Project/Area Number |
23K16622
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59010:Rehabilitation science-related
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
沼田 純希 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 助教 (20780464)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | 歩行リハビリテーション / リズム運動制御 / 時間情報処理 / タッピング課題 |
Outline of Research at the Start |
日常の歩行では、歩く状況に応じた歩行リズム生成能力が必要とされる。大脳基底核や小脳領域の神経疾患ではリズム生成機能の低下と歩行障害の関連が報告されている。よって、これら疾患毎のリズム生成機能の低下の特徴を検証することは歩行リハビリテーションの技術支援に必要な情報となる。本研究は健常者とこれらの神経疾患を対象とし、これらの領域の歩行におけるリズム生成プロセスを神経生理学的に検証することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
時間情報処理に関する脳領域には、大脳基底核や小脳、補足運動野といった運動発現と非常に関連性の高い領域が挙げられている。歩行運動では、状況に応じて適切な歩行リズムが生成され、自動化されるというプロセスがある。先述の運動関連脳領域の変性を示すパーキンソン病(PD)や脊髄小脳失調症(SCA)では時間処理障害と歩行障害の関連性が報告されている。本研究は,歩行運動をモデルに,下肢の随意的なリズム生成と自動化のための一連の制御がどこでどのようなタイミングで行われるのかを神経生理学的に解明し、神経疾患患者から得られたデータと対比させ,下肢の随意的なリズム生成に着目した新たな歩行リハビリの機能評価・治療技術の考案を目指すものである。 初年度は、下肢のリズム生成に対する大脳基底核の関与を検討することを目標とした。一定リズムで流れる音に同期して手指および足部で反応ボタンを押す同期タッピング課題について、PD患者および健常高齢者を対象に、①片側のみの運動,②両側を同じ方向に動かす同位相性の運動,③両側の交互運動(逆位相性の運動)の3種の条件で行った。結果から、PDでは健常者と比較しタップが有意に早まり、これは特に逆位相性の運動で著明であった。さらにPD患者における歩行障害(すくみ足)とタッピング精度の間の相関関係を認めた。これらの結果は、大脳基底核が下肢のリズム生成において重要な役割を持つことを示すとともに、本課題がPD患者の歩行障害に関わるリズム生成機能を評価できる可能性を示唆したと考えている。現在は、これらのリズム生成や保持に関する神経生理学的な機序について検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023~2024年度の目標は、健常成人を対象とした下肢のリズム生成に関する運動関連脳領域(大脳基底核、小脳、補足運動野)の機能的役割を神経生理学的手法により明らかにすること、およびPD患者のリズム生成能力と運動歩行障害との関係性を健常高齢者との比較から検証することとした。 これまでの結果から、PD患者では健常者と比較しタップが有意に早まり、このタップの早期化は特に逆位相性の運動で著明であること、さらにPDの歩行障害(すくみ足)とタッピング精度との相関関係を認め、PDの進行度に応じてタッピング課題のパフォーマンスが変化すること(初期より逆位相性の運動が困難となり、進行に伴い片側および同位相性の運動が困難となる)が明らかとなった。 神経生理学的手法による検証として、経頭蓋磁気刺激(TMS)法による補足運動野に対する一過性の機能抑制(virtual lesion)を用いた検証を予定していた。しかし、プレ実験を開始したところ、同期タッピングのための音刺激とTMSに伴い発生する音がほぼ同時に生じる影響によってタップが早まる現象(intersensory facilitation)が確認された。タップのタイミング変化がvirtual lesionとintersensory facilitationのいずれの影響によるものか判別が困難であったことから、併せて実施予定としていた経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を用いた検証を中心に進めることとし、現在は本実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度の目標は、前述したtDCSによる検証と、SCA患者における下肢のリズム生成能力について調べることである。今後は、健常者におけるtDCSによる検証のデータ測定継続と、SCA患者を対象としたデータ測定準備を進めることとしている。
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