Project/Area Number |
23K17341
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 26:Materials engineering and related fields
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
荒岡 史人 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, チームリーダー (10467029)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥26,000,000 (Direct Cost: ¥20,000,000、Indirect Cost: ¥6,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,060,000 (Direct Cost: ¥6,200,000、Indirect Cost: ¥1,860,000)
Fiscal Year 2023: ¥10,530,000 (Direct Cost: ¥8,100,000、Indirect Cost: ¥2,430,000)
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Keywords | 液晶 / 強誘電体 / ソフトマター |
Outline of Research at the Start |
強誘電性ネマチックと呼ばれる新液晶状態を用い、ソフト・エレクトロ-メカニカル素子への応用を指向した研究を行う。低消費電力かつ固体では不可能な大変位を可能とするソフト・アクチュエーション素子の実現を目指すほか、強誘電性ネマチックの持つ液体のような流動性を利用し、電場により直接駆動する画期的な流体システムを実現する。本研究では、これらアクチュエーター、電気流体デバイスの実現に必要な物性や物理的機構についても調べてゆくほか、機能性・動作を検討するため、これらを複合した液滴作成・輸送デバイスを作成し、デモンストレーションも目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究提案では、近年報告されている流動性を伴った全く新しいソフトマターの強誘電体である「強誘電性ネマチック」について、前例のないソフト・エレクトロ-メカニカル素子への応用を指向した開発研究を行うものである。ここでは特に、その柔らかさの本質である粘弾性や流動性に注目することで、固体では困難 な応用の一つとして低消費電力かつ固体で不可能な大変位を「柔らかさ」により可能とするソフト・アクチュエーション素子、および流動性によって電場で直接駆動する強誘電流体システムの実現を第一に目指している。 ここまで、分子の大量合成法を開発し確立するとともに、室温を含む広い温度範囲で強誘電性を示す材料の探索を行った。これにより、有力となる分子を複数個発見し、論文にて報告している。この成果は、本研究で目指す柔らかさや流動性を制御し、より扱いやすい性質を持った材料を探索する上でも重要なものであり、また、今後の新物質創製においても分子構造と物性の相関を予測する上で指針となるものである。また、柔らかさや流動性を評価する試みとして、レオメーターを用いた粘弾性測定を行った。これにより、強誘電性ネマチックが通常のネマチックと異なる粘弾状態を持っていることを突き止めた。また、電場を印可しながら粘弾性を測定する特殊な実験において、これら粘弾状態が電場により変調される現象を確認した。特に、DIOと呼ばれる物質においては、電場により数千倍も粘弾性が変化することが確認された。このことは、物質内部の力場を大きく変化させることのできる性質として、上記目的を達成するために重要な成果である。この内容は、現在、論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年報告されている流動性を伴った全く新しいソフトマターの強誘電体である「強誘電性ネマチック」について、前例のないソフト・エレクトロ-メカニカル素子への応用を指向した開発研究を行うものである。ここでは特に、その柔らかさの本質である粘弾性や流動性に注目することで、固体では困難 な応用の一つとして低消費電力かつ固体で不可能な大変位を「柔らかさ」により可能とするソフト・アクチュエーション素子、および流動性によって電場で直接駆動する強誘電流体システムの実現を第一に目指している。 本年度は研究開始の年度であり、ここまでの進捗は本年度の成果に準ずる。本研究で目指す動的機能の実現という目的に叶った強誘電性ネマチック材料の探索を行うため、分子の大量合成法を開発し確立するとともに、室温を含む広い温度範囲で強誘電性を示す材料の探索を行った。これにより、有力となる分子を複数個発見した。これは、柔らかさや流動性を制御し、より扱いやすい性質を持った材料を探索する上でも重要なものであり、また、今後の新物質創製においても分子構造と物性の相関を予測する上で指針となる。また、柔らかさや流動性を評価する試みとして、レオメーターを用いた粘弾性測定を行い、電気レオロジー応答、すなわち物質内部の力場を大きく変化させることのできる性質を確認した。したがって、本研究の目標となるアクチュエーションの材料、および流動状態の実現に向けた物性評価は進んでおり、概ね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に基づき、今後は第一にアクチュエーション素子の実現を目指す。強誘電性ネマチック液晶に架橋モノマーと重合開始剤を混合させ、光重合により架橋ポリマー化させることで強誘電状態の半固定化を行い、アクチュエーター素子の基材となる強誘電ゲルを作製する。ポリマー化させる強誘電性ネマチック液晶は、既存物質のほか、前年度に開発した新物質を用いるが、ポリマー化、ひいては力学特性の評価においては多量の物質が必要であるため、やはり前年度に開発した手法により大量合成を行う。作製した架橋ゲルについては、力学特性のほか、圧電効果や非線形光学特性などの機能物性を調べることで強誘電性を確認し、狙った性能が実現できているかを評価してゆく。架橋ポリマー化が困難である場合は、通常のネマチック液晶で既に確立されている液晶架橋ポリマーに、強誘電性ネマチック液晶を浸潤させ置換することでこれを実現するほか、ラミネートによる安定化などを検討する。
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