Project/Area Number |
23K17354
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 29:Applied condensed matter physics and related fields
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
原田 尚之 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, 独立研究者 (90609942)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥25,740,000 (Direct Cost: ¥19,800,000、Indirect Cost: ¥5,940,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
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Keywords | 薄膜 / アモルファス / 超伝導 / ヘテロ構造 / 量子 / 電気特性 |
Outline of Research at the Start |
汎用な量子計算に向け、誤り耐性を持った量子コンピューターの実現が重要である。これには現状の超伝導回路から量子ビット数を桁で増やす必要があり、ハードウエアのブレークスルーが求められている。これまで特性向上には誘電損失を低減するために、欠陥を極限まで減らした結晶材料が好ましいと考えられ、エピタキシャル構造を中心に新材料が探索されてきた。しかしながら、エピタキシャル構造はスケールアップや3D集積が容易でない上、材料選択の制約が多い問題がある。本研究では発想を転換し、大面積化と3D集積に有利なアモルファスで、元素の組み合わせを物質科学の観点から検討し、アモルファスでも低損失な新材料を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大面積化や積層の自由度が高いアモルファス材料において、化学的な知見から元素の組み合わせを検討して、超伝導回路に適した化学組成を探索する。誘電損失の低い構造の作製には不向きと考えられてきたアモルファスにおいて、Q値の高い超伝導回路を作製できる新材料を開発する。まずは、新しいアモルファス超伝導体の探索に注力する。本年度は、超伝導回路のQ値評価に必要な、極低温、高周波測定系の立ち上げと、新しい超伝導材料の開発に取り組んだ。既存の3He冷凍機に接続するネットワークアナライザーの導入、試料ホルダーの設計を行った。また、複数の金属をターゲットとして用いて、コスパッタリング法により薄膜を堆積し、低温での電気抵抗を測定した。いくつかの組成で1 K以上において超伝導転移を観測した。現状の薄膜では、X線回折によると薄膜中に微結晶が含まれており、完全なアモルファスにはなっていない。別の元素を追加することで特性が均質なアモルファスの超伝導体を開発する。また、次年度以降は現在立ち上げている測定系を利用して高周波特性を測定する。作製したアモルファス薄膜に電子線リソグラフィーにより微細加工を施して超伝導回路を試作する。ネットワークアナライザーで低温における回路の誘電損失を見積もる予定である。得られた結果を元に、化学的な知見から元素の種類を再検討する。さらに、アモルファス薄膜が均質な超伝導特性を示すか検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高周波での測定系の立ち上げにやや時間を要しているが、コスパッタリング法により1K以上の温度において超伝導転移を示す薄膜が作製できている。超伝導回路の試作はまだこれからであるが、シミュレーションによる回路設計と電子線リソグラフィーによる回路作製プロセスが確立できれば、新材料探索~高周波特性の評価という一連のサイクルをまわすことが可能になり、効率的な材料探索ができると考えている。実験を加速するために、年度後半に研究業務員1名を雇用した。まだ導入している元素の種類が少ないため、X線回折で評価すると薄膜が完全なアモルファスになっていないのが課題である。完全なアモルファス化により超伝導転移温度が向上する可能性もある。導入すべき元素の候補はしぼれており、今後新たな元素を導入することでアモルファス化と超伝導特性の均質化に取り組む。課題はあるものの今後進めるべき方向は定まっているため、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに作製したアモルファス薄膜を電子線リソグラフィーにより微細加工して、超伝導回路を作製し、低温における高周波特性を評価する。得られた結果をみて、Q値を向上するために導入する元素の再検討を行う。まずは来年度に回路設計用のシミュレーターを導入し、テスト回路の設計を行う。さらに、電子線リソグラフィーによる微細加工プロセスの確立に取り組む。これまでにNbを用いた系で微細加工プロセスのテストを実施済みである。スパッタリング装置にターゲットを追加し、選択可能な元素の種類を増やす。室温でDCまたはRFスパッタリングを行い、新しい組成において1K以上の超伝導転移を示す均質なアモルファス薄膜を探索する。良好な薄膜が作製できた場合には、X線回折、原子間力顕微鏡、透過型電子顕微鏡を利用して薄膜の均質性や微結晶の有無を評価する。さらに、2インチウエハー上に薄膜を作製し、全体で均質な超伝導特性が得られるか評価する。
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