する神経機構解明を目的とし、慢性痛における扁桃体-前障連関の可塑的変化と機能的役割を光遺伝学的・化学遺伝学的手法を用いて検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
慢性痛を訴える患者のリハビリテーションにおいて、痛みが生じうる運動や状況を予測して警戒を高め、それを避ける行動を意識的にとるため、十分な効果が上がらないことが少なくない。痛みには感覚的・情動的・認知的側面があり、特に痛みの認知は直接随意的な行動を変化させてしまう。この問題を克服するには、痛みの認知が、注意・注視・警戒行動を引き起こす機構の解明が必要である。本研究は、痛みの認知的側面に関与する領域として、扁桃体を含む辺縁系から入力を受け、皮質に出力し、意識や注意機能に関わるclaustrum complex (前障複合体) に着目し、「慢性痛モデルにおいて扁桃体-前障システムの活動が、侵害受容閾値や注意機能に影響を及ぼすか」を検証する。 本年度はclaustrum complexのオキシトシン受容体 (Oxtr) 陽性ニューロンの活性化がマウスの自由行動や侵害受容閾値に及ぼす影響の検証を中心に進めた。オープンフィールド試験、温度嗜好性試験、機械性閾値測定を行った結果、claustrum complex及び、その周辺領域のOxtr陽性ニューロンに興奮性人工受容体 (DREADD) が発現した個体において、DREADDリガンドを投与した際に行動異常や温度嗜好性の変化、機械性閾値の低下を認めた。 また、Fosプロモーター活性依存的にcre recombinaseを発現するFosTRAP2マウスとcre recombinase依存的にtdTomotoを発現するAi14マウスを交配して得られたマウス(FosTRAP2 × Ai14マウス) で、侵害刺激による活性化依存的に蛍光蛋白を発現させ、その局在を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究ではOxtr依存的にcre recombinaseが発現するマウス (Oxtr-iCreマウス) を用いて、AAVベクターの脳内微量注入によってclaustrum complexのニューロンにcre recombinase依存的にDREADDを導入する手法を用いている。そのため、脳内微量注入の精度の問題で個体によってDREADD発現部位に差異が生じてしまった。異常行動が顕著で、予定していた行動試験を実施できなかった個体や、claustrum complexに十分な発現がなかった個体があり、十分な例数を集めることができなかったため、行動評価の進行に遅れが生じている。 FosTRAP2 × Ai14マウスでの解析についてはclaustrum complexにおける侵害刺激活性化ニューロンの分布の検証を順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はこれまでに実施した行動試験の例数を追加するとともに、DREADD発現部位と行動変容の関係を精査する。場合によっては、よりDREADD発現細胞を機能的に限定するため、FosTRAP2マウスの使用や投射ニューロン特異的なDREADD導入を検討する。また、疼痛モデルを作製し、注意機能評価を実施して、痛みが注意機能に及ぼす影響を評価する。claustrum complexのニューロンから電気生理学的特性・シナプス伝達を記録し、疼痛モデルにおける細胞興奮性やシナプス伝達の可塑的変化を検証する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)