Project/Area Number |
23K16987
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 62010:Life, health and medical informatics-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉野 龍ノ介 筑波大学, 医学医療系, 助教 (50817575)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 分子動力学方 / PROTAC / 三者複合体 / 構造探索 / リンカー設計 / 分子動力学計算 / 作用機序解析 / 分子設計 |
Outline of Research at the Start |
E3ユビキチンリガーゼと特定の標的タンパク質を認識する機能性低分子であるPROTACの活性の発現には、両タンパク質を繋ぐ適切なリンカーの設計が重要である。PROTACは本来の相互作用ペアではないタンパク質同士を結合させるモダリティであるため、設計の基準となる三元複合体モデルの構築が求められている。 本研究では拡張サンプリングを適用した分子動力学法による三元複合体モデル予測を提案する。各タンパク質が複合体構造を形成する挙動のみを採用するサンプリング法を適用し、それらの結果から適切なリンカーが持つ物理化学的な特徴を抽出することによってリンカー構造の評価手法の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
治療が困難である疾病の標的タンパク質を分解するPROTACは、E3ユビキチンリガーゼ (E3) を認識する部位と、特定の標的タンパク質を認識する部位からなる機能性低分子である。PROTACは標的タンパク質、及びE3に特異的に結合し、疾病の原因となる標的タンパク質のユビキチン化を誘導することによってプロテアソームを作用させ、標的タンパク質を細胞内から除去することが可能である。PROTAC の設計における重要な課題は、両タンパク質を認識するリガンドを繋ぐ最適なリンカーを選択することである。リンカーとの相互作用を含む標的タンパク質と E3 の安定な三者複合体の形成が PROTAC の機能発現に重要であるが、三者複合体の構造情報は非常に限られているため、計算技術による構造モデルの構築手法の確立が求められている。 シミュレーション技術を用いた三者複合体の予測手法として、PROTACの配座解析を行い、リガンドを基準にタンパク質を重ね合わせて複合体モデルを構築する手法や、タンパク質ドッキングで構造をモデリングした手法などは既知の複合体構造に近いモデルを構築することが報告されている。また、PRosettaCによる複合体モデルの再評価なども適用されているが、これらの手法はタンパク質を剛体として扱うため、リンカーを含めたタンパク質間相互作用や結合過程などが考慮されておらず、適切なリンカー選択の基準となる精度の高い三者複合体を求めるには至っていない。 本研究では、拡張サンプリング法を適用した分子動力学シミュレーションベースの網羅的構造探索、及びマルコフ状態モデル(MSM)の構築と自由エネルギー計算による評価を行い、複合体構造予測を目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では網羅的な構造探索を行うため、PROTACのリンカー部位の二面角を180度に編集したモデルを初期構造とし、両タンパク質が接触する運動のトラジェクトリのみを採用するParallel Cascade Selection Molecular Dynamic (PaCS-MD)、外れ値となる構造を次の探索の初期構造とするOutlier FLOODing (OFLOOD)法を適用した。さらに、これらの構造をベースにマルコフ状態モデル(MSM)の構築を行い安定構造に探索を行った結果、構築された自由エネルギー地形の最安定構造が既に報告されている既知の構造と一致した。このことから、本研究で採用したプロトコルはPROTACを含めた三者複合体の構造探索に適しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに研究成果の出版を行うため、Journal of Chemical Information and Modelingに現在投稿中である。また、現在採用しているサンプリング法の計算時間のコストを削減し、スループットの向上に取り組む。さらに既知のアクティブなPROTACのリンカーが持つ物理科学的な特徴や、複合体形成過程での挙動、タンパク質との相互作用を解析し、PROTACのリンカー設計手法の確立を目指す。
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