Project/Area Number |
23K17141
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 80030:Gender studies-related
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
大木 龍之介 椙山女学園大学, 人間関係学部, 講師 (80921767)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | ボディ・ポジティヴィティ / ポストフェミニズム / フェミニズム / ポピュラー・フェミニズム / 英語圏文学 / 英語圏文化 / ボディ・イメージ / ジェンダー / アメリカ文化 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、主に米国におけるボディ・ポジティヴィティの文化史をフェミニズムの文脈で整理した上で、ボディ・ポジティヴィティが商業化/商品化され「ポピュラー」になる中で、「個人的なこと(外見に基づく問題解決のために)は政治的なこと(社会を変える)」というフェミニズム由来の問題意識が、「政治的なこと(外見に基づく問題解決のために)は個人的なこと(自分の外見や意識を変える)」へと脱政治化されてきた過程を、批評概念としての「ポストフェミニズム」「ポピュラー・フェミニズム」の視点から明らかにする。その上で現代メディアにおけるボディ・ポジティヴ言説に潜む、身体の規範化/周縁化のメカニズムを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、現代英語圏文学におけるボディ・ポジティヴィティの表象分析を実施し、1件の国内学会発表と、1件の国際シンポジウム発表を行った。 2023年10月に第62回日本アメリカ文学会全国大会で発表した「「あの可愛い、小さな太った女の子が美の女王だ」――Julie Murphy, Dumplin' とポピュラー・フェミニズムの一形式としてのボディ・ポジティヴィティの難点」では、まず1960年代のファット・ポジティヴ運動が、現代のボディ・ポジティヴィティの流行の基盤となっていることを確認した。その上で、現代のボディ・ポジティヴィティは、社会的な身体規範の変革と攪乱を求めたファット・ポジティヴィティを脱政治化したものであること、そしてジュリー・マーフィーの『ダンプリン』はまさにその脱政治化の過程を描いたテクストだと指摘した。 2024年3月に国際シンポジウムCreativity & Change in Anglo-American Literature & Cultureで発表した"More Illegible Rage: Changing Looking, Remaining Post-Feminist Disorders in Mona Awad's 13 Ways of Looking at a Fat Girl"では、痩せを中心とした画一的な身体美を求める社会から、多様な美を認める社会へと変化する一方で、それでもなお外見への不満を抱き続ける女性の表象を、ラカン派精神分析とポストフェミニズム論を用いて分析した。それを通じて、一見多様な身体を許容しているかのように見えるボディ・ポジティヴな文化は、「<他者>の眼差しにとって美しく映るように身体を作り変えよ」という従来の美の基準と同じ要求を発しており、そのことが女性の身体に対する不満を煽り続けていると指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は国内学会発表1件と国際シンポジウムでの発表1件をおこなったが、当初予定していた米国での資料収集と、論文の発表ができなかった。これは研究代表者が2023年度4月より本研究課題申請時の機関から別の研究機関に異動し、教育研究環境と業務内容が大幅に変化したために、本課題に充当できるエフォートを十分に確保できなかったことが原因である。2023年度に予定していた米国での資料収集については、来年度以降に繰り下げて行う。また2023年度に投稿を予定していた論文についても、来年度以降に査読付き雑誌へ投稿し発表する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、2023年度に実施した国内学会・国際シンポジウムでの発表内容を論文として発表する。またボディ・ポジティヴィティとフェミニズムの文化史を整理した研究内容を、2024年12月の学会で発表する予定である。本発表内容は、学会でのコメントを踏まえて、後に学会誌へ投稿する。同時にボディ・ポジティヴィティの視覚表象についての研究を推し進め、2025年度の研究発表および論文発表に向けた準備も進める。
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