植物精油の吸入投与によるアルツハイマー型認知症改善に関する研究
Project/Area Number |
23K16806
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
竹元 裕明 東邦大学, 薬学部, 講師 (40511431)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | アルツハイマー型認知症 / ヒト型Aβ前駆体タンパク質遺伝子ノックインマウス / アミロイドベータ / 小胞体ストレス / C/EBP相同的タンパク質 / 神経変性性疾患 / 芳香療法 / 植物精油 |
Outline of Research at the Start |
芳香療法の活用はアルツハイマー型認知症(AD)の予防や治療のための有用なツールとなる可能性があり、本研究では植物精油の「香り」に着目し、芳香療法によるAD改善メカニズム、活性発現に重要な成分を明らかにする。特に、次世代型ADモデルマウスを用いた行動薬理学試験やADバイオマーカーの解析から、芳香療法の臨床応用に繋がるエビデンスの集積を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
寿命の延伸に伴い、全世界的に神経の変性が要因となる認知症、特にアルツハイマー型認知症(AD)の罹患者数は急増している。現在AD治療に一般的に用いられている治療薬(アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、NMDA型グルタミン酸受容体拮抗薬)はADの進行をわずかに遅らせるだけで根治治療は全く期待できない。その中で、発症の要因となるアミロイドβ(Aβ)に対する抗体薬であるレカネマブが、Aβ蓄積を抑制することによりADの進行を強く抑える薬剤として期待され米国と日本で承認されたが、その保険適用範囲は軽度認知症障害患者にとどまり、またその治療費が高価で、副作用の発生頻度が高いことから、理想的なAD治療薬というには程遠い。 近年、Aβ蓄積に伴う神経変性や神経機能不全の要因に対して、小胞体ストレスが注目されている。そのため、小胞体ストレスの発生を抑えることは、Aβの蓄積の阻止と共にADの重要な治療戦略、予防法に結びつくかもしれない。 そこで本研究では、理化学研究所より導入した変異Aβ遺伝子を含むヒト型Aβ前駆体タンパク質遺伝子ノックイン(APP-KI)マウスを導入し、繁殖・維持を行い、脳内のAβと小胞体ストレスに関連するタンパク質であるC/EBP相同的タンパク質(CHOP)の発現を免疫蛍光染色により解析することを目的とした。 その結果、Aβの凝集に関しては、APP-KIマウスの海馬および大脳皮質において4ヶ月齢から観察され、さらに6~8ヵ月齢にかけて顕著に増加し、10ヵ月齢まで増加し続けた。同時にCHOPも、大脳皮質では4ヶ月齢でその発現が観察され、海馬では6ヶ月齢で明らかな発現が観察され、その発現は8ヶ月齢にかけて顕著に増加した。本研究結果から、AD病態発現に小胞体ストレスが強く関わることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ADの新規の治療標的として、小胞体ストレスに着目して研究を行った。アルツハイマーモデルマウスの繁殖も順調であり、本年度において若齢期から高齢期までの月齢マウスを維持することができた。その上で、脳組織の薄切切片の作製技術とそれにより得られた切片を用いた免疫蛍光組織染色法の技術を導入・確立した。その結果、アミロイドベータの凝集と小胞体ストレスマーカーであるCHOPの共局在も観察することが出来、アルツハイマー病の発症に密接に関わる可能性のあるタンパク質を本モデルマウスにおいて確認することが出来た。ADの予防効果を示す植物精油成分を探索を目的としているが、今回得られた実験結果をもとに植物精油成分の活性評価を現在、行っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
被験物質として、AD予防効果の期待される精油成分の投与実験を行う。今回得られた結果から、アミロイドベータや小胞体ストレスマーカーを指標として、効果を示す精油成分の探索を行う。実験方法として、今回行った免疫蛍光染色以外に、ウェスタンブロットおよびマウスの行動薬理学実験(Y字迷路、新規物質探索、水迷路試験)を実施することで、精油成分の効果を詳細に解析する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)