Project/Area Number |
23K17078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 64050:Sound material-cycle social systems-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山下 奈穂 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (10971864)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 滞留年数 / 物質ストック・フロー / 都市構造物ストック / CO2排出量 / 資源循環 / 建設資材 / 物質ストックフロー分析 / ストック型社会 / 物質循環 / 都市構造物 |
Outline of Research at the Start |
ストック型社会への転換、すなわち、滞留年数の延長による世代を越えた資本蓄積は、頻繁な建て替えに伴う新規資材投入の増加や廃棄物の発生といった環境負荷を抑制する有効な手段の一つとなりうる一方で、耐震性・耐久性を維持するための炭素排出強度の高い建設資材投入量の増加など一時的な環境負荷の増大も予想される。本研究では、建築物・社会基盤施設の滞留年数の延長が将来の資源利用量及び二酸化炭素排出量に与える影響を明らかにし、物質ストックの長期利用による環境負荷の抑制効果について学術的根拠を示すことを目的とする。本研究課題は、ストック型社会の形成に留まらず脱炭素社会の実現といった観点からも有意義な試みである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、建築物・社会基盤施設の滞留年数の延長が将来の資源利用量及びCO2排出量に与える影響を明らかにし、物質ストックの長期利用による環境負荷の抑制効果について学術的根拠を示すことを目的としている。物質ストックに関する既往研究の多くは特定の資源や地域を対象とした定量化に留まっており、都市構造物の除却・解体から建て替えを含む物質循環を長期間かつ定量的に評価する研究はほとんど確認されていない。本研究課題は、都市に蓄積された物質の入れ替わりを考慮する点で独創性を有しており、ストック型社会の形成に留まらず脱炭素社会の実現といった観点からも有意義な試みである。 本年度は、建築物を対象に滞留年数の変化によるストック・フローへの影響を評価するモデルの基礎を構築した。研究計画では、一年目に建築物を対象とした滞留年数に関する文献調査、基礎モデルの構築及びパラメータの設定を掲げており、おおよそ予定通り進行していると評価できる。本研究の対象は建築物(住宅・非住宅)、社会基盤施設(道路、下水道、港湾・空港、発電施設など)であり、本年度取り組んだ建築物における実証研究は、後続の社会基盤施設の推計を進めるために必要不可欠である。研究期間を通して、大量の資源・エネルギーを必要とし、かつ社会・経済インパクトの大きい都市構造物を広く対象に手法の有用性を検証し、査読論文や学会発表での研究報告を通してモデルの十分な有用性を確認した上で、その他物質ストックへの適用を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は三年で目標達成を目指すものであり、研究計画に沿って研究を遂行している。達成項目として大きく (a)都市構造物ストック・フローに関するデータベース整備、 (b)モデルの構築、(c)各構造物における実証研究の三点を挙げており、初年度については建築物を対象に(a)から(c)の達成を試みた。本年度は、建築物を対象に滞留年数の変化によるストック・フローへの影響を評価するモデルの基礎を構築し、その内容について査読論文に取りまとめ、現在審査中である。(a)のうち、建築物ストック・フローの定量化や滞留年数に関する文献調査も終えており、おおよそ予定通り進行していると評価できる。建築物の実証研究を通してモデルの十分な有用性を確認し、次年度以降その他物質ストックへの適用を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は社会基盤施設について同様にモデルの作成・パラメータの設定等を進め、後半には評価手法の修正及び再推計を繰り返すことで推計精度の向上を試みる。社会基盤施設については特に道路から下水道、港湾・空港、発電施設など用途が幅広いことから、データベースの構築についてより幅広い知見が必要であると考えられる。文献調査や現地調査も行いながら、実証研究に必要となるデータの収集を重点的に行う予定である。最終年度にはこれら研究成果を取りまとめ、今後の研究の発展に向け課題点を整理する。
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