Project/Area Number |
23K16952
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 61030:Intelligent informatics-related
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
秦野 亮 東京理科大学, 創域理工学部経営システム工学科, 嘱託特別講師 (50808657)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 動的認識論理 / 関係変化の動的論理 / 完全性定理 / 巨大なクリプキモデルの意味論 / Action Model / 直観主義論理 / 数理形態学 / 証明論 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,「様相論理=情報の内容を扱う論理」という視点からエージェントの認識状態の変化を捉える動的認識論理を情報流を扱う様相論理の拡張と捉えなおす事で,次の3つの課題に取り組む:(A)情報流分析の構成的論理の研究,(B)非合理なエージェントを許す動的認識論理の研究,(C)数理形態学への応用研究.課題(A)ではコンピュータ・プログラムの挙動,課題(B)ではエージェントの認識変化,課題(C)では数理形態学に基づく画像処理の演算と見た目は異なる様に思える概念を扱うが,本研究ではこれらを所与の「情報」が特定の操作を通じて変化するという共通性に着目する事で,一貫した論理の枠組みで捉える基盤を与える.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は(A)情報流分析の構成的論理の研究,(B)非合理なエージェントを許す動的認識論理の研究,(C)数理形態学への応用研究,の3つの研究課題が存在した.当初の予定では,課題(A)及び(C)の一部に取り組む予定であった.しかし研究協力者の佐野勝彦准教授(北海道大学)との議論を経て,課題(B)を起点に課題(A)へと取り組むほうがより進展に繋がると考えられたため,(B)を中心に取り組んだ. 具体的には,Pimolluck Jirakunkanokらの信頼性変更の論理の研究に基づいて,エージェントの様々な認識変化をプログラムできる関係変化演算子を動的認識論理のAction Model (Product Update)に適合する形で導入し,巨大な意味論を構築し,完全性の証明を進めた.この過程で,既知の関係変化演算子よりも自由度が高いと考えられる表記を発見した.これに伴い,意味論と公理系の定義が既知のものと若干変わった形になったため,完全性の証明についてさらなる考察が必要となった. また,佐野准教授が北海道大学においてChairとして開催した国際会議 6th Asian Workshop on Philosophical Logic (AWPL2024)をco-Chairとして開催の補助を行った. 本国際会議には,様相論理・ハイブリッド論理の意味論に詳しいPatrick Blackburn氏や様々な嘘情報を含む動的認識論理の研究を行っているThomas Agotnes氏も参加しており,自身の研究課題に関連する最新の成果について聴講できた他,新たな知己を得た.本国際会議は事前にオンライン会議(各回約2-3時間,課題(B)の議論も併せて適宜実施)を32回実施するなど1年近くかけて入念な準備を行ったうえで開催され,開催期間中は大きなトラブルもなく円滑に運営が行われた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題(B)の完全性の証明を途中まで進展した2023年9月時点で,申請者は所属する大学において嘱託特別講師(任期3年,2023年度は2年目)から専任講師(任期なし)への昇任人事の機会恵まれたが,そのための準備・面接,新研究室設立の各種手続きが必要となった.また上述した国際会議AWPL2024のco-Chairとしての開催準備,及び東京理科大学での所属研究室(西山研究室)で単年度では過去最多となる国際学会への論文投稿・発表準備(AROB2024 10件, ICAART2024 1件),国際ジャーナル論文への投稿(AROB 3件)に関係する学生指導などが通常業務に加えて継続して重なってしまい,結果として交付申請書で予定をしていた課題に十分取り組む時間を設けられなかった. こうした問題によって遅れた分は次年度以降に補う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
ここ1年の間に本格的に台頭してきたChat-GPTをはじめとした生成系AIは,モデルが構築された時点で用いられた部分的な情報しか知りえず,誤りを犯す可能性があり,結果として嘘情報を含めた発話をしてしまうことがある.こうした問題に論理の観点から向き合い,現象に対する分析の手段を与える,という意味では課題(B)の達成は社会的に意義があるものと考えられるため,集中的に取り組む予定である.特に,上述した完全性の証明を行い,その後はラベル付きのシーケント計算を修正した公理系に基づいて構築し,カット除去定理が成り立つかを検証する予定である.この一連の流れは,申請者らが2020年までに遂行した関係変化演算子付き動的論理に対する研究において確立した手法に基づくため,実施すべき手順自体は明確である.期待される研究成果については佐野准教授とも議論を進めた上で,本年度に国際学会へ投稿予定である. また,課題(A)において様々な動的演算を「プログラム」する上で重要な繰り返し演算子を関係変化演算子付き動的論理に導入する事については,David Harelらの動的論理に関する文献に加え,AWPL2024に参加した際に知った文献で展開される議論についても精査したうえで取り組む予定である. さらに,定理証明支援系を使用した研究成果の導出及び応用について興味があり,そうした事に精通しているTadeusz Litak上級講師 (FAU Erlangen-Nurnberg)が研究協力者の佐野准教授によって北海道大学に2024年9月に招聘される.この機会に合わせて同校を訪問し,さらなる成果を得るための道筋をつけたい.
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