Project/Area Number |
23K16644
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59010:Rehabilitation science-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐々木 遼 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 客員研究員 (90908568)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ラット / 関節炎 / 低反応レベルレーザー療法 / マクロファージ / 疼痛 / LLLT |
Outline of Research at the Start |
侵害受容性疼痛に対する物理療法の生物学的エビデンスは不足しており,基礎データの蓄積はリハビリテーション医療における喫緊の課題である。低反応レベルレーザー療法(LLLT)はin vitroレベルで炎症抑制作用を有することが示唆されているが,至適照射条件も含めてin vivoレベルでのエビデンスは十分でない。そこで,本研究ではカラゲニン誘発膝関節炎モデルラットを用い,LLLTによる侵害受容性疼痛の軽減効果およびその生物学的機序について,マクロファージの極性化に着眼して検索を進める。また,これらの結果に基づき,LLLTによる侵害受容性疼痛の軽減効果を得るための至適照射条件の策定を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は「低反応レベルレーザー療法の疼痛軽減効果機序の解明」を目的に,特に滑膜のマクロファージの極性変化に着眼して検証した。具体的には8週齢のWistar系雄性ラット32匹を用い,カラゲニン・カオリン混合液を右膝関節内腔に注射することで関節炎モデルを作製した。そして,作製した膝関節炎モデルラットを,①低反応レベルレーザー(LLLT)を膝関節周囲に照射するLLLT群,②関節炎群,③無処置の対照群に振り分けて,起炎剤惹起後6日間の介入を行い,7日目に試料を採取した。実験期間中は,患部の横径(腫脹),圧痛閾値(痛覚感受性),患肢荷重率(荷重時痛),歩行時痛の立脚期率・遊脚期率(歩行時痛)を経時的に評価し,患部の炎症症状ならびに疼痛の変化を検討した。結果,LLLT群の疼痛はいずれの評価においても起炎剤投与後4日目以降に有意な改善を示した。また,実験期間終了後は膝関節と膝蓋下脂肪体を採取し,前者の試料を総マクロファージのマーカーであるCD68,炎症型(M1)マクロファージのマーカーであるCD11c,抗炎症型(M2)マクロファージの指標であるCD206に対する免疫組織化学染色に供した。その結果,LLLT群では関節炎群と比較して総マクロファージならびにM1マクロファージの有意な減少とM2マクロファージの有意な増加が確認された。以上の結果から,LLLTは関節炎発症直後の疼痛軽減に効果的であり,その機序には総マクロファージならびにM1マクロファージの減少やM2マクロファージの増加といったマクロファージの動態が炎症の軽減に関与している可能性が示唆された。今後はこのマクロファージの動態変化に関わるメカニズムを解明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度前半までを研究①の期間に設定しており,マクロファージの動態まで検索が進んでいることから概ね順調に進展していると考えている。なお,現在は分子生物学的検索に取り掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究においては,まずM1マクロファージが産生するIL-1βとM2マクロファージが産生するIL-10の発現状況を検索し,疼痛軽減機序の解明を進める。次に,M1マクロファージならびにM2マクロファージへの分化に関わるIL-6ならびにIL-4の発現状況を検索することでLLLTのマクロファージの極性変化に対する作用機序の解明を進める。これらの検証には膝蓋下脂肪体の試料を用い,生化学あるいは分子生物学的解析に供して検証する予定である。その後は,LLLTの慢性疼痛進行予防効果を検証する目的で脊髄における中枢感作に対する効果を検証する予定である。具体的には,脊髄試料を用い,中枢感作のマーカーであるリン酸化NMDA受容体に対する蛍光免疫染色に供し,その発現状況をもって効果検証を行う予定である。なお,上記の解析が終了次第,研究②である至適条件の検討に移行する予定である。
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