Project/Area Number |
23K16669
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59020:Sports sciences-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 歩 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (70854438)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
|
Keywords | ルーティーン / PPR / 集中力 / 生体情報 / 脳波 / ダーツ / Pre-performance routine / 脳画像 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は,神経科学的にPre-performance routine (PPR)がパフォーマンス向上に繋がるメカニズムを明らかにし,効率的なPPR訓練法を開発することである。
本提案ではまず,実環境において認知神経科学的手法を用いてPPRのメカニズム解明及び客観的評価技術の開発を行う。次に,統一された実験室環境において空間解像度の優れた脳画像法を用いて PPRの神経基盤を明らかにする。最後に,得られた知見に基づき効率的なPPR訓練法を開発し,その効果を検証する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,神経科学的にPre-performance routine (PPR)がパフォーマンス向上に繋がるメカニズムを明らかにし,効率的なPPR訓練法を開発することである。PPRとは、アスリートがパフォーマンスを行う前に体系的に行う課題に関連した一連の思考と行動のことを指す。PPRのメカニズムとして,集中力の向上が有力な仮説として提唱されているが,証明されていない。そこで令和5年度には,集中力の一端として内省を客観的に推定するために,持続的注意課題中の主観的な課題非関連思考や集中度合いなどの内省を取得し,同時に計測した脳波や瞳孔径を含む生体情報との関連を調査した。また,眼鏡型ウェアラブルデバイスを用いて瞳孔径を推定するシステムの構築も行った。眼鏡型ウェアラブルデバイスを用いて瞳孔の動画を撮影しdeep learning技術を用いることで,ダーツ中の瞳孔径の推定を行うことが出来る。その結果,内省として課題非関連思考は瞳孔径と負の相関を示し,非関連思考時にはα波のpowerが低下することが明らかとなった。また,内省としての集中度合いはβ波のpowerの増加と関連することが明らかとなった。 上記と並行して,ダーツを行う際のPPRと集中状態の関係を調査するための実験システムの構築を行った。従来研究では,ダーツの矢を投げるたびに定規などを使用しパフォーマンスの計測を行っていたが,PPRでの実験ではなるべく実験協力者のリズムを崩さないよう,より自然な状況でパフォーマンスを行ってもらうことを目指し,動画を用いて自動でダーツの矢が刺さった場所を検出するシステムの構築を行った。動画を用いたダーツパフォーマンスの自動評価システムは,定規で計測を行う場合と同程度の精度でダーツの矢が刺さった位置の推定を自動で行うことが可能となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時における令和5年度の計画では,集中力の一端として主観的な内省とEEGで計測した脳活動や瞳孔径などの客観的な生体情報との関連を調査し,PPRを行うことで集中力が向上するのかを検証することを目指した。 主観的な内省と客観的な生体情報間の関連を調査するために,持続的注意課題中に経験サンプリング法で内省を取得しつつ,脳波,瞳孔径,心拍,呼吸などの生体情報を同時に計測した。また,眼鏡型ウェアラブルデバイスを用いて瞳孔の赤外線動画を撮影することで,撮影後にdeep learningで解析することで瞳孔径の推定を行うシステムの構築を行った。その結果,内省として課題非関連思考は瞳孔径と負の相関を示し,非関連思考時にはα波のpowerが低下していた。また,内省としての集中度合いはβ波のpowerの増加と関連していた。 上記の研究と並行して,ダーツを行う際のPPRと集中状態の関係を調査するために,実験に使用するダーツの成績を自動で計測するシステムの構築を行った。このシステムではダーツ盤を動画で撮像するだけで,ダーツが刺さった位置を定規等で計測した場合と同程度の精度で推定することを目指した。Opencvを使用することで,動画からダーツ盤を自動検出し,動体検出によりダーツの矢を検出することで,ダーツの矢が刺さった位置の推定を行った。その結果,定規で計測を行う場合と同程度の精度でダーツの矢が刺さった位置の推定を自動で行うことが可能となった。 当初の予定では,PPRが内省に与える影響を調査し,認知課題でのPPRの効果も検証する予定であったが,内省と生体情報の関連を調べるシステムの構築や,ダーツ実験の環境を整えるのに想定以上の時間がかかったため,進捗としては計画からやや遅れている。しかし,実験環境は整ったためこれから実験を進めることで後れを取り戻せると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は,【現在までの進捗状況】で構築したダーツシステム及び内省と生体情報の関連性を用いて,ダーツ成績と生体情報の関連,及びPPRの有無による変化を調査する。具体的には,先行研究においてダーツを投げる直前のテイクバックの回数をPPRとして有効性が確認されているため,本研究でもその手法を踏襲し,どのようなPPRが最適かを検証する。
また,同時にPPRの神経基盤として詳細な脳活動の空間パターンを明らかにするために,fMRI計測を行う準備を進める。PPRの効果が集中力の向上に基づくのであれば,運動課題だけでなく認知課題においてもPPRが有効に働く可能性がある。そこで,fMRI内において 認知課題として視空間的ワーキングメモリー課題を用いてPPRの有効性を検証する。PPRによって脳活動が変容し行動課題成績の向上につながっているのであれば,PPRを行う場合と行わない場合で脳活動パターンは異なり,その脳活動パターンは課題成績と関連するはずである。同一の被験者がPPRを行う場合と行わない場合の脳活動を比較することでPPRの神経基盤の調査を進める。
|