Project/Area Number |
23K16805
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
森本 洋武 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (00965577)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 子宮内膜 / 脱落膜化 / ビタミンD / 転写因子 |
Outline of Research at the Start |
ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種であり、妊娠前の血清中ビタミンD濃度が妊娠率、出生率に関与することが近年報告された。また、動物実験においてもビタミンD濃度依存的に着床率が向上することが報告されている。このことから、受精卵の着床の場となる子宮内膜の脱落膜化にビタミンDが関与することが考えられた。そこで本研究では、培養細胞を用いて子宮内膜の脱落膜化を再現し、ビタミンD添加による遺伝子発現変化の全容を次世代シークエンサーを用いて網羅的に解析することで、脱落膜化の過程でビタミンDが子宮内膜の細胞に与える影響を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではビタミンDが子宮内膜間質細胞の脱落膜化に与える影響を解明することを目的とした。研究初年度は以下の通り取り組んだ。 ・in vitroにおける子宮内膜間質細胞の脱落膜化の再現 ヒト子宮内膜間質細胞由来の不死化細胞株であるKC02-44D細胞は脱落膜化を再現できる細胞として報告されている。そこでKC02-44D細胞をエストロゲン存在下で4日間培養した後、プロゲステロン、ジブチリルcAMPを加え、8日間培養することで脱落膜化の誘導を試みた。プロゲステロン、ジブチリルcAMP添加時を脱落膜化誘導後0日目とし、0、4、8日目に脱落膜化の指標となるPRL遺伝子、IGFBP1遺伝子のmRNA発現をPCR法により解析した。結果として、どちらの遺伝子も誘導後8日目にmRNA発現が認められた。また、脱落膜化を促す3種の転写因子のmRNA発現も脱落膜化誘導後0、4、8日目に認められた。以上の結果から、KC02-44D細胞を用いることでin vitroにおいて子宮内膜間質細胞の脱落膜化が再現できると考えた。また、脱落膜化誘導過程における水酸化酵素CYP27B1並びにビタミD受容体の発現解析を行った。ビタミンDの活性化に関与するCYP27B1、並びにビタミンD受容体は子宮内膜において発現することが報告されている。本研究に用いるKC02-44D細胞において、これらの遺伝子が発現しているかPCR法により解析した。結果として、脱落膜化誘導後0、4、8日目の細胞においてCYP27B1、並びにビタミンD受容体のmRNA発現が認められた。 以上の結果から、KC02-44D細胞は脱落膜化の過程におけるビタミンDの作用機序を明らかにする上で対象試料として適切であると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画時に使用することを想定していた細胞では脱落膜化を再現することが難しいと明らかになり、細胞の選定から行った。KC02-44D細胞は脱落膜化が再現できることが報告されており、本研究においても遺伝子発現解析から脱落膜化が再現できることが確認された。また、ビタミンD代謝に関わる遺伝子発現も認められた為、本研究を実施する上で適した細胞を選定することが出来たと考えられる。培養に用いるFBSにはエストロゲン、プロゲステロンといった脱落膜化のカギとなる脂溶性ホルモンが含まれていることから、継代時には活性炭処理をしたステロイドフリーFBSを使用している。その影響からか細胞の増殖が悪く、初年度に実施する事を想定していたビタミンD添加に伴う受容体の核内移行量の解析、脱落膜マーカー遺伝子の発現解析を実施することが出来ていない。これらの検証を実施した上で網羅的遺伝子発現解析に取り掛かる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度に実施予定であったビタミンD添加に伴う受容体の核内移行量の解析、脱落膜マーカー遺伝子の発現解析を行う。KC02-44D細胞において発現が確認されたビタミンD受容体はビタミンDを受け取ることにより核内移行を生じ、転写因子として働く。そこでビタミンDを添加培養することでビタミンD受容体の核内移行が生じるかをウエスタンブロット法により検証する。また、子宮内膜間質細胞に活性型ビタミンDを添加することで、脱落膜より分泌されるホルモン量が上昇することが報告されている。これに基づき、ビタミンDの有無によりKC02-44D細胞の脱落膜化が促進されるかを脱落膜マーカー遺伝子の発現解析により明らかにする。以上の解析により、KC02-44D細胞がビタミンDに応答するかを検証する。その上で、次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子発現解析を行い、脱落膜化の過程でビタミンDにより発現変動が生じる遺伝子を同定する。
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