音声同調への選好が社会的結合に及ぼす影響:野外霊長類における検討
Project/Area Number |
23K17172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 90030:Cognitive science-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
勝 野吏子 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 講師 (30779955)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 同期・同調 / 情動 / 音声コミュニケーション / ニホンザル |
Outline of Research at the Start |
ヒトの会話は社会関係を構築し、維持するための手段である。しかし、ヒトに至る霊長類において、音声がどのようなメカニズムで他個体との関係形成、維持に寄与するのかはこれまでに注目されてこなかった。そこで本申請課題では、音声同調の役割に着目する。霊長類において同調した音声のやりとりが社会的距離を変化させるのかを、野生ニホンザルを対象とした行動観察と実験により検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ヒトは他者と会話をして関係を形成、維持する。これと類似して、ニホンザルは相手のコンタクトコールという発声に返答しあう、鳴き交わしを行う。ヒト以外の霊長類において鳴き交わしが社会関係を反映するという報告が近年なされているが、発声には単調な意味内容しか伴わない霊長類において、そのメカニズムは不明である。そこで本申請課題では、鳴き交わしにおける同調の役割に着目し、これまでに検討されてこなかった他個体と関係を形成、維持するメカニズムを明らかにすることを目的とする。 今年度は、他個体との親和的な関係の強さとその相手個体への音声同調が関連するかを、行動データから検討した。嵐山ニホンザル集団において、77時間の行動観察を行い96事例のコンタクトコールを収集した。これまでに収集済みであった集団の近接関係データと合わせて分析を行った。近接していた個体間では、鳴き交わしが観察された割合が高いことが分かった。また、コンタクトコールの鳴き交わしが生じた事例について、一連の鳴き交わしにおける発声間の間隔について分析を行ったところ、2個体間で発声間隔の収束が生じていた。予備的な分析においては、発声間隔の収束と近接関係にもとづいた親和的関係の間には、関連がみられなかった。これらの結果は日本霊長類学会や、国際生物音響学会(IBAC2023)で報告された。また、現在論文としてまとめて国際誌へ投稿する準備を行っている。 また、他個体の音声への選好に関する研究の予備実験として、サーモグラフィーカメラを使用した顔表面温度の変化による情動の測定に関する実験を行った。情動状態の変化による顔表面温度の変化が、野外においても測定可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度予定していたデータ収集は、予定外の研究外の業務等により、やや遅れが生じた。本年度に行う予定であった音声再生実験の準備も、調査地への訪問が十分にできなかったため次年度にずれ込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
音声鳴き交わし行動に関しては、今後も継続してデータを収集する。十分な事例が収集でき次第、音声の同調に関するさらなる解析を行う。同調した音声への選好を調べるための再生実験に関しては、共同で研究を行う博士研究員とともに準備をすすめる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)