XI型筋糖原病から紐解く乳酸代謝の重要性: 効果的な緩和療法の開発に向けて
Project/Area Number |
23K16718
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59020:Sports sciences-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 謙也 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (40909917)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 乳酸 / 糖原病 / 骨格筋 / 運動 |
Outline of Research at the Start |
XI型筋糖原病 (Kanno病) は、骨格筋型の乳酸脱水素酵素をコードしている遺伝子 (lactate dehydrogenase A) の異常や欠損によって引き起こされる難病である。XI型筋糖原病患者は、乳酸産生を触媒している酵素が欠損あるいは不足しているため、運動時の顕著な乳酸濃度の上昇がみられない。それにもかかわらず、運動不耐、筋痛・筋硬直、横紋筋融解症などの症状がみられることが報告されている。本研究では、XI型筋糖原病の症状や病態を理解することで、生体において乳酸産生が果たす役割を明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、はじめに骨格筋型の乳酸脱水素酵素をコードしている遺伝子 (lactate dehydrogenase A: LDHA) を欠損したXI型筋糖原病の病態を解明し、生体内における乳酸の役割を明らかにすること、そして、XI型筋糖原病に対する介入方法について検討することを目的とした。本年度は、ゲノム編集技術であるCRISPR/Cas9を用いたi-GONAD法により、LDHAを欠損したモデルマウスの作成に取り組んだ。具体的には、卵管内にある受精0.7日目後の受精卵 (1細胞期胚) にゲノム編集試薬 (gRNAおよびCas9タンパク質)を注入し、エレクトロポレーション法によって、受精卵のゲノム編集を行った。その結果、一部の身体部位のみLDHAを欠損したモザイク型欠損マウスの作成に成功した。その後、LDHAのモザイク型欠損マウスと野生型マウスの交配を行い、LDHAのヘテロ欠損型マウスを入手した。しかしながら、LDHAのヘテロ型マウス同士の交配を繰り返してもLDHAホモ欠損型マウスが生まれてこないこと、すなわち胎生致死となることが明らかとなった。そのため、LDHAのヘテロ欠損型マウスを対象に検討を行った。はじめに、LDHAのヘテロ欠損型マウスにおける骨格筋の乳酸脱水素酵素活性が、有意に低下していることを確認した。骨格筋のエネルギー産生に関与する解糖系酵素活性およびミトコンドリアの酵素活性を測定したが、遺伝子型による影響は認められなかった。現在は、LDHAのヘテロ欠損型マウスの運動パフォーマンスや運動時のエネルギー代謝について測定し、遺伝子型による表現型への影響について検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LDHAのヘテロ欠損型マウスを作成し、骨格筋の乳酸脱水素酵素活性が低下していることを確認することができた。しかしながら、本研究で対象とする予定であったLDHAのホモ欠損型マウスの作成に至っておらず、新たな遺伝子操作手技の導入について検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
CRISPR/Cas9を用いたi-GONAD法では、LDHAを完全に欠損させたモデルマウスの作成は困難であることが明らかとなったため、他の遺伝子操作手法の導入を検討していく。LDHAのヘテロ欠損型の遺伝子を持つ日本人の存在が報告されていることから、この遺伝子型の病態解明についても進めていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)