Project/Area Number |
23K17170
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 90030:Cognitive science-related
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
劉 南希 新潟大学, 医歯学系, 特任助教 (90971698)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | 前頭葉 / マカクザル / 言語文節構造 / 皮質脳波 / 電気生理学 / prefrontal cortex / mental construction / japanese macaque |
Outline of Research at the Start |
本課題では、単語から文を組み立てる二段階目の分節化に相当する言語の下位能力が非ヒト霊長類にもあるのか? その神経基盤はヒトと相同なのか?を問う。この問題を調べた先行研究は申請者の知る限り皆無であり、現在申請者らは行動学的実験により単語から文を構成する能力の下位機能をマカクザルで調べる課題を開発し動物訓練を進めている(2023年度)。行動学課題を遂行中の皮質脳波を多点電極で記録し周波数解析などの解析法で分節化特異的な神経活動を検証する(2024年度)。単一ニューロン活動記録で、二段階の分節化に伴う神経発火活動を検証し、分節化学習にともなう細胞レベルでの皮質機能構築の変化を調べる(2025年度)。
|
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトは文字から単語を組み合わせて、さらに単語から文を作ることができる。このように無意味要素から意味を表す記号を組み立て、さらに記号の組み合わせで文を構成する要素を表す能力の進化の起源は不明である。本研究では、マカクザルが、主語・動詞・目的語に相当する記号を組合せて文を記述する学習ができるかを行動学的に検証し、その基盤となる脳回路機序を生理学的手法で解明することを目標とする。 そのために、令和5年度は、マカクザル二頭は文構成課題の訓練を行い、各課題の成績が90%以上に達した。さらに、文構成課題プローブテストでは、二頭のサルともチャンスレベルより有意に上回る成績が得られた。さらに、文の「書き」と「読み」両方向から文を構成することができるのかを検証するため、文の構成と逆の、主語・動詞・目的語を表す記号を順次に提示し、サルが提示された内容に対応する動画を選択する文の読み取り課題を開発し、訓練を行なっている。各課題において、一頭のサルの成績は90%以上に達した。そして、動詞のプローブテストでサルは初めて見る動画でも動詞に対応する動画を選択することができた。この結果から、マカクザルは意味を持つ単語を組み合わせて文を構成する能力を持つことが示唆された。以上の研究成果は2023年中部生理学会で報告した。 また、ECoG信号の記録に向けて、左弓状溝下行枝内側に32チャンネル、左下前頭皮質全体を広範囲に覆う皮質表面電極96チャンネルを設計・作成した。一頭のサルに脳外科手術により電極を留置し、文の読み取り課題を遂行中に電気生理記録を行っています。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年次計画において、令和5年度は、サル2頭の行動学実験、皮質脳波記録用多点電極の設計・作成、皮質脳波記録実験の3つの項目が進められていました。 行動学実験について、ヒトは単語から文を作ること「文の書き」ができ、また、文を読み、主語、動詞、目的語の関係性を理解すること「文の読み取り」ができます。ヒトは文の「書き」と「読み」の両方向から文を構成することができます。非ヒト霊長類においても、意味を持つ単語を組み合わせて文を構成する能力があるのかを検証するには、単語を組み合わせて文を構成する能力だけでなく、その逆方向の能力の有無も検証する必要があります。以上の理由から、新たに文の構成とは逆の順番で、主語・動詞・目的語を表す記号を順次に提示し、サルが提示された内容に対応する動画を選択する文の読み取り課題を開発し、2頭のサルに訓練を行いました。サル1においては、令和5年度中に文の読み取り課題の訓練が完成しました。サル2は文の読み取り課題の前ステップ課題の訓練を行っています。 皮質脳波記録用多点電極の設計・作成については計画通り令和5年度中に完成しました。 脳波記録実験について、サル1は脳外科手術により電極を留置し、行動学課題を遂行中に電気生理記録を行っています。獲得した皮質脳波のデータの解析も行っています。サル2においては、文の読み取り課題の訓練が完成次第、電極留置を行います。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年度はサル1に文の構成課題と文の読み取り課題をメインに皮質脳波記録を行う。過去に訓練したモノー単語変換課題や動詞学習課題の電気記録実験も行う。文字から文構成課題については、以上の課題をすべて終了した後に訓練を開始する。 記録したデータの解析には、事象関連スペクトラム摂動(ERSP)はTheta(4-8Hz)、Alpha(8-13Hz)、Beta(13-30Hz)、Low-Gamma(30-80Hz)、High-Gamma(80-150Hz)の周波数帯区分ごとに統計的に解析し、文の構成に特異的な神経活動の周波数帯域、脳領域、時間を特定します。特に下前頭皮質における、文字を組み合わせて単語を構成する初段の分節化と、単語を組み合わせて文を作る二段目の分節化、さらに文字から文を作る二段階にまたがる分節化に関わる神経活動に焦点を当てて解析し、それぞれの特徴を検討する。 今年度後半はサル2について、初めて見る動画を主語、動詞、目的語を適切に組み合わせて記述できるかどうかのプローブテストを行う予定です。さらに、昨年度設計した前頭皮質(96チャネル電極)と弓状溝内皮質(32チャネル電極)の多点皮質脳波電極を外科手術により脳内に留置し、電気生理記録実験を行う。 令和7年度は、単一ニューロン活動記録実験を行う。課題関連ECoG活動が同定された脳部位の直上に記録用チェンバーを設置し、所属研究室で実績を有する金属微小電極法によりニューロン活動記録を進め、二段階の分節化に伴う神経発火活動が単一のニューロンに収斂するのか、それとも分離しているのかを検証し、さらに分節化学習にともなう細胞レベルでの皮質機能構築の変化を調べる。 最終的に、研究成果の学会発表、論文の準備・投稿を行い、研究をまとめる計画である。
|