Project/Area Number |
23K17335
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 25:Social systems engineering, safety engineering, disaster prevention engineering, and related fields
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
服部 克巳 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (60244513)
|
Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥25,870,000 (Direct Cost: ¥19,900,000、Indirect Cost: ¥5,970,000)
Fiscal Year 2025: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2024: ¥9,360,000 (Direct Cost: ¥7,200,000、Indirect Cost: ¥2,160,000)
Fiscal Year 2023: ¥9,230,000 (Direct Cost: ¥7,100,000、Indirect Cost: ¥2,130,000)
|
Keywords | GNSSデータ / 地殻変動予測研究 / 疑似ひずみ計 / 相関係数 / ネットワーク結合度 / 前兆的な地殻変動 / GEONET / GNSSデータを用いた疑似的な4成分ひずみ計 / 地震災害の軽減 |
Outline of Research at the Start |
GNSS観測データを用いた疑似的な4成分ひずみ計を考案し、M7クラスの地震の前兆的な地殻変動を精度よく検知する手法を開発し、GNSSデータを活用した地殻変動予測研究の新展開をはかる。具体的には過去のM7クラスの被害地震の際のGNSSデータを解析し、特にひずみの地震前兆的変動を高精度に検出する方法を事例解析的に検討し、その有効性を調査する。さらに、統計解析によりひずみの地震前兆的変動の時空間特性の把握し、全国展開の可能性やリアルタイム予測に資する解析ソフトウエア基盤の整備とその検証を行う。疑似ひずみ計近傍の既存ひずみ計データとの比較や同化の可能性や地殻応力変化に起因する観測量との比較検討も行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、GNSS観測データを用いた疑似的な歪計を考案し、M7クラス地震の前兆的な地殻変動を精度よく検知する手法を開発する。具体的には過去のM7クラスの被害地震の際のGNSSデータを解析し、歪の地震前兆的変動を高精度に検出する方法を事例解析的に検討し、その有効性を調査する。2023年度は、解析サーバ類を千葉大に整備するとともに、1)GEONETのF5解を用いた解析(日変化オーダー)と2)GEONETのRINEXデータ(30秒値)を用いた解析を行った。 1)ではGNSS観測点4点から成る四辺形の対角線の交点に疑似的な歪計が存在するとし、対角線交点における歪と2つの直交成分間の相関係数の時間変動を求め、その場の歪変動の異常を検知するアルゴリズムを構築し、地震に関連する変動の検知能力を2011年東北地震(M9.0)と2016年熊本地震(M7.2)の2地震を対象として行った。東北地震では、東北の96のGNSS観測点を用いて、74の疑似歪観測点を、熊本地震では、九州の126のGNSS観測点を用いて、89疑似歪観測点を構築した。直交する2方向の日々の歪を計算し、前50日間の相関係数を求め地震発生時までの時間変化を確認した。また、全ての疑似歪計の変動に対してネットワーク結合度の時間変化を求めた。その結果、いずれの地震においても、地震発生時に相関係数とネットワーク結合度の有意な増加が確認された。 2)ではRTKLIB解析ソフトウエアを用いて、2地点間の相対距離から基線長を求め、4辺形(4地点、6基線)を選定し、30秒毎のNS+EW(南北方向と東西方向の歪の和)とNW+NE(対角線方向の歪の和)からその1時間平均値を算出し、25時間のデータ長を用いて両者の相関を求めるアルゴリズムを構築した。前述の東北地震と熊本地震について応用した結果、精査する必要はあるものの前兆的な変動を示すことがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題では、GNSS観測データを用いた疑似的な4成分歪計を考案し、M7クラスの地震の前兆的な地殻変動を精度よく検知する手法を開発し、GNSSデータを活用した地殻変動予測研究の新展開をはかる。具体的には過去のM7クラスの被害地震の際のGNSSデータを解析し、特に歪の地震前兆的変動を高精度に検出する方法を事例解析的に検討し、その有効性を調査する。さらに、統計解析により歪の地震前兆的変動の時空間特性の把握し、全国展開の可能性やリアルタイム予測に資する解析ソフトウエア基盤の整備とその検証を行う。疑似ひずみ計近傍の既存歪計データとの比較や同化の可能性や地殻応力変化に起因する観測量などとの比較検討も実施し、地震活動予測情報発信の社会実装に向けた基盤構築のための研究を実施する。 2023年度は疑似4成分歪計について、①4観測点の対角線の交点に疑似歪計があるとみなすもの、②中国のKongらよって提案された歪計解析手法をGNSS疑似4成分歪計に応用した手法(6基線の東西と南北成分の歪の和と対角成分の歪の和の相関を用いるもの)のことなる2つのタイプを構築し、2011年東北地震(M9.0)と2016年熊本地震(M7.2)に応用した。ある程度広域の疑似4成分ひずみ計ネットワークに対して、解析を実施し、その時空間変動などの基礎的な解析結果をえることができた。事例を増やしたり、解析期間を延長するなどさらなる調査は必要であるが、概ね予定どおりに進捗している。なお、研究成果は2024年度の国内会議で報告する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針は以下のとおりである。 ・解析するサンプル地震を2007年中越沖地震や2008年岩手県内陸南部地震、208年北海道胆振東部地震や2024年能登地震などに事例を拡大する。 ・地震観測やb値変動や3つのGNSS観測点内の面積変化などの他の地殻応力変動に関連するパラメータとの比較も実施し、地震準備過程時における変動の相違について事例的に調査する。 ・疑似歪計を構成するGNSS観測点4点の取り方は任意で、1300C4 通りの組み合わせが考えられるが、いくつかの地域にわけて相関異常の時空間的広がりや結合度等(地震準備過程領域の広がりやマグニチュードや深さ依存性)などの関連を調査する。 ・GNSSデータに含まれる外的要因および孤立的ノイズの同定と機械学習による自動除去手法の開発や東北地方など地震活動が活発な地域を対象に統計解析を実施し、歪異常変動の地震との時空間的有意相関や地震前兆性を統計的に検証する。 ・F5解の解析手法についてRINEXデータ(30秒値)を用いる方法も検討する。
|